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《鉄道会社への就職》運転士や車掌の業務内容から考える鉄道会社に内定がもらえる人材

[記事公開日]2020/01/08
[最終更新日]2022/02/14
《鉄道会社へ就職》運転士や車掌の業務内容から考える鉄道会社に内定がもらえる人材

将来のことを考えている方や就職活動中の学生の方でこのような思いの方も多いのではないでしょうか?

  • 小さな頃からの夢で鉄道会社に就職したい
  • 新幹線の運転士になって日本の大動脈を支えたい
  • 豪華クルーズトレインの車掌として外国人に日本の良さを伝えたい
  • 鉄道には興味がないけど鉄道会社へ就職したい
  • 大企業だから鉄道会社で働きたい
  • 安定しているから鉄道会社で働きたい

そんなことを思いながらも、実は鉄道会社の車掌・運転士の仕事を知らないなんていう学生の方も多いのではないでしょうか?

また、「鉄道好きしか就職できない」や「鉄道マニアは就職できない」と全く逆の噂話を聞いて不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そんな鉄道会社への就職を目指す学生の方に、鉄道会社の現場の仕事とはどのようなモノなのかを分かりやすく説明し、そこから考える鉄道会社が求めている人材について考えてみたいと思います。

 

鉄道会社はJRと私鉄

鉄道会社はJRと私鉄鉄道会社とは大きく分けて2種類あります。

JRグループ私鉄があります。

JRグループは元日本国有鉄道の北海道旅客鉄道・東日本旅客鉄道・東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道・四国旅客鉄道・九州旅客鉄道・日本貨物鉄道の企業群の総称を言います。それぞれJR北海道・JR東日本・JR東海・JR西日本・JR四国・JR九州・JR貨物という略称が使用されています。それぞれの会社間に資本関係はありません。

私鉄はJRグループ以外の総称です。

東証一部上場企業からJRグループの赤字線を引継ぐ形で第三セクターで運営している会社などもあります。

 

鉄道会社の就職試験で必ず受けるクレペリン検査

鉄道会社の就職試験で必ず受けるクレペリン検査鉄道会社の就職試験には筆記試験や面接試験などの一般企業に就職する際に受ける試験とは別に、「内田クレペリン検査」を受けなければなりません。

1桁の足し算を時間内に続けるという簡単なテストです。

テスト内容は足し算をするだけですので決して難しい訳ではありませんが、この試験は車掌や運転士になる際にも受ける会社もあり、就職試験の段階でこのテストで不合格になれば内定はもらえません。

つまり非常に重要なテストなのです。

 

 

鉄道会社の業務とは?乗務員(車掌・運転士)になる為には

鉄道会社の業務とは?乗務員(車掌・運転士)になる為には鉄道会社の乗務員には車掌と運転士とに分かれています。一部列車は車掌を省き運転士のみのワンマン運転する列車もあります。

車掌と運転士は別の職種ですが、車掌と運転士になる前に駅員としての業務に就く会社がほとんどです。

また、駅員の次に車掌、車掌の次に運転士とする鉄道会社が多くなっています。

駅員として旅客運賃制度や安全運行の仕組み、老若男女問わないお客様との接し方を学ぶといった意味があります。

また、その後に車掌として列車運行の仕組みを理解した後に運転士になります。運転士のミスは、直接人の命に係わりますので、仕事を理解した人を選ばなければならないのです。

それではまずは、駅係員時代の仕事や勤務体制について説明いたします。

 

駅係員・駅務員の仕事と勤務体制

駅係員・駅務員の仕事と勤務体制駅係員は基本的に24時間勤務です。

9:00~翌9:30までの勤務となります。

1度の勤務で2日分の仕事をするので「勤・明・休」というシフトが多く、出勤日は月に10日ほどです。朝まで仕事をした日(明け)はそのまま休みですので時間的な余裕はあります。

また、同僚とも勤務シフトにより会わない期間が長く続く事もありますので、一般企業と比べて良い意味でも悪い意味でも人間関係は複雑になります。

駅係員だけではなくどの職種も同じで基本的に自社線で出勤をしなければなりません。他社線を利用して出勤がしたい場合は自社線を使用した場合よりも30分以上短くならなければならないなど細かな規定が設けられています。

また、月に10日の出勤ですので他社線利用の場合は回数券を分割した形での支給となります。例えば、250円区間の利用の場合は2500円÷11回×出勤回数の額が翌月に支給されます。なお、自社線内は基本的に無料で利用することが出来ます。

それでは勤務時間はどのようになっているのでしょうか?

駅員の勤務パターンイメージです。

駅員の24時間勤務のパターン

 9:00~ 9:30/朝礼・引継ぎ
 9:30~12:00/中央改札B
12:00~13:00/休憩
13:00~15:00/西改札B
15:00~15:30/パンフレット整理
15:30~16:10/休憩
16:10~19:10/中央改札A
19:10~20:10/休憩
20:10~22:40/西改札B
22:40~23:20/休憩
23:20~ 1:20/中央改札A
 1:20~ 7:00/休憩(仮眠)
 7:00~ 9:30/西改札B

朝の30分は朝礼と引継ぎ時間になりますので、朝礼時間も勤務時間に含まれています。

昼夕食ともに1時間の休憩があります。

就寝前の休憩(22:40~23:20)では、お風呂に入り勤務終了後の仮眠ではすぐに寝ることが出来るようにします。駅にはお風呂が設置されていますが石鹸類はありませんのでロッカー内に置いています。

次に人身事故などのダイヤ乱れが起こっていてもよほどの事がない限り残業はありません。朝の通勤時間にダイヤ乱れが起こった場合でも、翌勤務日の従業員が出勤していますし、駅長等の日勤業務の管理職が出勤していますので残業する必要がありません。

また、駅の大小により勤務体制が違いますが、大きな駅では改札業務にあたる従業員は改札業務のみを行います。出札業務にあたる従業員は終電間際や朝早い時間などは改札業務を行ったりする場合があります。

この勤務パターンは終電まで勤務するパターンですが、始発担当の場合は就寝時間が早く、4時頃の起床で朝に休憩が30分程あります。

仮眠室は個室で布団があります。大きな駅(管轄駅)の場合は常に従業員が起きている状態ですので、起床時刻には仮眠室に起こしに来てくれます。大きな駅の場合に寝坊する事はまずありえません。

小さな駅では布団の下で風船が膨らむ起床装置があります。始発担当の従業員は起床後に管轄駅へ起床した旨連絡する必要があります。連絡がない場合は管轄駅が電話にて起こします。まれに新聞で「駅員が寝坊」と報道がされますが小さな駅での出来事になります。

なお、時間管理に対する処分(遅刻等)は一般企業に比べて非常に厳しくなっています。乗務員になった際には乗務員一人の遅刻が何万人もの乗客への影響が考えられますので、駅係員時代から時間管理が徹底されています。

駅構内で行ったトラブルに関してはすべて駅係員が対応します。若者カップルの喧嘩など個人的なトラブルから不正乗車や駅階段での盗撮などの法的なトラブル対応まで初期対応は駅係員がすべて対応しなければなりません。

そして、その中の一つに人身事故の処理があります。

時速100km以上の列車に轢かれた遺体を探すのも駅係員の仕事です。停車する予定だった列車に轢かれた場合には、列車の下にある遺体を引きずりだす事をしなければなりません。探した遺体も、警察が到着し引継ぎをするまでの間は監視しておかなければなりません。これもすべて駅係員の仕事です。

1年目で人身事故を経験する駅係員もいますが、定年まで人身事故経験がない駅係員もいます。どちらが多いという割合で説明する事は出来ませんが、入社後の研修では「神のみぞ知る事だ」と言われます。

 

車掌(列車長)の仕事と勤務体制

車掌(列車長)の仕事と勤務体制駅係員から車掌になる際には社内試験に合格しなければなりません。

車掌は国家資格ではありませんが、社内試験で筆記試験と面接試験に合格することが必要です。当然クレペリン検査にも合格しなければなりません。

社内研修センターで1か月、現場で1か月の研修後に一人乗務する事になります。

研修センターでは学校と同じで座学が中心です。現場での研修はお客様が乗っている列車に乗っての実地実習です。同じ先輩車掌と基本的に1カ月間乗務し指導してもらいます。

研修センターでは料金計算やおおまかな車両の操作方法などを学びます。もちろん、学科別に試験があり合格しなければなりません。

そして、実地実習では覚えることが多くあります。以下が主に覚えることです。

  • 全国にある駅名
  • 案内放送
  • 乗換案内
  • 列車種別による停車駅
  • 各駅番線
  • 各駅番線の開閉扉
  • 各駅番線の停止位置
  • 各駅番線の信号確認方法
  • 各駅の放送目標

等です。

各駅の放送目標は昼と夜では別になる事もあります。また、研修の間に1度しか乗らない場合もあったりしますが忘れている場合は乗務前に他の同僚へ聞いたりします。最近では自動放送の車両が増えていますが、故障した時のことを考えると覚えておかなければなりません。

また、業務とは関係のない事ですが駅にあるトイレの場所は重要です。トイレがない車両も多くありますので緊急の場合にはトイレに駆け込むためにも駅にあるトイレの場所は必須です。

他にも車内で乗客より様々な駅名を聞かれることもあるので駅名は覚えなければなりません。例えば、山手線乗務中に鹿児島の駅名を問われることもあるからです。

もちろん、わからないことをわからないと答えることも重要です。「降車後駅係員にお尋ねください。」と笑顔で言うことも仕事の一つです。

 

車掌の勤務体系

車掌の勤務体系車掌の勤務体系も基本的に24時間勤務に近い形です。

車掌区という区所へ配属されその最寄り駅から勤務がはじまり、翌日車掌区で勤務が終わります。個別のロッカーがあるのは車掌区ですので制服に着替える場所は車掌区になります。

泊まる場所は車掌区以外の場合がほとんどです。乗務する列車はダイヤ改正ごとに変更になります。「行路」と呼ばれていますがその「行路」を見て持ち物を変えたり食事の手配までを考えます。

 

車掌の出勤時刻

車掌の出勤時刻出勤時刻は毎回乗務する列車により違います。

基本的に乗務する列車が到着する時刻の30分前が出勤時刻になりますので、出勤時刻は1分単位です。早朝出勤もあれば夕方や夜からの出勤の場合などもあります。年末年始は夜中に臨時列車を走らせますが12月31日23時59分や1月1日0時0分の出勤もあります。

また、特急列車乗務の場合や改札専用の車掌としての乗務の場合などは出勤時間算出に若干の違いがあります。

夜行列車が多く走っていた時にはそれ以上にわたる乗務もありました。「日本海」という夜行列車の場合には大阪~青森までの乗務で3泊4日という勤務もありました。しかし、乗務線区を少なくすることでのサービス向上を目指して現在は自社線区内のみの乗務が基本となっている模様です。

 

車掌の業務

車掌の業務車掌はサービス業務の為に乗務しているのではありません。案内放送などはあくまでも付随業務であり車掌業務の主業務は列車防護要員としての乗務です。

列車防護要員とは大きな事故が起こった場合へ後方列車へ事故を知らせるための要員のことを言います。

もちろん、防護無線とよばれる周辺列車を止める無線や車両用信号炎管(大きな発煙筒のようなもの)などでも知らせもしますが、二重事故防止のために後方列車へ発煙筒などで知らせなければなりません。

大きな事故の場合は運転士が死亡している事もありますので、列車防護要員である車掌は重要となるのです。

 

ダイヤ乱れの場合

ダイヤ乱れの場合などは1分単位で残業代の申請ができます。しかし、1分遅れた場合であっても5時間遅れた場合であっても残業代申請用紙は自身で記入しなけれならず、短時間の遅れの請求は自身の判断によります。なお、1分の残業代申請であっても上司などから嫌味を言われる事はありません。

駅で人身事故があった場合は駅係員が処理をしてくれますが、駅間で人身事故が起こった場合は乗務員が初動処理をしなければなりません。

警察や保線係員が到着するまでの間は運転士と協力して、要救助者の救助もしくは遺体の監視や車内のお客様への案内もすべてしなければなりません。

 

特急列車に乗務する為には

はじめは普通列車や快速列車のみの乗務になります。数年後に選ばれた者のみが特急列車等へ乗務します。

もちろん、特急列車では仕事内容が異なりますの一定期間の研修があります。また、希望すれば新幹線等への乗務も可能です。当然、試験と研修があります。

 

運転士の仕事と勤務体制

運転士の仕事と勤務体制運転士になる為にはまずは社内試験に合格しなければなりません。また、社内試験合格後に「動力車操縦者運転免許証」を取得しなければなりません。

この「動力車操縦者運転免許証」は運転士個人に与えられる国家資格ですので他社でも利用することが出来ます。地方のローカル鉄道では大手鉄道会社を退職したベテラン運転士を採用しています。

国家資格ですので社内試験だけでは運転士になる事は出来ません。

しかし、大きな鉄道会社では「動力車操縦者運転免許の養成機関」として国土交通大臣から認可を受けていますので国家試験自体も社内で行われます。小さな鉄道会社では一定期間他社への出向等で免許証を取得した後、自社で実地研修が行われます。

運転士になる為には社内研修センターで3カ月の座学、現場で3カ月間研修後に国家試験を受験し、合格後さらに3カ月程現場で研修となります。基本的には同じ先輩運転士と乗務し指導してもらいます。

座学では、閉塞信号機の仕組みなどの基本的なことから、信号機が故障した場合の取り扱いまで様々なことを学びます。当然、試験もあり合格しなければ運転士にはなれません。

実地研修期間中には車掌の時よりも多くのことを覚えなければなりません。以下が覚えることの一例です。

  • 乗務線区のすべて信号機配列
  • 乗務線区のすべての信号機設置場所
  • 乗務線区のすべての各駅配線
  • 乗務線区のすべての閉塞方式
  • 乗務線区のすべてのカーブ位置とカーブの大きさ
  • 乗務線区のすべての各駅停車位置目標
  • 車両別最高速度
  • 車両別カーブ最高速度
  • 車両別応急処置
  • 各ポイント制限速度
  • 出区点検手順
  • 各車両別応急処置の方法

等です。

車掌の場合は駅間で説明を受けてメモを取る事が出来ますが、運転士の場合は当然運転中はメモをとる事が出来ませんので研修中の困難さはけた違いです。もちろん、本当のお客様が乗っている列車での研修ですので停止位置誤りなど小さな失敗も出来ません。信号冒進や停車駅通過などがあれば新聞やテレビで報道されてしまいます。

また、各駅のブレーキ開始ポイントはある程度覚えなければなりませんがこれは参考にしかなりません。

7両編成と14両編成では停止位置は単純計算で20m×7両で140mも違いますのでそれだけブレーキ開始ポイントは違ってきます。また、車両系統(●●系)により最高速度が違いブレーキの効き具合には特徴があります。雨など気候によっても違ってきます。特に雪の場合には耐雪ブレーキを使用していても、ブレーキ距離は数倍にもなります。

つまり、乗務日・車両により違いますのでブレーキは感覚で覚える事なのです。

ブレーキ操作は運転士の力量となり技術という事になります。

 

運転士の勤務体系

運転士の勤務体系運転士も車掌と同じ勤務体系になります。24時間弱で泊まり勤務が基本です。

しかし、実乗務時間は車掌に比べて少し短くなります。なぜなら、始発電車を運転する場合などは車両を点検(出区点検)しなければなりませんし、車両を車庫に留置きする場合も留置手配をするのは運転士だからです。

4両編成を出区する場合には20分等と出区点検時間が規定されていて、その時間は勤務時間に含まれます。1勤務で1度も出区点検をしない場合もあれば複数回行う場合もあります。

ちなみに、車庫に留置している車両は、パンタグラフという電気を受電する為の装置を電線に設置させていない為に冷暖房はオフの状態です。

つまり、出区点検は、夏は暑く冬は寒い状態で行いますし、自動車と同じく冷暖房の効果はすぐに効きません。夏は出区点検を終わった後は汗がしばらく流れ続ける程で、出区点検の度にシャツを着替える人もいたりします。

 

運転士の出勤時刻

運転士の出勤時刻車掌と同じく1分単位の出勤時刻となります。

基本的には乗務列車の到着時刻30分前となりますが、出勤後すぐに出区点検をする勤務などもありますので乗務列車の出発時刻の随分前に出勤することもあります。

 

運転士の業務

運転士の業務日本の鉄道は世界一正確です。5秒単位のダイヤグラム24時間組まれています。

運転士は「決められた事」を「決められた通り」に「決められた順番」にすることが仕事です。これを守る事が全てでありそれ以上でもそれ以下でもありません。これを守る事が安全に到着地へお客様を送り続けることが出来るからです。

繰り返しになりますが決められた事の以上でも以下でもなく「決められた」状態を保つことが重要でありそれを続けなければなりません。なぜならそれ以下でもそれ以上でも安全は担保されないからです。

「すべてのお客様は急いでいるのだからサービス向上の為に速く到着しよう」などはサービスではありません。

新しいことをしたいと考えている人や発想力を活かした仕事をしたいと思っている人には向いていない仕事です。しかし、後に説明しますが鉄道業界のことを考えるとそういった発想は重要になります。

 

ダイヤ乱れの場合

ダイヤ乱れの場合ダイヤ乱れの場合の残業代申請は車掌と同じく1分単位で申請が可能です。

人身事故が起こった場合に運転士は駅員より車掌よりも精神的に非常に辛い状態になります。

誤ってホームから落ちた場合などの偶然の事故の場合ももちろんですが、ホームや踏切へ自らの意思で侵入する自殺の場合にはさらに辛いと聞きます。

理由はその自らの意思で侵入した人と目が必ず合うからとの事です。また、一般の人間であれば運転士という仕事をしている場合であっても、自分が運転している列車で人を轢く場面を見て平常心でいることが出来ないのは当然です。

人身事故を起こした運転士は、その後しばらくごはんが食べれない人が多いと聞きます。

また、人身事故を起こすと警察での事情聴取があります。

「時速●㎞で走行中に●m手前で発見しブレーキ操作したが間に合わなかった」ということを複数回にわたって聞かれます。一度でも数字が違った事をいうと再度聞かれます。もしも、発見直後にブレーキを操作していないなど、この操作方法に誤りがあると事件になります。

実際に平成27年にJR山陽線の踏切事故では電車運転士に罰金30万円の略式命令が出されています。この事故は亡くなった方はいませんでしたが亡くなった方がいた場合はさらに重い刑になっていたのではないか?と言われています。

つまり、運転士は責任が重大な仕事とも言えます。

 

JRグループ各社特有の問題について

 

鉄道会社が求めている人材とは?

鉄道会社が求めている人材とは?ここまでそれぞれの仕事について説明してきましたがこんな話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

  • 鉄道会社は鉄道好きである鉄道ファンを積極的に採用している
  • 鉄道会社は鉄道マニアを採用したくない

真逆の話ですがどちらが正しいのでしょうか?

それではこの部分を日本の状況から考えていきたいと思います。

 

日本社会の今とこれから

日本社会のこれからと鉄道会社現在の日本は少子高齢「化」社会でなく、既に少子高齢社会になっています。既に毎年人口は減少しています。20才の方が50才になる2050年には1億人ほどになる見込みです。

単純に考えてみても人口減少は鉄道会社を利用する乗客数が減少する事になりますので売上は減少します。

他にもGAFAを筆頭にIT業界の発展で自宅勤務が出来るようになってきています。つまり、通勤を含めて移動というコトが不要になります。これも当然売上減少に繋がります。

このように鉄道会社はこのままでは売上が減少してまう事が明らかな商売なのです。また、車両などが必要で線路の保守作業も行わなければならず、IT業界とは違い多くの資本が必要となります。

 

鉄道会社のこれから

鉄道会社のこれからでは、今後鉄道会社が発展してく為にはどのようにするべきなのでしょうか?そこから考えていけば鉄道会社が求めている人材を理解することができるのではないでしょうか?

鉄道会社はこれから海外進出を含めて様々な事業への展開が求められます。

まずは、鉄道業以外の不動産や百貨店事業への事業拡大をさらに広げます。現在でもすでに鉄道事業以外の収入が多くなっている鉄道会社が多くありますが更なる事業展開を計画しています。

各社HPには事業計画が掲載されていて、そういった場面でも他事業への拡大が大きくアピールされています。

例えば東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)では会社案内では「生活サービス事業」「IT・SUICA事業」と大きく取り上げられています。また、西日本旅客鉄道(JR西日本)HPのトップページでも「鉄道事業」の項目と並んで「創造事業」の項目がある事からも鉄道事業以外に力を入れていることがわかります。

他にも地方鉄道事業では、既に人口減少で鉄道事業だけでは収益が見込めない為様々な施策に取り組んでいます。

千葉県にある「いすみ鉄道」では会社名の命名権を募集しており企業名さえも売りに出されています。また、和歌山県の和歌山電鐵貴志川線では駅長に猫の「たま駅長」を就任させて移動手段としてではなく乗る事が目的の鉄道を目指しています。

同時に国内事業のみではなく海外進出を考えている企業もあります。

既に東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は英国やタイなどで鉄道システムを含めて事業を開始しています。西日本旅客鉄道(JR西日本)はブラジル企業への出資も海外進出とも言えます。

と、いうように既存の国内の鉄道事業だけでは企業として存続していく事は難しくなり、新しい事業展開をしていかなければならないのが鉄道会社なのです。

ここで考えられることは、これからの鉄道会社に重要な人材は新しい発想展開が出来る人と考える事が出来ます。

それでは、「鉄道が好きな人」と「鉄道好きではない人」どちらが新しい発想が出来るのでしょうか?その部分を考えてみます。

 

「鉄道好きな人」と「鉄道好きではない人」の違い

「鉄道好きな人」と「鉄道好きではない人」の違い鉄道好きには鉄道好きにしかわからない鉄道へのこだわりがあります。

「国鉄時代の車両の485系を復活させたい」

「●●駅に快速を停車させるべき」

等と、鉄道好きには従業員よりも知識を持つ人がいるのが事実です。

しかし、残念ながらその個人的なこだわりは仕事へ悪影響を及ぼす場合があります。

仕事とは企業の一員として社会に役立ち存続することが大前提であり。存続する為には企業には儲けが必要となります。その儲けに貢献できるこだわりは有効的ですが、自分の思いが先行してしまうこだわりは仕事にとっては必要ありません。

増して、今後鉄道事業以外のことへ注力しなければならない中で、鉄道への思いが強い「鉄道好き」の場合には、それさえも受け入れることが出来ない場合も予想できます。

つまり、「鉄道好きな人」には他事業への展開そのものを受け入れることが出来ないことも考えられるのです。

しかし、「鉄道好きではない人」は良い意味でこだわりがありません。鉄道事業以外の新しい事業も抵抗なく受け入れられることが容易に予想できます。

 

と、以上のことから現在の鉄道会社では「鉄道好きではない人」の採用に積極的に取り組んでいるという話の方が多く聞かれています。

つまり、「鉄道好きではない人」の方が内定を得られる確率が高いのです。

もちろん、大企業が多い鉄道会社への就職希望者は多く競争率が高いのが現実です。しかし、「鉄道好きではないから」という理由でエントリーさえもやめておこうと思うのは間違いです。

まして、鉄道のことを知らないからと駅名を覚えたりするのも間違いです。

一部の鉄道専門学校などでは、駅名のテストや車掌や運転士になった気分になれる施設を設けている場合がありますが全く必要がないと言っても過言ではありません。

当然ですが、駅名などは会社によって違いますし、さらに言えば運転士や車掌などは社によって運転規則や基本動作自体が違います。同じ黄色信号(注意現示)であったとしても速度が違います。

つまり、そのようなことを学ぶことに時間を使うのならばもっと他の事に気を向けるべきです。

 

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これからの鉄道会社が求めている人材

また、こんな方はこれからの鉄道会社が必要としているかもしれません。

  • 趣味がゲーム
  • 勉強はできないがスポーツは出来る
  • 海外で働きたい
  • インテリアに興味がある
  • 美味しいラーメン屋を知っている
  • 学生時代はマグロを追いかけていた
  • 高級ブランドが好き

理由は鉄道とは全く関係のない事業に鉄道会社が進出する可能性が大いにあり得るからです。つまり、そのあなたの発想や興味がある分野を鉄道会社が求めているかもしれないのです。

JR西日本は「お嬢サバ」という魚のサバをブランドとして販売しました。阪神電車は「阪神野菜栽培所」としてレタスなどをすでに販売しています。鉄道会社が魚の養殖や野菜を作るなんて今まででは考えられませんでしたがそれが現実となっているのです。

そう考えればゲーム業界への進出やインテリアや服飾を製造販売するなども十分考えられるのです。

それでは、そんな様々な事業展開をする可能性がある鉄道会社に就職する為に学生の今だから出来ることはあるのでしょうか?

 

学生の間にするべき事

学生の間にするべき事鉄道事業は本当に様々なお客様が利用します。

自分がお客様へ奉仕するのは当然ですが、「お客様は神様だ」という態度で接してくる人も多くいます。泥酔された人も多く利用したり、体調不良で倒れたりする人も頻繁に現れます。痴漢や盗撮や暴行事件なども毎日のように起こりますし、説明してきた通りに死体を目の前にすることもありえます。

このように一般的な会社では経験しないことを経験するのが鉄道会社なのです。

そして、様々な場面で絶対的に必要なことは自分の感情をコントロールする力です。

俗に言われる「キレる」ことは絶対にあってはいけません。痴漢や盗撮した犯人を捕まえる事をしなければならない場面もあるかもしれませんが怖いからと言って逃げることは出来ません。

この自分の感情をコントロールする力は少しの教育ではどうなるものではありませんし、短時間で身につくものでもありません。

つまり、学生の今からその感情をコントロールする力を身につけるようにしておくことが学生の間からしておく必要があります。

また、この力は社会人になればどのような職種でも役立つ力ですので、鉄道会社に内定をもらえなかったとしても必ず社会に出れば役立つ力になります。

その為にも、自分とは違う考え方の人と積極的に関わり自己研鑽に努めることが鉄道会社の内定への近道なのだと思います。そして、自分とは違う考えの人と接することにより、何か新しいコトやモノが見えてきた場合には、それがこれからの鉄道会社に必要な発想力に繋がります。

これは「鉄道好きな人」「鉄道好きではない人」に共通している事です。

「鉄道好きな人」は鉄道好きを隠そうとするのではなく発想力を鍛えることで面接の際にアピールする事に役立つのではないでしょうか?

そして、これが鉄道会社はもちろんのこと、就職活動中の学生の方が欲しい「内定」への近道なのだと思います。

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