[最終更新日]2022/05/13
起業家の中には新規事業を「リーンスタートアップ」で成功させたいという考えの方も多いはずです。
しかし、「リーンスタートアップ」をしっかりと理解していない・・・。そんな起業家や今後起業される方向けに「リーンスタートアップ」をわかりやすく説明いたします。
Contents
リーンスタートアップの言葉の意味や語源とは?
リーンスタートアップは、英語ではlean startupと書きます。leanは形容詞、startupは名詞と二つの単語で構成されています。
起業ブームの昨今、スタートアップは「起業」といった感じで理解されている方も多いはずですが、もう少しひも解いて説明いたします。
leanとは?
leanとは、トヨタ自動車のトヨタ生産システムの別名「リーン生産方式」が由来しています。
リーン生産方式は、プロセス管理をさらに効率化することで、大量生産方式が当たり前だったトヨタ自動車が取り入れられた新しい方式です。
少量多品種の生産にも対応することが可能で、大量生産方式と同じ品質を保ちながらも、時間と在庫を大きく削減可能な方式です。
つまり、lean startupのleanは日本語で無駄を排除し効率的という意味になります。
startupとは?
startupという単語の意味は、「行動開始の、操業開始の」等の意味があります。
行動開始の企業といえば「ベンチャー企業」と言われる企業もありますが、「startup」と「ベンチャー」は一体何が違うのでしょうか?
英語の”Venture”は、投資をする企業や投資家を指しますが、ベンチャー企業とは、日本で作成された和製英語です。日本で言われているベンチャー企業とは、「新たに立ち上がったスモールビジネス」という意味で、大企業では実施しにくい小回りの効く経営や、思い切った決断をする中小企業と考えているのが一般的です。
ベンチャーとstartupの違いは「イノベーション」があるかどうかという点が大きな違いです。
イノベーションとは、生活様式や社会、仕組みを変えるためにビジネスモデルもない為、新しいビジネスモデルを開発して急激な成長を目指すのです。
リーンスタートアップ(lean startup)の言葉の意味や語源のまとめ
lean startupは、無駄を排除し効率的でイノベーションがある急激な成長を目指すことを言います。
lean startupは無駄を排除し効率的でイノベーションがある急激な成長を目指すのことを指している企業と思われるかもしれません。しかし、そう考えると理解しにくいことがあります。
その為、lean startupは無駄を排除し効率的でイノベーションがある急激な成長というアプローチで目指すマネジメント論と理解された方がわかりやすいのが実情です。
リーンスタートアップの提唱者について
リーンスタートアップは、アメリカの起業家でサンフランシスコ在住のエリック・リース(Eric Ries:1979年〜)が2008年に提唱しました。
日本では2012年に”リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす”として販売されています。
エリック・リースはハーバード・ビジネス・スクールのアントレプレナー・イン・レジデンスでもあります。
リーンスタートアップとは?
リーンスタートアップは、検証による学びを通して、顧客が必要とする画期的な商品やサービスをより早く、高確率で生み出すための手法です。
「①仮設」を立てた上で、スピーディーに、商品やサービスを構築し市場に投入「②計測」し、「③検証」し反応結果を反映させる「④学習」をすることが大切です。
更に大切なポイントは、仮説を立てて学習させるまでのサイクルをなるべく早く回すことです。
早く回すためには、まずは実用最小限の製品(MVP:minimum viable product)を作ります。MVPは、必ずしも完成度が高いものである必要はありません。なるべく労力と時間をかけないで開発することが望ましいと言われています。
その後は市場に投入し、その反応を見て改良・検証・学習を加えていく必要があります。
【リーンスタートアップステップ①】仮設
顧客のニーズを満たす製品、サービスの「仮説」を立てます。
【リーンスタートアップステップ②】構築・計測
仮説で立てた製品・サービスを構築します。構築の際には最低限の機能や性能で商品やサービスで開発しましょう。また、費用・コストも同様です。
なるべく、労力と時間をかけずに開発することが望ましいということです。なお、実用最小限の製品をMVP(Minimum Viable Product)と言います。
その後商品やサービスは市場に投入し次のステップの検証のために「計測」を行います。
【リーンスタートアップステップ③】検証
計測した商品やサービスは顧客のリアルな反応を「検証」します。
【リーンスタートアップステップ④】学習
検証した際の反応を商品やサービスに反映させ「学習」します。
繰り返しになりますが上記のサイクルを迅速に回します、発生する費用やコストは最小限に保ちながらも前例のない新ビジネスのプロセスを創造することを目指します。
仮説が誤っていた場合のピボットとは?
必ずしも仮説が正しいとは限りません。
商品やサービスを市場に投入し、検証した際に仮説が誤っている場合が多くあるのが当然です。仮説にギャップが合ったり、MVPの受け入れ性が低い時は大きな方向転換する必要があります。
この方向転換をピボットと言います。
体育の授業でバスケットボールをした時にピボットを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?ボールを持っている人が片足を軸としてもう一方の足を動かすことです。
ゴールという目的地に向かって方向転換するという点では、リーンスタートアップもバスケットボールのピボットも同じと考える事が出来ます。
リーンスタートアップでは、仮説が間違っていた場合にはピボットして戦略を変えるか、もうしばらく同じサイクルを回すかどうかを検討します。
もちろん、同じサイクルで回すということも一つのサイクルです。
しかし、新しい商品やサービスを展開する場合には人間は強い思いがある場合があり、ピボットする必要があると思っても決断が遅れることがあり得ます。
そんな時の為に、スピーディーに、ピボットするためにも、どの段階でピボットをするかの基準を事前に設けておくことでピボットしやすくなります。
リーンスタートアップのメリット
リーンスタートアップにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
それではリーンスタートアップのメリットを説明いたします。
コスト(時間と労力)の節約
一番のメリットはコスト(時間と労力)の節約です。
商品やサービスの仮説を立てている段階では、基本的に成功するというイメージがわいているのが一般的です。
しかし、当然サイクルを早く回すことで顧客のニーズに合っていないという結果になったとしてもその要した時間が短くて済みます。
時間が短いということは、労力も少なく済みコストが少なく済むことに繋がります。
VUCA時代に適応
VUCAとは、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性と英語の頭文字をとった造語で、どのようになるのかわからないという社会を表しています。
そんなVUCAの時代には、入念な準備をしている間に顧客のニーズが変化したりインフラ環境の変化も考えれます。
また、競合他社に追い抜かれることもあり得ます。
早い段階でのフィードバッグは大きな失敗を防ぐことにも繋がるのです。
マネジメントの優先順位が明確化する
投入できる資金や人的なソースは無限にある事はあり得ません。
事業をリーンスタートアップ的に進める事で、資金や人的ソースの制限がある中でおのずと優先順位を考えるようになり、効率的に進める事が出来るのです。
リーンスタートアップが活用出来る分野や業種
リーンスタートアップはどの分野・業種でも活用できるという訳ではありません。
それではどのような分野や業種で活用できるのでしょうか?
PICKUPキャリコン
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ニーズが読めない分野
ファッション関係はニーズが読めない分野の例です。
ファッションセンスは、多様で複雑なニーズがありリーンスタートアップには有効です。
その他の同様分野にも効果的です。
WEBサービス
インターネットを活用したサービスやホームページなどを活用したWEBサービスはリーンスタートアップが活用できる代表的な分野です。
ホームページを開設し、アクセス数やアクセス時間、アクセスされたページや滞在時間、検索されたキーワードなど、様々な分野で顧客のニーズを検証し学習していきます。
「業務の変化・改善」「働き方改革」の分野
業務を変化・改善させるためには、段階的な取り組みが必要です。小さなことから変革していく為にはリーンスタートアップはとても効果的です。
また、最近では働き方改革の影響で生産性を向上をさせるサービスなどが登場しており、この分野も小さくはじめて大きく変えるリーンスタートアップは欠かせません。
リーンスタートアップの誤った情報や勘違い
リーンスタートアップは最近話題になっていますが、一般的にはまだまだ知られていないことも多い為に、誤った情報で広がっている面があります。
よく聞かれる誤った情報や勘違いは以下の通りです。
リーンスタートアップは新しいアイデアを生む手段?
リーンスタートアップを実践すれば新しいアイデアが生まれる訳ではありません。そもそもリーンスタートアップは新しいアイデアを生むための手段ではありません。
新しいアイデアを0から1という形で説明しますと、リーンスタートアップは既にあるアイデアの1を10や100はたまた、1万や1億など大きくしていくためのマネジメント手法なのです。
ですので、リーンスタートアップを実践すればイノベーションが生まれる訳ではなくありません。
リーンスタートアップは「考えるよりも行動」と同じ?
自己啓発セミナーや自己啓発本には「考えるよりも行動を!」と言われています。考えるよりも行動、計画よりも行動、このような言葉とリーンスタートアップとは違います。
無秩序な行動ではなく、「無駄を排除し効率的でイノベーションがある急激な成長を目指す」というゴールに向かっての行動をすべきだということです。
必ず成功する手法などある訳ではなく、顧客に価値を提要するプロダクトに力をいれる立ち上げたアプローチが良いと考えられています。
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リーンスタートアップの注意点
リーンスタートアップには以下の注意点があります。注意点を理解してリーンスタートアップをご活用ください。
USP(Unique Selling Proposition)を意識する
USP(Unique Selling Proposition)とは自社の商品やサービスだけが持っている強みのことを言います。マーケティングの際に使用される用語です。もう少し深く言うと「顧客に対して、自社だけが約束できる利益」です。
USPは複雑である必要はありません。シンプルで訴求力のあるモノやサービスが望ましいです。
USPが明確であり顧客が利益を理解出来れば迷わずに選択をしてくれるからです。
例えば、ユニクロは手ごろな価格でお洒落であるという点でUSPが明確です。他にも吉野家の「早い安いうまい」もわかりやすいUSPと言えます。
設備投資を要しない企業に有効
リーンスタートアップは、ウェブ関連などインターネットを活用したサービスなど、比較的に設備投資をあまり要しない業種で有効です。
逆に初期投資がかかり、変更が容易ではない重厚長大型の製造業では、応用しにくい面があります。ただし、最近では3Dプリンターなどの性能が著しく向上しており、性能が向上している3Dプリンターなどでは製造業でも活用できるようになるのではないでしょうか?
陳腐すぎる場合にはブランド価値を落とす可能性がある
構築の際には最低限の機能や性能で商品やサービスで開発が重要です。
しかし、急ぎ過ぎにも注意が必要です。スピードを求めるあまりに、あまりにも陳腐すぎたり貧弱な商品やサービスを提供してしまうと築き上げたブランド価値を落とすことが考えられます。
リーンスタートアップ関連サイト
- 今さら聞けないリーンスタートアップの基本
- リーン・スタートアップとは?
- リーンスタートアップとは? 言葉の意味や基本的な知識を徹底解説
- リーンスタートアップ
- リーンスタートアップが時代遅れと言われる要因と8つの有効な市場
リーンスタートアップのまとめ
リーンスタートアップはもう時代遅れだという意見がありますが、まだまだリーンスタートアップは有効な手段だと考えます。
しかし、SNSが発展して拡散するスピードは急速に向上しており、予想しているよりもサイクルを早く回さなければならない場合も多くなっています。
そんなスピードにも合わせてリーンスタートアップを活用されることをお勧めいたします。