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キャリアコンサルタントとキャリアカウンセラーの違い

[記事公開日]2019/04/09
[最終更新日]2021/10/06
kyarikonn

「キャリアコンサルタント(キャリアコンサルティング)」と「キャリアカウンセラー(キャリアカウンセリング)」という同じような資格の名前を聞くけど、「キャリアコンサルタント(キャリアコンサルティング)」と「キャリアカウンセラー(キャリアカウンセリング)」って何が違うのだろうか?

と、思われている方も多いのではないでしょうか?

どちらも「キャリア」という単語が入っているので仕事が関係しているという事は予想がつくけど、「コンサルタント(コンサルティング)」はお金のことが専門で「カウンセラー(カウンセリング)」は気持ちが沈んでいる時などに話を聞いてくれる。

そんなイメージがあるなんて方も多いかと思います。

それでは、「キャリアコンサルタント(キャリアコンサルティング)」と「キャリアカウンセラー(キャリアカウンセリング)」は何が違うのでしょうか?

そんな、「キャリアコンサルタント(キャリアコンサルティング)」と「キャリアカウンセラー(キャリアカウンセリング)」の違いをわかりやすく説明いたします。

 

キャリアコンサルタント(キャリアコンサルティング)とは?

キャリアカウンセリング職業能力開発促進法が改正され、2016年4月に「キャリアコンサルタント」は国家資格となり登録制度の創設も同時に行われました。

また、特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会が指定登録機関、技能検定指定試験機関となり「キャリアコンサルタント倫理綱領」も改正施行されました。

キャリアコンサルタントが国家資格化されるまでは、日本国内においてキャリア関係の資格は、民間資格としてたくさんの資格が存在していました。

また、民間資格ですので認定する団体も違い認定団体により基準も違い、そして民間団体が任意で決めていた名称が使用されていましたので名称さえも違いました。

その中の民間資格の名称の一つが「キャリアカウンセラー」です。

「キャリアカウンセラー」という名称の他にも「キャリアアップカウンセラー」「キャリアデザインコンサルタント」「キャリアアドバイザー」「キャリア相談員」「キャリア相談アドバイザー」等があります。

 

では、どうしてキャリアコンサルタントという国家資格が設立されたのでしょうか?

 

終身雇用の時代から転職が当然の時代へ

従来の日本的な経営では、新卒で就職すれば定年まで働くという事が当然でした。その結果、従業員の組織への依存度が高くなり、従業員が主体的にキャリアを考えるという意識は希薄になってきていました。

しかし、バブル崩壊やグローバル社会が進む中で、日本的な経営の象徴であった「終身雇用」「年功序列」「企業別労働組合」は崩壊していき、労働市場の流動化が進んでいきました。

つまりは、終身雇用の時代から転職が当然の時代へと変化してきたのです。

 

従業員が主体的にキャリアを考える

キャリアアップ転職が当然となってきた時に、従業員は自身のキャリアを主体的に考えなければならなくなりました。

しかし、従業員は自身のキャリアを主体的に考える術を知りません。

なぜなら、先ほど説明した通り、日本的な経営の中では必要がなかったからです。

そして、そんな従業員が主体的に自身のキャリアを考える際の相談相手として「国家資格キャリアコンサルタント」が誕生したのです。

 

「キャリアコンサルタント」に統一出来ていない

統一できていない職業能力開発促進法第2条5項で「キャリアコンサルティングとは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいう。」と定義されています。

この定義では「キャリアコンサルティング」でも「キャリアカウンセリング」でもどちらでも問題がないように思いませんか?

これはその通りです。問題がないのです。現実にアメリカでは、日本のキャリアコンサルタントの仕事をキャリアカウンセラーという資格の人が行っています。

アメリカでは1960年代末から1970年にかけて職業カウンセリング、職業指導という用語からキャリアカウンセリング、キャリアガイダンスと言葉に変化してきました。この変化は、経済の転換が影響しています。

そして、1971年にキャリア教育という教育施策が提示されてから、学校から職業への移行を援助する活動を国家をあげて支援し、キャリアカウンセリングが定着しています。

日本での「キャリアカウンセリング」や「キャリアコンサルティング」という言葉が急速に広まったのは、バブル崩壊以降です。

急速に広まった理由はアメリカの掲載の転換の影響と似ており、不況の長期化です。

不況は従来の企業の雇用構造を変化せずにはいられない程だったのです。

そして、ようやく「キャリアカウンセリング」の考え方が浸透し広がっていたのです。

 

「キャリアコンサルタント」と名称の統一へ

名称統一キャリアカウンセリングの考え方が浸透した中で、国家資格化されることになり、国家資格の名称統一が問題になりました。

平成14年7月31日厚生労働省職業能力開発局の「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書5労働市場の構築のハ「職業情報システム及びキャリア・コンサルティングシステム(キャリア・コンサルティング)」では、「次に、個人のキャリア支援を行っていくためには、こうした情報の提供と併せ、専門的なキャリア・コンサルティングが必要である。この点についても、アメリカにおいては、カウンセリングの専門家が全国で約20万人おり、学校、職業紹介などを行うワンストップセンター、コミュニティーカレッジ等に配置されているほか、独立自営形態のカウンセラーも活躍している。我が国では、アメリカのようなカウンセリングのノウハウや伝統がないことや、受入れ側の国民も、ただちに高いレベル(大学院資格)のカウンセリングを求める需要がないことから、まず、職業やキャリアに関する基本的、実践的な相談ができる人材をある程度の数養成し、企業内、需給調整機関、能力開発機関等に配置することが目標として適当である。このため、平成14年4月に官民合同の「キャリア・コンサルティング研究会」において、こうした人材の基本となる能力要件の基準を策定したところである。名称については、心理学的な面が強調されることを避けるため、キャリア・コンサルタントと呼ぶこととしており、策定した基準に基づき、今後、官民合わせて、5年間で5万人程度養成することをめざしている。」と書かれており、キャリアコンサルタントという名称に決定しました。

厚生労働省職業能力開発局:「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書

 

しかし、現実問題として「キャリアコンサルタント」という名称はまだまだ浸透していません。

労働政策研究報告書キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査2018の労働政策研究・研修機構No.200のアンケート結果でも「キャリアコンサルタントの認知度が低い」という回答が多くあり今後の課題となっています。

労働政策研究・研修機構:労働政策研究報告書「キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査2018」

 

また、昨今では長時間労働やパワハラセクハラなどの社会的な問題も多くなっており、メンタルヘルスの相談が著しく増加しており、「キャリアコンサルタント」よりも「キャリアカウンセリング」の方がより的確な名称なのではないかという考えのキャリアコンサルタントもおり、「キャリアコンサルタント・キャリアカウンセラー」などの名称で活動しているキャリアコンサルタントもいます。

また、求人募集においては「転職アドバイザー」「求人カウンセラー」「求職者相談員」等という名称も使用されており名称の広がりは増加傾向にあります。

 

なお、「キャリアコンサルタント」は名称独占資格(職業能力開発促進法第三十条の二十八)ですので、指定登録機関特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会への登録をしていない人は名乗る事が出来ません。

これはキャリアコンサルタントの試験に合格されている方も同様で、キャリアコンサルタントの試験に合格したからといって指定登録機関特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会への登録なしで名乗る事が出来ません。名称独占に違反して名称を使用した場合は同法第百二条五項により三十万円以下の罰金に処される事になっています。

また、国家資格化に伴い、キャリアコンサルタントには、信用失墜行為の禁止義務(職業能力開発促進法第三十条の二十七一項)と守秘義務(同法第三十条の二十七・二項)も定められています。

一方「キャリアカウンセラー(career counselor)」は国家資格ではありませんので名称独占などの決まりはありません。

ただ、商標出願・登録情報によりますと株式会社ルートが第5402019号にて平成23年(2011)4月1日が登録日として登録しており、存続期間満了日 平成33年(2021)4月1日となっていますので注意が必要です。

独立行政法人工業所有権情報・研修館:特許実用新案検索フォーム

詳しくは株式会社ルートにお問い合わせください。

 

キャリアコンサルタントとキャリアカウンセラーの違いのまとめ

キャリアコンサルタントいかがだったでしょうか?

「キャリアコンサルタント(キャリアコンサルティング)」と「キャリアカウンセラー(キャリアカウンセリング)」の違いでした。

簡単に言えば、国家資格と民間資格の違いなのですが、国家資格キャリアコンサルタントの名称の認知度が低いといった点が大きな問題であり、今後の課題として社会への啓蒙活動が必要なのが事実です。

また、キャリアコンサルタントはストレス社会の現代において、必要な資格だと我々は考えています。そんな、国家資格キャリアコンサルタントの認知度向上に当サイトは貢献したいと考えており、このページを作成いたしました。

少しでも国家資格キャリアコンサルタントの認知度向上のお役に立てる事を願っています。

なお、キャリアコンサルタントドットネットは指定登録機関特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会への登録済みの「キャリアコンサルタント」のみを掲載していますのでどうぞ安心してご利用ください。

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