
新入社員の皆様、社会人としての第一歩、誠におめでとうございます。
これから始まるビジネスの世界では、様々な課題に直面し、その解決策を見つけ出す力が求められます。
そんな時に強力な武器となるのが「ロジックツリー」という思考法です。
本章では、この重要なツールが一体何なのか、そしてなぜ新入社員の皆様にとって不可欠なのかを、中学生にも理解できるように、分かりやすく解説していきます。
まず、「ロジック」とは「論理」のこと。
筋道が通っていて、誰にでも理解できる考え方のことです。そして、「ツリー」は「木」。
枝分かれしていく木の形のように、あるテーマや問題を、より小さな要素に分解して整理していくのがロジックツリーです。
例えば、「売上が伸び悩んでいる」という問題を考えましょう。
この問題をそのまま考えるのは、どこから手を付けていいか分からず、途方に暮れてしまうかもしれません。
しかし、ロジックツリーを使えば、この大きな問題をいくつかの小さな「なぜ?」に分解していくことができます。
「売上が伸び悩んでいるのはなぜか?」→「顧客が減っているからか?」「顧客単価が下がっているからか?」といった具合です。
さらに、「顧客が減っているのはなぜか?」→「新規顧客の獲得がうまくいっていないからか?」「既存顧客が離れていっているからか?」と、どんどん掘り下げていくことができます。
このように、複雑な問題を分解し、原因を特定していくことで、本質的な解決策を見つけ出しやすくなるのです。
これは、新入社員の皆様がこれから様々な業務に取り組む上で、非常に重要なスキルとなります。
「でも、なんだか難しそう…」と感じた方もいるかもしれません。
ご安心ください。
ロジックツリーは、特別な才能がなくても、基本的な考え方を理解し、練習することで誰でも使いこなせるようになります。
まるで、初めて自転車に乗る時に少し練習が必要なように、ロジックツリーも最初は戸惑うかもしれませんが、慣れてくれば自然と使えるようになるはずです。
ここでは、難しい専門用語はできるだけ避け、身近な例を交えながら、ロジックツリーの基本的な概念から、実際のビジネスでの活用方法までを丁寧に解説していきます。
新入社員の皆様が、この強力な思考法を習得し、自信を持って仕事に取り組めるようになることを心から願っています。
さあ、論理思考の冒険を始めましょう。
Contents
ロジックツリーの基本構造 – MECEという最強の武器を理解する
簡単にですが、ロジックツリーが複雑な問題を分解し、解決の糸口を見つけるための強力なツールであることを前述しました。
この章では、ロジックツリーの基本的な構造と、その核心となる考え方「MECE(メッシー)」について詳しく解説していきます。
このMECEという概念を理解することは、効果的なロジックツリーを作成し、論理的な思考力を高める上で非常に重要です。
ロジックツリーは、通常、木の幹のように一番大きなテーマや問題が一番上に置かれ、そこから枝分かれするように、その問題を構成する要素や原因が階層的に下に展開されていきます。
この構造によって、問題全体を俯瞰的に捉え、各要素間の関係性を明確にすることができます。
例えば、あるカフェの「売上を向上させる」というテーマをロジックツリーで表現する場合、一番上に「売上向上」という幹が置かれ、そこから「顧客数を増やす」「顧客単価を上げる」といった主要な枝に分かれます。
さらに、「顧客数を増やす」という枝からは、「新規顧客を獲得する」「リピーターを増やす」といったより具体的な枝に分岐していくのです。
ここで重要なのが「MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)」という考え方です。
これは、「漏れがなく、ダブりがない」という意味を持つ言葉で、ロジックツリーの各階層で、上位の要素を分解した結果が、このMECEの状態になっていることが理想とされます。
「漏れがない」とは、上位の要素を構成するすべての要素が、下位の枝に網羅されている状態を指します。
例えば、「顧客数を増やす」という枝の下に、「新規顧客を獲得する」という枝しか存在しない場合、「リピーターを増やす」という重要な要素が漏れてしまっている可能性があります。
一方、「ダブりがない」とは、下位の枝同士が重複していない状態を指します。
もし、「新規顧客を獲得する」と「新しいお客様を増やす」という枝が両方存在する場合、これらは意味合いが重複しており、分析の効率を低下させてしまいます。
MECEを意識することで、私たちは問題を網羅的に捉え、重複なく整理することができます。
は、偏りのない、客観的な分析を行う上で不可欠な考え方です。
新入社員の皆様が、これから様々な情報を整理し、分析する際に、このMECEの原則を常に意識することで、より質の高いアウトプットを生み出すことができるでしょう。
ロジックツリーを作成する際には、このMECEを完璧に実現することが難しい場合もあります。
しかし、常にMECEを意識し、できるだけ漏れやダブりをなくすように努めることが重要です。
MECEは、論理思考の基礎体力のようなものであり、意識して訓練することで、その精度を高めることができます。
次の章では、実際にロジックツリーを作成する具体的なステップについて、詳しく解説していきます。
MECEの考え方を念頭に置きながら、実践的な作成方法を学んでいきましょう。
実践!ロジックツリーの作り方 – 新入社員が今日から使えるステップ
前章では、ロジックツリーの基本構造と、その核心となるMECEの考え方について解説しました。
この章では、実際にロジックツリーを作成する具体的な手順を、新入社員の皆様が今日から業務で活用できるよう、ステップバイステップで分かりやすく説明していきます。
ステップ1:テーマ(解決したい課題や達成したい目標)を明確にする
ロジックツリーを作成する最初のステップは、分析したいテーマ、解決したい課題、または達成したい目標を明確にすることです。
これがロジックツリーの「幹」となる部分です。テーマが曖昧なままだと、その後の分解も焦点が定まらず、効果的な分析につながらない可能性があります。
例えば、「会議の時間を短縮したい」「顧客満足度を向上させたい」「新しい企画を成功させたい」など、具体的なテーマを設定しましょう。
ステップ2:テーマを構成する要素を洗い出す(一次分解)
次に、設定したテーマを構成する主要な要素を洗い出します。
この時、MECEの原則を意識しながら、できるだけ漏れがなく、ダブりのないように分解することが重要です。
例えば、「売上を向上させる」というテーマであれば、「顧客数を増やす」「顧客単価を上げる」といった要素が考えられます。
ステップ3:洗い出した要素をさらに分解する(二次分解以降)
ステップ2で洗い出した要素を、さらに「なぜそうなるのか?」「そのためには何が必要か?」という問いを繰り返しながら、より具体的な要素に分解していきます。
このプロセスを、問題の本質に迫るまで、または具体的なアクションプランに落とし込めるレベルになるまで繰り返します。
例えば、「顧客数を増やす」という要素であれば、「新規顧客を獲得する」「既存顧客を維持する」「離反顧客を呼び戻す」といった要素に分解できます。
さらに、「新規顧客を獲得する」であれば、「広告戦略を見直す」「SNSを活用する」「紹介キャンペーンを実施する」といった具体的な施策に落とし込むことができます。
ステップ4:要素間の関連性を確認し、構造を整理する
分解した要素をツリー状に配置し、それぞれの要素間の関連性を線で結びつけます。
この時、論理的なつながりが明確になっているかを確認することが重要です。
「AだからBになる」「Bを実現するためにはCとDが必要である」といった因果関係や依存関係を意識しましょう。
ステップ5:ロジックツリーを見直し、MECEを再度確認する
作成したロジックツリー全体を見直し、各階層においてMECEが保たれているか再度確認します。
漏れている要素はないか、重複している要素はないかを丁寧にチェックしましょう。
もし、MECEが不十分な箇所があれば、分解の粒度を調整したり、要素の定義を見直したりする必要があります。
ステップ6:ロジックツリーを活用して分析・検討を行う
完成したロジックツリーを使って、問題の原因を特定したり、解決策を検討したりします。
ツリーの各枝を辿っていくことで、問題の根本原因や、取るべき具体的なアクションが明確になることがあります。
ロジックツリーは、一度作ったら終わりではありません。
分析を進める中で新たな情報が入ってきたり、視点が変わったりすることもあります。必要に応じて、ロジックツリーを修正・改善していくことも重要です。
新入社員の皆様は、最初は小さなテーマからロジックツリーの作成に挑戦してみることをお勧めします。
例えば、「今日のタスクを効率的に終わらせるためにはどうすれば良いか?」といった身近なテーマで練習することで、ロジックツリーの作成に慣れ、その効果を実感できるはずです。
次の章では、このロジックツリーが、新入社員の皆様の仕事の課題解決能力をどのように劇的に向上させるのか、具体的な事例を交えながら解説していきます。
ロジックツリーが課題解決能力を劇的に向上させる理由 – 新入社員のための実践事例
前章では、ロジックツリーの具体的な作成ステップについて解説しました。
この章では、ロジックツリーがなぜ新入社員の皆様の仕事における課題解決能力を劇的に向上させるのか、その理由を具体的な事例を交えながら深く掘り下げていきます。
理由1:複雑な問題を「見える化」し、全体像を把握できる
新入社員の皆様が直面する課題は、往々にして複雑で、どこから手を付けて良いか分からないことがあります。
ロジックツリーを使うことで、これらの複雑な問題を、階層的な構造で「見える化」することができます。
問題の全体像が一目で把握できるようになり、どの部分に焦点を当てるべきか、優先順位をつけるべきかが明確になります。
事例1
ある新入社員が、担当する製品の顧客からの問い合わせが増加しているという課題に直面しました。
彼は、まず「顧客からの問い合わせが増加している」というテーマを一番上に置き、考えられる原因をブレインストーミングしました。
「製品の使い方が分かりにくい」「製品に不具合が多い」「サポート体制が不十分」といった要素が出てきました。
これらをさらに分解していくことで、「製品の使い方が分かりにくい」のは「マニュアルが複雑」「FAQが不足している」から、「製品に不具合が多い」のは「設計ミス」「製造工程の不良」から、「サポート体制が不十分」なのは「電話が繋がりにくい」「メールの返信が遅い」から、といった具体的な原因を特定することができました。
このように、ロジックツリーによって問題が可視化され、具体的な対策を立てやすくなったのです。
理由2:問題の根本原因を特定しやすくなる
表面的な事象にとらわれず、問題の「なぜ?」を繰り返し掘り下げることで、真の根本原因に辿り着きやすくなります。
ロジックツリーは、この「なぜなぜ分析」を構造的に行うのに非常に有効なツールです。
事例2
ある部署で、会議の時間が予定よりも大幅に長引くことが頻繁に起こっていました。
新入社員のAさんは、この問題をロジックツリーで分析しました。
「会議時間が長引く」のは「議題が多すぎる」「議論が活発すぎる(脱線が多い)」「時間管理ができていない」からと考えました。
さらに、「議論が活発すぎる(脱線が多い)」のは「目的が共有されていない」「発言者が一方的」「意見をまとめる人がいない」からだと分析を進めました。
その結果、根本原因は「会議の目的が参加者全員に明確に共有されていないこと」にあると特定できました。
対策として、会議の冒頭で必ず目的とゴールを共有するようにしたところ、会議時間の短縮に成功しました。
理由3:網羅的かつ効率的に解決策を検討できる
MECEの原則に基づいて問題を分解することで、考えられる解決策の抜け漏れを防ぎ、効率的に検討を進めることができます。
事例3
新しい販促キャンペーンを企画することになった新入社員のBさんは、「売上を向上させる」という目標を達成するために、ロジックツリーを活用しました。
「売上向上」の要素として「新規顧客の獲得」「既存顧客の活性化」「顧客単価の向上」を挙げ、それぞれの要素に対して、さらに具体的な施策を検討しました。
「新規顧客の獲得」であれば「SNS広告」「Webセミナー」「紹介キャンペーン」、「既存顧客の活性化」であれば「ポイントプログラム」「メルマガ配信」「限定イベント」、「顧客単価の向上」であれば「セット販売」「アップセル・クロスセル」「価格改定」といった具合です。
このように、ロジックツリーを使うことで、多角的な視点から網羅的に施策を検討することができ、より効果的なキャンペーン企画につながりました。
理由4:チーム内での共通理解を促進し、コミュニケーションを円滑にする
ロジックツリーは、問題を構造的に示すため、チームメンバー間での共通理解を促進するのに役立ちます。
議論の土台が共有されることで、より建設的で効率的なコミュニケーションが可能になります。
事例4
あるプロジェクトチームで、タスクの遅延が頻発していました。
リーダーの新入社員Cさんは、ロジックツリーを使って遅延の原因を分析し、チームメンバーに共有しました。
「タスクが遅延する」のは「担当者のスキル不足」「リソース不足」「コミュニケーション不足」「計画の甘さ」などが考えられると示し、それぞれの要素について具体的な状況を説明しました。
これにより、チームメンバーは問題の所在を共通認識として持つことができ、それぞれの担当範囲で改善策を検討しやすくなりました。
このように、ロジックツリーは、複雑な問題を整理し、根本原因を特定し、網羅的な解決策を検討するための強力なツールです。
新入社員の皆様が、この思考法を身につけ、日々の業務で活用することで、課題解決能力は飛躍的に向上するでしょう。
次の章では、ロジックツリーをさらに効果的に活用するための応用的なテクニックについて解説していきます。
ロジックツリーをさらに活用するために – 新入社員が知っておくべき応用テクニック
前章では、ロジックツリーが課題解決能力を向上させる理由を具体的な事例と共に解説しました。
この章では、新入社員の皆様がロジックツリーをさらに効果的に活用するために知っておくべき応用的なテクニックを紹介します。
テクニック1:演繹法と帰納法を意識する
ロジックツリーで要素を分解する際には、「演繹法」と「帰納法」という2つの考え方を意識すると、より深い分析が可能になります。
演繹法
一般的なルールや原則から、個別のケースに当てはまる結論を導き出す考え方です。
ロジックツリーの上位概念から下位概念へと分解していく際に、この演繹的な思考が役立ちます。
「売上を上げるためには顧客数を増やすか顧客単価を上げる必要がある。→顧客数を増やすためには新規顧客を獲得するかリピーターを増やす必要がある」といったように、大きな枠組みから具体的な要素へと落とし込んでいくイメージです。
帰納法
複数の具体的な事実や事例から、共通のルールや原則を見つけ出す考え方です。
ロジックツリーの下位の要素から上位の要素を導き出す際に、この帰納的な思考が役立ちます。
「Aという顧客もBという顧客も製品の操作マニュアルが分かりにくいと言っている。→顧客満足度向上のためには製品マニュアルの改善が必要ではないか?」といったように、具体的な情報から全体的な結論を導き出すイメージです。
テクニック2:WHYツリーとHOWツリーを使い分ける
ロジックツリーには、主に「WHYツリー(原因分析)」と「HOWツリー(解決策検討)」の2種類があります。
WHYツリー
問題や課題の原因を深掘りしていくためのロジックツリーです。
「なぜその問題が起きているのか?」を繰り返し問いかけ、根本原因を特定するのに役立ちます。
前章の事例で紹介した、顧客からの問い合わせ増加の原因分析や、会議時間の長期化の原因分析などがWHYツリーの例です。
HOWツリー
設定した目標を達成するための具体的な手段や方法を検討するためのロジックツリーです。
「どうすればその目標を達成できるのか?」という問いに対して、考えられる施策を階層的に展開していきます。
前章の事例で紹介した、売上向上のための販促キャンペーン企画などがHOWツリーの例です。
分析の目的やフェーズに合わせて、これらのツリーを使い分けることで、より効果的な思考が可能になります。
テクニック3:ブレインストーミングとの組み合わせ
ロジックツリーの要素を洗い出す初期段階で、ブレインストーミングを活用すると、自由な発想から多様なアイデアを引き出すことができます。
ブレインストーミングで出てきたアイデアを、MECEの原則に沿って整理し、ロジックツリーに落とし込んでいくことで、より網羅的で質の高い分析が可能になります。
テクニック4:フレームワークの活用
既存のビジネスフレームワーク(3C分析、SWOT分析、PESTEL分析など)をロジックツリーの作成に取り入れることで、分析の視点を広げ、より深い洞察を得ることができます。
例えば、3C分析(自社:Company、競合:Competitor、顧客:Customer)の要素を、売上分析のロジックツリーの一次分解に活用したり、SWOT分析(強み:Strengths、弱み:Weaknesses、機会:Opportunities、脅威:Threats)の結果を、事業戦略策定のロジックツリーの要素として組み込んだりすることができます。
テクニック5:定量的なデータの活用
ロジックツリーの各要素を分析する際に、可能な限り定量的なデータ(数値データ)を活用することで、より客観的で精度の高い分析が可能になります。
例えば、売上分析であれば、顧客数、顧客単価、購買頻度などのデータに基づいて要素を分解したり、各要素の貢献度を評価したりすることができます。
データに基づいた分析は、主観的な判断を排除し、より説得力のある結論を導き出すのに役立ちます。
テクニック6:チームでの共同作業
複雑な課題に対してロジックツリーを作成する際には、チームメンバーと協力して行うことが有効です。
多様な視点を取り入れることができ、よりMECEに近い、質の高いロジックツリーを作成することができます。
また、作成プロセスを共有することで、チーム全体の共通理解を深め、その後の議論や意思決定を円滑に進めることができます。
テクニック7:定期的な見直しと改善
ビジネス環境は常に変化するため、一度作成したロジックツリーも定期的に見直し、必要に応じて修正・改善していくことが重要です。
新たな情報や視点を取り入れたり、分析の結果に基づいて構造を再検討したりすることで、ロジックツリーの有効性を維持することができます。
これらの応用テクニックを身につけることで、新入社員の皆様はロジックツリーを単なる思考ツールとしてだけでなく、より戦略的で効果的な問題解決のための強力な武器として活用できるようになるでしょう。
次の章では、ロジックツリーを実際にビジネスの現場でどのように活用していくのか、具体的な場面を想定して解説していきます。
ビジネスの現場でロジックツリーを使いこなす – 新入社員のための実践シナリオ
前章では、ロジックツリーをさらに効果的に活用するための応用テクニックを紹介しました。
この章では、新入社員の皆様が、実際のビジネスの様々な場面でロジックツリーをどのように活用できるのか、具体的なシナリオを通して解説していきます。
PICKUPキャリコン
シナリオ1:営業成績が伸び悩んでいる
新入社員のAさんは、担当エリアの営業成績が目標に達していないという課題に直面しています。
そこで、ロジックツリーを使って原因を分析することにしました。
1. テーマ設定
営業成績が伸び悩んでいる
2. 一次分解(WHYツリー)
- 商談数が少ない
- 受注率が低い
- 顧客単価が低い
3. 二次分解
▼商談数が少ない
- 新規顧客へのアプローチ不足
- 既存顧客への深耕不足
- 紹介による顧客獲得の不足
▼受注率が低い
- 提案内容が顧客ニーズに合っていない
- 競合製品と比較して魅力が低い
- クロージングのスキル不足
▼顧客単価が低い
- 高単価製品の販売不足
- セット販売の提案不足
- アップセル・クロスセルの提案不足
このロジックツリーに基づいて、Aさんはそれぞれの要素について具体的なデータを確認し、ボトルネックとなっている部分を特定しました。
例えば、新規顧客へのアプローチが不足していることが分かったため、テレアポや展示会への参加を強化するなどの対策を検討しました。
シナリオ2:新しいプロジェクトの企画
新入社員のBさんは、新しい顧客向けのサービスプロジェクトの企画を任されました。
そこで、ロジックツリーを使って、実現に向けた道筋を整理することにしました。
1. テーマ設定
「新しい顧客向けサービスプロジェクトを成功させる」
2. 一次分解(HOWツリー)
- 魅力的なサービス内容を設計する
- 効果的なプロモーション戦略を立てる
- 円滑なオペレーション体制を構築する
3. 二次分解
▼魅力的なサービス内容を設計する
- 顧客ニーズの調査
- 競合サービスの分析
- 自社の強みを活かす
- 独自性のある機能・価値を付加する
▼効果的なプロモーション戦略を立てる
- ターゲット顧客層の特定
- 適切なプロモーションチャネルの選定(Web広告、SNS、イベントなど)
- メッセージングの開発
▼円滑なオペレーション体制を構築する
- 必要な人員の確保・育成
- システム・ツールの準備
- 業務フローの設計
このロジックツリーに基づいて、Bさんは各要素に必要なタスクを洗い出し、スケジュールや担当者を設定することで、プロジェクトを具体的に推進していくための計画を立てることができました。
シナリオ3:社内コミュニケーションの改善
新入社員のCさんは、部署内のコミュニケーションが円滑でないと感じています。
そこで、ロジックツリーを使って問題点を整理し、改善策を検討することにしました。
1.テーマ設定
「部署内のコミュニケーションを改善する」
2. 一次分解(WHYツリー)
- 情報共有が不足している
- 意見交換が少ない
- 部署間の連携が弱い
3. 二次分解
▼情報共有が不足している
- 定期的な情報共有の場がない
- 情報共有ツールが活用されていない
- 口頭での伝達が多く記録に残らない
▼意見交換が少ない
- 発言しにくい雰囲気がある
- アイデアを出し合う機会がない
- 否定的な意見が出ると萎縮する
▼部署間の連携が弱い
- 他部署の業務内容が理解できていない
- 連携のためのルールやプロセスがない
- 部署間の担当者の関係性が希薄
このロジックツリーに基づいて、Cさんはそれぞれの問題点に対する具体的な対策を検討しました。
例えば、定期的なチームミーティングの実施、社内SNSの導入、部署間交流イベントの企画などを提案しました。
これらのシナリオからもわかるように、ロジックツリーは、営業、企画、社内改善など、ビジネスの様々な場面で活用できる汎用性の高いツールです。
新入社員の皆様が、この思考法を積極的に活用することで、より効果的に課題を解決し、仕事で成果を上げることができるようになるでしょう。
最終章では、全体のまとめとして、新入社員の皆様がロジックツリーを継続的に活用していくためのヒントをお伝えします。
論理思考を未来の力に – 新入社員がロジックツリーを継続的に活用するために
ここでは、新入社員の皆様に向けて、ロジックツリーの基本的な概念から、具体的な作成方法、そしてビジネスの現場での応用事例までを詳しく解説してきました。
この最終章では、ロジックツリーを一時的な知識として終わらせるのではなく、今後のキャリアにおいて継続的に活用し、自身の成長へと繋げていくためのヒントをお伝えします。
まずは小さなことから実践する
ロジックツリーを使いこなすためには、実践あるのみです。
最初は、日々の業務における小さな課題や、身近なテーマからロジックツリーの作成を試してみましょう。
例えば、「今日のタスクを効率的に終わらせるにはどうすれば良いか」「会議で自分の意見を分かりやすく伝えるにはどう構成すれば良いか」といったテーマで練習することで、ロジックツリーの作成に慣れ、その効果を実感することができます。
意識的に「なぜ?」を繰り返す習慣をつける
ロジックツリーの核心は、問題を深掘りするために「なぜ?」という問いを繰り返すことです。
日頃から、疑問に思ったことや、気になることに対して、表面的な理解で終わらせず、「なぜそうなるのか?」と自問自答する習慣を身につけましょう。
この習慣が、ロジックツリー作成の基礎となります。
既存のフレームワークと組み合わせてみる
本コラムでも触れましたが、既存のビジネスフレームワーク(3C分析、SWOT分析など)とロジックツリーを組み合わせることで、より多角的な分析が可能になります。
様々なフレームワークを学び、それぞれの特徴を理解した上で、ロジックツリーと効果的に連携させる方法を模索してみましょう。
PICKUPキャリコン
チームや上司とのコミュニケーションに活用する
ロジックツリーは、自分自身の思考を整理するだけでなく、他者とのコミュニケーションを円滑にするためのツールとしても非常に有効です。
複雑な問題をチームメンバーや上司に説明する際に、ロジックツリーを示すことで、論理的な構造が明確になり、共通理解を深めることができます。
また、議論の出発点としてロジックツリーを用いることで、建設的な意見交換を促すことができます。
定期的に作成したロジックツリーを見直す
ビジネス環境や状況は常に変化します。
そのため、一度作成したロジックツリーも、定期的に見直し、現状に合わせて修正・改善していくことが重要です。
新たな情報や視点を取り入れることで、ロジックツリーの精度を高め、より有効な意思決定に繋げることができます。
成功事例や失敗事例から学ぶ
ロジックツリーを活用して大きな成果を上げた事例や、逆に失敗してしまった事例を学ぶことは、自身のロジックツリー作成スキルを向上させる上で非常に参考になります。
書籍やインターネット上の記事、社内の過去のプロジェクトなどを参考に、成功の要因や失敗の教訓を分析してみましょう。
継続的な学習意欲を持つ
論理思考や問題解決に関する書籍を読んだり、セミナーに参加したりすることで、ロジックツリーの理解をさらに深めることができます。
常に新しい知識やスキルを吸収しようとする意欲を持つことが、ビジネスパーソンとしての成長に不可欠です。
ロジックツリーは、新入社員の皆様にとって、これから始まるビジネスキャリアを力強く歩んでいくための羅針盤となるはずです。
ロジックツリーの関連書籍一覧
- 超一流のコンサルが教える ロジックツリー入門/羽田康祐k_bird
- ビジュアル ビジネス・フレームワーク/堀公俊
- 思考力の地図 論理とひらめきを使いこなせる頭のつくり方/細谷功
- 入社1年目から差がつく ロジカル・シンキング練習帳/グロービス
- 新版 問題解決プロフェッショナル/齋藤嘉則
ロジックツリーの関連サイト一覧
【新入社員でもわかる】ロジックツリーとは?仕事の課題解決能力を劇的に向上させるのまとめ
全6章にわたってお届けしましたがいかがでしたでしょうか?
もしあなたが、読み始める前は「難しそう」「自分には関係ないかも」と感じていたとしても、今、このまとめを読んでいるあなたは、きっとロジックツリーという思考法の心強い可能性を感じているはずです。
ここでは、【新入社員でもわかる】をキーワードに、複雑に見えるロジックツリーの考え方を、できる限り身近な言葉で解説してきました。
まるで霧が晴れるように、仕事で直面する様々な課題の本質が見えてくる感覚、そして、そこから論理的に解決策を生み出す道筋が拓ける予感を掴んでいただけたなら、これほど嬉しいことはありません。
「ロジックツリー 新入社員」というキーワードで検索し、このコラムにたどり着いたあなたは、きっと自身の成長を真剣に願っていることでしょう。
そして、その探求心こそが、社会人として大きく飛躍するための第一歩です。
ロジックツリーは、単なる思考のフレームワークではありません。
それは、あなたの潜在能力を引き出し、仕事における課題解決能力を劇的に向上させるための強力なエンジンです。
このエンジンを手に入れたあなたは、これから先のキャリアにおいて、どんな複雑な問題に直面しても、臆することなく、論理の力で道を切り開いていくことができるでしょう。
この内容が、あなたの社会人生活における羅針盤となり、自信と成長の糧となることを心から願っています。
さあ、今日からロジックツリーをあなたの仕事の相棒に。論理思考の翼を広げ、未来へと羽ばたきましょう!
