防衛機制(心理学)の具体例/自分の欲求・感情を知るフロイトの理論をわかりやすく説明 | キャリアコンサルタントドットネット

防衛機制(心理学)の具体例/自分の欲求・感情を知るフロイトの理論をわかりやすく説明

[記事公開日]2022/05/03
[最終更新日]2023/11/01
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人は、危険な事や自分にとっては困難な出来事などに直面した時や、受け入れるには辛すぎる苦痛や状況になった場合に、それによる不安を無意識的や意識的に軽減させるための心理的なメカニズムが防衛機制と言います。

それでは、防衛機制(心理学)の具体例/自分の欲求・感情を知るフロイトの理論をわかりやすく説明いたします。

 

Contents

防衛機制の提唱者とは?提唱者について

防衛機制の提唱者とは?提唱者について防衛機制は、ジークムント・フロイト/Sigmund Freud(1856年5月6日~1939年9月23日)がヒステリー研究から考えだされました。

後にフロイトの娘である、アンナ・フロイト/Anna Freud(1895年12月3日〜1982年10月9日)が児童精神分析の研究の中で整理した概念です。

アンナ・フロイトは、防衛機制の中でも幼児の防衛機制についての研究で特に有名です。

 

 

防衛機制について・防衛機制とは?

防衛機制について・防衛機制とは?防衛機制は、自分を守るための機能です。

危険な状況になったり、困難な出来事が起こった時に心が傷つくことを避ける為に働きます。

これは意識的だけではなく無意識的に働くこともあります。

危険な状況や困難な出来事とは「ストレス」と同じだと捉えて問題はありません。

命に関わる大きいストレスから、チョコレートが食べられなかった等の小さいストレスまで全てのストレスに対して防衛機制は働きますので、大人にだけ現れるのではなく幼児から働きます。

ただし、幼児は自我の発達が未熟ですので、一般的に成熟した防衛など高度な防衛機制が働くことはありません。

 

防衛機制の4段階

防衛機制の4段階ハーバード大学教授ジョージ・E・ヴァイラントは、防衛機制を人のこころの成熟度により分類されるとしています。

これは人の成熟度を測る目的で利用するべきではありませんが、1つの指標としての利用は問題ありません。

防衛機制は、病理的防衛機制(pathological defences)、未熟な防衛機制(immature defences)、神経症的防衛機制(neurotic defences)、成熟した防衛機制(mature defences )に分類されます。

 

病理的防衛機制(pathological defences)

病理的防衛(pathological defences)病理的防衛機制は、最も原始的な年齢が5歳以前の子どもに多く見られます。

病理的防衛機制は、自己愛的精神病的防衛機制とも言われています。

自らの理想的な側面を保護し、その側面の限界を否認するプロセスです。

病理的防衛機制は精神疾患においてもよく見られると言われています。

 

未熟な防衛機制(immature defences)

未熟な防衛(immature defences)

未熟な防衛機制は、成人に見られることもありますが、3歳〜15歳に多く見られる防衛機制です。

精神的な苦痛を和らげて苦痛を軽減させる効果がありますが、未熟な防衛機制が頻発してしまうと社会的には行きづらくなり人間関係はもちろんのこと、社会生活全体にも障害がもたらしてしまう場合が多くあります。

 

神経症的防衛機制(neurotic defences)

神経症的防衛(neurotic defences)

神経症的防衛機制は、多く認められる防衛機制です。

日常生活で支障のないような神経症的防衛機制は問題がないということもあり、多く認められるとも言うことが出来ます。

 

成熟した防衛機制(mature defences )

成熟した防衛(mature defences )

成熟した防衛機制は、病理的防衛機制、未熟な防衛機制、神経症的防衛機制の他の防衛機制を制御するためにも重要です。

年齢としては12歳以降で用いられる防衛機制です。

成熟した防衛機制は、意識して行われる防衛機制で社会に適応し豊かな人生を歩むために適しています。

ただ、意識することで自然と強化されてストップすると、病理的防衛機制、未熟な防衛機制、神経症的防衛機制に戻ってしまいますので注意が必要です。

 

防衛機制の種類・具体例

転換(Conversion)/病理的防衛機制

転換(Conversion)/病理的防衛転換とは、抑圧された感覚や衝動、葛藤が、手足の痺れや声が出なくなる失声症などに身体異変によって表現されます。

わかりやすい言葉で説明すれば、我慢したくない事を我慢することが原因で、身体の異変が生じる事を言います。他にも視野が狭くなったり、不眠や過眠、過食や誤嚥困難、嘔吐、力が入らず歩けなくな失立失歩などがあります。

転換(Conversion)の具体例

  • 学校に行きたくないから熱が出る。
  • 会社のストレスで行く時間になると吐き気がする。

 

否認(Denial)/病理的防衛機制

否認(Denial)/病理的防衛否認とは、認めたくない現実や出来事、不安やストレスの原因などから目をそらすことで、その事実を事実ではないと否認し認めないことを言います。

視界に入っていても入っていない、知っていても知らないと、聞こえているが聞いていないといった感じでそのもの自体を否認して、そのことが起こっておらず、体験しなかったことにするのです。

抑圧は、その不快な出来事自体を無意識に追い払い不快な出来事を忘れさせる働きをします。しかし、否認は知覚した上で認めないとい言うところが特徴で「見て見ぬふりをする」といった状態のことです。

否認(Denial)の具体例

  • 医者からがんだと宣告されても認めない。
  • 悪徳な宗教等にのめり込んでしまった人が、教祖の言うこと以外は間違っていると思う状態も否認の働きです。

 

歪曲(Distortion)/病理的防衛機制

歪曲(Distortion)/病理的防衛

歪曲とは、自分の考えているように、現実を再構築して認識します。

つまり、現実を歪曲して自分の都合の良いように解釈し認識するということです。幻覚や誇大妄想とも繋がりが強いと言えます。

歪曲(Distortion)の具体例

  • その出来事はこう考えるべきでありあなたは間違っている等の発言が多くなります。
  • Twitterなどで「論破した、僕の勝ちだ!」と連呼してくる人

 

分裂(Splitting)/病理的防衛機制

分裂(Splitting)/病理的防衛

分裂は、全てを善か悪かで判断してしまいます。悪が善を汚染してしまうのではないかという恐怖から善と悪を分裂させて善を守ろうとしているのです。

多重人格(二重人格)とも関連性があります。

分裂(Splitting)の具体例

  • 恋人の悪い面を認識したくないために悪い面を無視して見ないようにする。
  • 自分が持っている欠点を認めずに、その欠点を周りの人間に対して投影して責任転嫁する。

 

躁的防衛(Manic defence)/病理的防衛機制

躁的防衛(Manic defence)/病理的防衛

躁的防衛は、様々な苦痛から逃れるために、現実を否定し、自分の都合の良いように何でも解釈を変更する。「優越感(征服感)」「支配感」「軽蔑感」の三つの感情に特徴づけられています。

躁的防衛が活発化してしまうと、傷ついた対象への償いの気持ちや活動が滞るだけではなく、その対象が反抗してきたり逆襲してくるのではないかという考えが高まって、それが抑うつを深刻化させ、同時に否認のために躁的防衛にさらに頼るというような悪循環に陥ってしまいます。

躁的防衛(Manic defence)の具体例

  • 自分は万能で相手を支配できると思いこむ
  • 楽しくはないのに楽しそうに振る舞う

 

行動化(Acting out)/未熟な防衛機制

行動化(Acting out)/未熟な防衛行動化は、様々な衝動や葛藤が抑圧された際に、受け止めたり管理する訳ではなく実際に行動に移すことを言います。行動化の特徴として、この実際に行ってしまう行動がたいていの場合、反社会的な行動であるという事です。

大きく「物質嗜癖」と「行動嗜癖」に分けられます。

物質嗜癖とは、特定の物質の摂取に関する嗜癖で、ニコチン、カフェイン、薬,食べ物,シュガーなどの法的に認められたモノからアルコール、あへん、コカイン、覚醒剤、LSD、大麻、有機溶剤(シンナー、トルエン)などの違法的な薬物はもちろん向精神薬、睡眠薬、鎮痛剤,ライターのガスなども含まれます。

行動嗜癖とは、特定の行動に執着する嗜癖です。行動嗜癖は、衝動制御障害と呼ばれてもいます。行動嗜癖は具体的には、ギャンブル、摂食(過食・拒食)、性交、ポルノ、パソコン、ビデオゲーム、インターネット、エクササイズ、買い物、万引き(窃盗)、自傷行為、暴言、暴力などです。

ギャンブル依存症、アルコール依存症など、○○依存症と言われている名称の多くが行動化の具体例と言えます。

行動化(Acting out)の具体例

  • 薬物依存症
  • 窃盗症

 

途絶・遮断(Blocking)/未熟な防衛機制

途絶・遮断(Blocking)/未熟な防衛途絶・遮断は、意識障害がある訳ではないのに,感情を意識に上がらないように思考や行動の流れが突然停止し、行動や談話が中断することを言います。ただし、まもなく元に戻ります。

途絶・遮断(Blocking)の具体例

  • 一過性の記憶障害

 

病気不安症(Illness Anxiety Disorder)/未熟な防衛機制

病気不安症(Illness Anxiety Disorder)/未熟な防衛

病気不安症は、身体の徴候や症状が起こりそれを誤った解釈して、病気にかかるかあるいはかかっているとの思い込んで、著しい苦痛や機能の障害を呈し、病気に関する不安に著しくとらわれ、正常を逸脱することを言います。

病気不安症(Illness Anxiety Disorder)の具体例

  • 頭痛や熱などが些細な心身の不調をガンなどの重病だと思い込む。
  • 検査し異常がないと結果が信じることが出来ず、複数の病院で検査してもらう。

 

受動的攻撃行動(Passive-aggressive behavior)/未熟な防衛機制

受動的攻撃行動(Passive-aggressive behavior)/未熟な防衛受動的攻撃行動は、怒りや不満などのマイナスでネガティブな感情を相手にぶつけることではなく、消極的な態度や行動で相手を攻撃しようとすることを言います。

代表的な例えとしては「緘黙(かんもく)/無視」「サボタージュ」「抑うつ状態」があります。

  • 黙ること/緘黙(かんもく)・無視
    相手を無視する事で相手を困らせ攻撃する事
  • サボること/サボタージュ
    仕事などを意図的に遅らせたり、怠けたりすることで相手を困らせ攻撃する事
  • 抑うつを示すこと/抑うつ状態
    気分が沈んだ状態になることで相手を困らせ攻撃する事

受動的攻撃行動は意識的に行われることもありますが、無意識的に行われることもありえます。

受動的攻撃行動は、子どもが親から叱られた時に、黙って無視したり、無気力なままにイヤイヤお片付けをしたり、どんよりと落ち込んだようにしたりすることを思い浮かべればわかりやすいのではないでしょうか?

受動的攻撃行動(Passive-aggressive behavior)の具体例

  • 子どもが叱られたときに、イヤイヤお片付けをする。
  • 上司に叱られている時にふてくされた態度で話を聞いている。

 

取り入れ・摂取( Introjection)/未熟な防衛機制

取り入れ・摂取( Introjection)/未熟な防衛取り入れ・摂取は、友人や知人などが主に周囲の人の感情や観念、価値観などを自分自身のモノやコトのように感じて受け入れたりすることを言います。簡単に説明すれば「真似をする事で自分を守ろうとする」ことです。

取り入れることは主に、自分自身が他者に対して好ましいと感じたりしている部分であることが多く、発達段階においては道徳心や良心の形成に役立つ反面、現代では主体性のなさに繋がるなども考えられたり、自他の区別がつきにくい人間となる場合もあります。

また、周囲の人の成功を自分のことのように思い込んで満足してしまう”自我拡大”の恐れもあります。

取り入れ・摂取( Introjection)の具体例

  • 先生に叱られて苦痛だと感じた児童や生徒が、叱った先生の攻撃性を取り入れる事で攻撃的になる。
  • 上記の例で、児童や生徒が女性で先生が男性の場合に、男性的なふるまいをしたりする。

 

理想化(idealization)/未熟な防衛機制

理想化(idealization)/未熟な防衛

理想化は、困難な感情を処理できずに統合することが出来ないときに、その状況や対象を善と悪に分裂させていずれかとして捉えることを言います。

状況や対象を全てが良いモノとして捉える場合に原始的理想化(primitive idealization)、状況や対象を全てが悪いモノとして捉える場合に脱価値化(devaluation)が起こります。

児童や幼児期の子どもは、人間は良い面と悪い面があることを学ぶため、理想化は問題ありません。

また、成人であっても理想化しますが、それが問題な訳ではありません。問題となる理想化は未熟な理想を繰り返す事です。

理想化(idealization)の具体例

  • 自分の恋人は完璧であると主張する人。
  • 宗教の指導者や教祖などの間違いは犯さずに、リーダーを脱価値化するくらいなら死を選ぶ。

 

投影性同一視(Projective identification)/未熟な防衛機制

投影性同一視(Projective identification)/未熟な防衛

投影性同一視は、自分の嫌な部分やダメだと思っている部分を他人に押し付けて自分が完璧であろうとすることを言います。他者を利用して、自分を良い人だと思うような行為です。

部下に対して「時間にルーズでだらしない!」と非難をする上司は自分が時間を守らずにだらしない場合などがこれにあたり、自分の嫌な部分を他人に押し付けているのです。

投影性同一視(Projective identification)の具体例

  • 自分がAさんを嫌いという気持ちを受け入れることが出来ずに、Aさんが自分を嫌っていると思い込む。
  • 有名人の不倫や浮気報道などを自分には全く関係ないことなのにも関わらずに非難する。

 

投影(Projection)/未熟な防衛機制

投影(Projection)/未熟な防衛投影は、自分自身が持っている感情を、自分が持っているのではなく他者が持っていると捉えることを言います。

例えば、恋人の浮気が心配だと感じている人は、自分自身が浮気することを心配している場合です。浮気を考えたことがない人が恋人の浮気を心配するはずはありません。なぜなら浮気という考え自体が思い浮かばないからです。

投影(Projection)の具体例

  • 自分が苦手だと思っている相手が自分を苦手だと思い込む。
  • 恋人の浮気が心配している人が浮気をしたいと思っている。

 

退行(Regression)/未熟な防衛機制

退行(Regression)/未熟な防衛退行は、赤ちゃん返りと言えばわかりやすいかもしれません。

赤ちゃん返りとは、一人目の子ども(長男・長女)は、赤ちゃん(妹や弟)が生まれて、自分が今までのように相手をしてもらえないからおねしょをしたり、怒りっぽくなったりする現象のことです。

大人の場合には、引きこもったり活動範囲が狭くなったりします。また、不安な時に他者の意見を鵜呑みにしたり依存的になったりするのも退行の一つです。感情のコントロールが難しく怒りっぽくなったり泣いたりすることもあります。

ただ、芸術的な発想や研究者などにみられる「創造的な退行」もあります。「創造的な退行」は現実的な事柄や理性的な事柄などから自身を解放することで、一般的ではない新しい発想や発見に導いたりする働きです。

退行(Regression)の具体例

  • 赤ちゃん返り

 

身体化(Somatization)/未熟な防衛機制

身体化(Somatization)/未熟な防衛身体化は、我慢などによって抑圧された衝動や葛藤などが、身体的な症状として表れることを言います。

様々な検査をしても異常はないが、頭痛、腹痛、吐き気がするなどの症状が表れるのです。

身体化(Somatization)の具体例

  • 学校に行きたくないが言えないので登校時間間近になると熱が出る。
  • 会社でのパワハラが原因で出社日に腹痛が起こる。

 

希望的観測(wishful thinking)/未熟な防衛機制

希望的観測(wishful thinking)/未熟な防衛希望的観測は、根拠もないままに「こうあって欲しい」とか「ああいう風な感じだったらいいな」などという希望的な観測に影響されて判断してしまう事を言います。

例えば、ギャンブル依存症の恋人が結婚したら治るだろうと考えたりすることを言います。なお、願望している結果(ギャンブル依存症が治る)が願望している結果にならない(ギャンブル依存症が治らない)よりもありそうだと予測することを指します。

希望的観測(wishful thinking)の具体例

  • 暴力的な恋人が結婚したら治るだろうと考える。

 

統制(Controlling)/神経症的防衛機制

統制(Controlling)/神経症的防衛統制は、完璧主義者の人が陥りやすく、周囲の人や環境などの出来事や対象を、過度に管理したり統制したり、しようとしたりすることを言います。

自分が統制しないと、自身の内面的な脆弱性から身を守ることが出来ないという”誤った信念”を持っている為です。

統制(Controlling)の具体例

  • 恋人を過度に束縛して自分がコントロールする。

 

置き換え(Displacement)/神経症的防衛機制

置き換え(Displacement)/神経症的防衛置き換えは、本来の欲求とは別の対象に心のエネルギーを向け換えることを言います。

向け換える対象は、本来の欲求となる対象と関連している場合もありますが、他者から見た場合には無関係に見える場合もありわかりにくいものもあります。

置き換え(Displacement)の具体例

  • 会社で上司に怒られたことを家の中での些細な出来事で文句を言う。
  • 小さい頃にいじめを受けていた人が社会に出てから周囲の人に攻撃的になる。

 

解離(Dissociation)/神経症的防衛機制

解離(Dissociation)/神経症的防衛解離は、自分が適応出来る能力を超えた苦痛を伴う出来事や経験から自分を守るために感情、思考、体験を切り離すことを言います。「意識、記憶、同一性、知覚、運動、感情などの通常は統合されている心的機能の統合制の喪失」と定義されています。

いじめられていることが辛いので、いじめられているのは自分ではなく他者であると考えて、自分の中に自分ではない他者を作り上げてその自分が作り会えた他者がいじめを受けていると考えるのです。

これは健康な解離と病的な解離があります。

健康な解離は「授業が楽しくないので白昼夢を見て授業の内容を思い出せない」などがこれに当たります。病的な解離は「世間で言われる多重人格と言われる”解離性同一性障害”」がこれに当たります。

解離(Dissociation)の具体例

  • テレビや映画などを見ていて、話の内容が楽しくワクワクさせる内容だから周囲の出来事に気づかなくなる
  • 戦争や大災害などトラウマ的体験の時

 

外在化(Externalization)/神経症的防衛機制

外在化(Externalization)/神経症的防衛外在化は、客観的に見ることが出来るようにすると言えばわかりやすいのかもしれません。もう少し違った言い方をすると”他人事化”です。

例えば、上司に叱られて涙が出てくることを紙などに書いて見ることが出来るようにすることを言います。叱られた際に「自分はダメだ」と思う場合が多くありますが、これを外在化することで「自分自身全てがダメなわけではなく昨日は映画を夜中まで見ていて睡眠不足だから集中できずミスをしてしまった。つまり、夜ふかしをした過去の自分が悪いわけ」というように問題を客観視、他人事化することが出来るのです。

外在化(Externalization)の具体例

  • 子どもがお腹が痛いと言った時に「チクチクさんがいる?それともズキンズキンさんがいる?」などと聞く行為。

 

知性化(Intellectualization)/神経症的防衛機制

知性化(Intellectualization)/神経症的防衛知性化は、知識を用いることで客観的にその出来事などを理解しようとすることを言います。

「平均体重よりも少し重い方が健康に良い」などと、知識を用いて客観的に自分が平均体重よりも重いことを納得しようとする場合などがわかりやすいのではないでしょうか?

知性化(Intellectualization)の具体例

  • 女性にフラれた時に、自分の年代で結婚できる確率は○%だから当たり前と納得する。
  • コミュニケーションが苦手な人がマニアックな趣味の知識をたくさん得ようとする。

 

隔離・分離(Isolation)/神経症的防衛機制

隔離・分離(Isolation)/神経症的防衛隔離・分離は、受け入れがたい事実や感情に気づいているが意識しないことを言います。それを切り離すことで逃れようとします。

仕事などで嫌いな人に有効的な挨拶をするなどは隔離に当たりますが、このように社会に適応するために効果的な側面も持ち合わせています。

隔離・分離(Isolation)の具体例

  • ペットとして鶏を飼っているのに鶏肉料理を毎日食べる
  • 健康関連商品の仕事をしているのにヘビースモーカー

 

反動形成(Reaction formation)/神経症的防衛機制

反動形成(Reaction formation)/神経症的防衛

反動形成は、受け入れられない感情や考えに対して、それとは逆の行動や態度をとることを言います。

嫌いな人に丁寧な態度で接したりする行為がこれに当たります。ただ、この行為は社会的に相応しくないことなどを社会的に望ましい方向に向かわせる行為ですので抵抗的な防衛ということが出来ます。

反動形成(Reaction formation)の具体例

  • 嫌いな相手に対して丁寧に接する。
  • 知識がないのに知識があるようなふりをする。

 

抑圧(Repression)/神経症的防衛機制

抑圧(Repression)/神経症的防衛抑圧は、嫌なことを思い出さないように無視することを言います。これは意識的に行うわけではありません。心の奥底に無意識にしまい込んで意識に上がらないようにするのです。

自分が不快だと思う体験や考えを無意識的に押し込み、忘れさせるこころの働きです。

抑圧(Repression)の具体例

  • 親からの虐待を忘れる。
  • 大切なメールの送信を忘れたりする。

 

打ち消し(Undoing)/神経症的防衛機制

打ち消し(Undoing)/神経症的防衛

打ち消しは、不安や罪悪感、恥を生じさせた行為後に、やり直したり、打ち消したりするような類似の行為または、正反対である真逆の行動をとって無効にしようすることを言います。

打ち消し(Undoing)の具体例

  • 浮気をした罪悪感から配偶者の機嫌を取る。
  • 不本意な異性との性行為を忘れるために複数の異性と関係を持つ。

 

社会的比較理論(Social comparison theory)/神経症的防衛機制

社会的比較理論(Social comparison theory)/神経症的防衛社会的比較理論は、自分の能力を把握するために周囲の人やモノなどと比較して、社会の中での自分の位置を確かめようとする事を言います。

これは誰もが無意識的に行っている、「他人と自分を比較している行為」と同じです。

ここで重要なのは比較対象の選び方です。

自分が自身がある場合は、自分より優れている人と比較する傾向にあり、これを「上方社会的比較(Upward social comparison)」と言います。

逆に自分に自身がない場合は、自分よりも劣っている人と比較する傾向にあり、これを「下方社会的比較(Downward social comparison)」と言います。

下方社会的比較を続けていると、成長を促すことをしなくなりますので、何でも悪い方に考えてします「ネガティブ思考」に陥る可能性が高くなります。

社会的比較理論(Social comparison theory)の具体例

  • 自分はダメな奴だと思っていたが、自分よりもダメな奴がいるんだと思う。(下方社会的比較)
  • 起業したばかりの人が、イーロン・マスクのようになるぞと思う。(情報社会的比較)

 

逃避(Withdrawal)/神経症的防衛機制

逃避(Withdrawal)/神経症的防衛逃避は、実際に起こった様々な出来事から、心理的に逃れるだけではなく物理的にも逃れようとする行為を言います。逃避は、現実逃避、空想逃避、病気への逃避に分類されています。

逃避(Withdrawal)の具体例

  • 試験勉強から逃れるために買い物に行く/現実逃避
  • 2次元の女性アイドルへ恋心を抱く/空想逃避
  • 試験の前に腹痛になる/病気への逃避

 

受容(Acceptance)/成熟した防衛機制

受容(Acceptance)/成熟した防衛

受容は、今の状態や出来事を変化させず、抵抗せずに理解しようとする行為を言います。

その状態や出来事はネガティブな状態や不快である場合が多いのが特徴で、辛い状況をそのまま受け入れるということです。

受容(Acceptance)の具体例

  • 子の突然の死を受容する。

 

愛他主義(Altruism)/成熟した防衛機制

愛他主義(Altruism)/成熟した防衛愛他主義は、自分が不利益な立場や状態になったとしても他者に変わって助けをすることを言います。他者の利益を第一に考えて行動し、利他主義とも言われています。

愛他主義(Altruism)の具体例

  • 利便性という利益を放棄して歩いてしか行動しない。
  • プラスティックゴミを減らすためにベジタリアンを実践する。

 

先取り(Anticipation)/成熟した防衛機制

先取り(Anticipation)/成熟した防衛

先取りは、将来を予想して、現実的な計画を立てることを言います。つまり、悪い状況になる前に保険をかけるということです。

先取り(Anticipation)の具体例

  • 寝たきりの老人が「早く迎えに来てほしい」と言う。

 

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禁欲主義(Asceticism)/成熟した防衛機制

禁欲主義は、好ましくない結果を生み出す様々な欲望に気持ちが囚われないように、その欲望に関するモノやコトに近づかないようにすることを言います。

食欲や性欲など本能的な欲望はもちろん、アルコールやギャンブルなどの欲望も含まれます。

禁欲主義(Asceticism)の具体例

  • 酒癖が悪くお酒を飲むとトラブルを起こすのでお酒を飲まないようにする。

 

セルフコントロール(Self control)/成熟した防衛機制

セルフコントロール(Self control)/成熟した防衛セルフコントロールは、自分の感情や思考、行動を自分の意思でコントロールすることを言います。

自制心や意志力とも呼ばれています。

セルフコントロール(Self control)の具体例

  • ダイエットをするのにトレーニングと食事を節制する。

 

レジリエンス(resilience)/成熟した防衛機制

レジリエンス(resilience)/成熟した防衛

レジリエンスは、ストレスなどで自身の気持ちに歪みが生じた際に、その歪みを元に戻そうとすることを言います。

レジリエンスは、性格などの個性という訳ではありません。誰もが学習することで発展させることが可能であるとされています。

歪みを元に戻そうとするレジリエンスが高いという事は、挫折を乗り越えることが出来るという事に直結します。

レジリエンスは「自己認識」「自制心」「精神的敏速性」「楽観性」「自己効力感」「つながり」「生物学的要素(遺伝子)」「ポジティブな社会制度」が構成要素とされています。

レジリエンス(resilience)の具体例

  • ストレスを脅威と思わずに自分が成長するための挑戦だと捉えること。

 

ユーモア(Humor)/成熟した防衛機制

ユーモア(Humor)/成熟した防衛

ユーモアは、「笑う」とほぼ同義語です。

しかし、ただ単に笑うという意味ではなく、センスと思いやりがある笑いになります。つまり、男性だけが楽しいセクハラ発言で起こる笑いはユーモアではありません。

ユーモアは最も高いレベルの防衛機制だとフロイトは言っています。

ユーモア(Humor)の具体例

  • サラリーマン川柳

 

同一視(Identification)/成熟した防衛機制

同一視(Identification)/成熟した防衛

同一視は、自分が理想とする人や尊敬する人を真似て欲求を満たすことを言います。

本を読み著者の思想が自分の思想にするなども含まれます。

同一視(Identification)の具体例

  • 有名ロック歌手に憧れて同じモヒカンにする。

 

昇華(Sublimation)/成熟した防衛機制

昇華(Sublimation)/成熟した防衛

昇華は、社会的に認められない反社会的な欲求や衝動を、社会的に望ましいとされる別の形で表現して自己実現を図ろうとすることを言います。

不良がボクサーになったりするのがわかりやすいのではないでしょうか?

昇華(Sublimation)の具体例

  • 性的な欲求を芸術的な作品で表現する

 

抑制(Suppression)/成熟した防衛機制

抑制(Suppression)/成熟した防衛

抑制は、意識的に不安を感じるような出来事などを考えないようにしたり、願いが叶わないと思われる事などについて、考えるのを避けることを言います。

意識的に行う点で「抑圧(Repression)/神経症的防衛機制」と違います。

抑制(Suppression)の具体例

  • 失恋したことを忘れるように仕事に没頭する。

 

防衛機制の関連書籍等一覧

 

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