人事部や人事課の採用担当者(面接官)の人でこんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
- ありきたりな質問ばかりして採用要件にあっているかを確認する事が出来ない
- 採用要件に適しており良いと思った人材を採用しても毎年すぐに辞めてしまう
- 面接でははきはきと回答していたのに仕事では全く違うと配属部署から苦情が毎年ある
- 採用要件を満たしているのか評価と能力を見るポイントがわからない
- 初の面接官で採用要件を見極るポイントがわかりたい
当然ですが採用する人材の正解は企業によって違います。職種や社風など総合的に判断した上でどのような人材を採用要件とするのかを考える必要があります。
しかし、採用要件を決定しても面接官がそれを見極める能力がなければ意味がありません。
そんな人事部・人事課や面接官向けに「面接官が採用要件を見極めるためのダメでNGな質問/評価と能力を見るポイント」をわかり易く説明いたします。
Contents
面接官について
面接官は、一般的に書類選考を通過した応募者と直接もしくは間接的(WEB等)に会うことで採用の可否や次の面接に進めるかを決める人のことです。
面接官は、人事部員や人事課員が担当するのが一般的ですが、小さな企業では募集部署の代表や部署の社員が担う場合もあります。
募集部署の社員が面接をすることで「合う」「合わない」等も含めて判断することが可能となります。同時に、より早く活躍できる人材を採用することも出来るからです。
また、面接官は企業が定めている採用する能力要件を満たしているのかを見極める大変重要な役割があります。
自分本位で判断するのではなく、あくまでも採用したい人材の能力要件を満たしているのかを客観的になり同時に冷静になり判断する必要があります。
それでは、面接官が採用する能力要件を満たしているのかどうかを判断する貴重な面接の時間を効果的に活用するためにダメな面接・NGな面接具体例を説明いたします。
履歴書の内容確認/ダメな面接・NGな面接具体例
一般的に面接官は、面接で履歴書を見ながら質問を行います。しかし、質問の大まかな回答は履歴書に書いてあるのが実情です。
転職面接の場合には、職務経歴書の提出をお願いしているのが一般的ですので合わせてそちらの内容からも質問を行うかもしれません。しかし、これも上記と同様、質問の大まかな回答は書いてあるのが実情です。
また、第一として面接の時間は、限られており大変貴重な時間です。直接、本人を見て本人の口から話しを聞くことが出来る唯一と言って良いかもしれません。
つまり、その貴重な時間は、面接者の能力を見抜くために使うべきであり、履歴書に書いてあることを確認している時間などないということに繋がります。
ただし、新卒の場合などは当然緊張していることが考えられます。「緊張のあまり実力を出すことが出来なかった」などとなれば貴重な人材を逃してしまうことも考えられます。
そのために、最初には答えやすい質問や場を和ますようなことに気を使うことも必要です。しかし、履歴書の内容確認で志望動機や学生時代にしていたことなどを確認するだけに時間を割くことは決してお勧めできません。
準備可能な質問をする/ダメな面接・NGな面接具体例
面接を受ける人は、採用というゴールに向かい全力で取り組むのが当然です。その結果、自分を大きく少しでも良い評価を得るために多くの準備をします。
この行為自体は、決して悪いことではありません。
「準備が出来る」のかどうかを確認する為に、その質問をすることに意義があるかもしれません。
しかし、自分を大きく少しでも良い評価を得るための回答では、面接官が評価を誤ってしまう原因になりかねません。
つまり、採用要件を見定めるための面接にはそぐわないということです。その誤りを防止するためにも準備可能な質問は避けるべきです。
例えば、世界のGoogleの問題などが良い例かもしれません。Googleは公式に問題を公表していませんがこのような問題が出ているのではないかと言われています。
- 世界にピアノの調律師は何人いるでしょう?
- 東京にあるすべての窓ガラスを拭くとしたら、あなたはいくら代金請求しますか?
- 時計の長針と短針は一日に何回重なりますか?
参考:【非公認】Googleの入社試験/竹内薫
是非、参考にしてお役立てください。
志望動機を聞く/ダメな面接・NGな面接具体例
繰り返しになりますが、面接の時間は、限られており大変貴重な時間です。面接とはその人の能力を見極める場であり、その為の時間です。
当たり前なことですが入社したいと感じたからこそ、「今この時間がある」わけです。
その為、今ここにいるのが志望動機と言っても過言ではありません。
人事課・人事部員の面接官担当の方の中には、「志望動機で熱意がわかる」と言われる方がいらっしゃいますが、志望動機はあくまでも今この面接を作ったきっかけです。
熱意はこれからこの会社に入ってから何をしたいと考えているかで感じるべきです。
また、熱意があるからと採用してしまい、よく考えてみたら採用要件には適していなかったなどという場合もありえます。
とある企業の実例ですが、面接時間の1時間前に下見も兼ねてひっそりと訪れていた学生がいました。その学生を部長であった面接官が見ており、1時間も前に来るという学生の熱意を強く感じて周囲の面接官の反対を押し切り採用しました。予想は出来ているとは思いますが結果15人の新入社員の中で一番早く入社後2ヶ月ほどで退職しました。しかも俗に言われる急に来なくなり「飛んだ」退職でした。
熱意があることは良いことです。しかし、熱意だけで仕事が出来るかどうかはわからないのです。
何次であっても同じ質問をする/ダメな面接・NGな面接具体例
1次面接だけで採用を決める企業ももちろんありますが、2次面接3次面接など数回の面接を行うことが一般的です。
しかし、その複数回の面接で同じ質問をするという企業があります。
とある噂では、警察の取り調べでは、容疑者に何度も同じ質問をすると聞きます。そして、嘘をついていると質問に対する回答がさっき話した回答と少し違ったことがありその部分を指摘して事件の解決につなげると聞きます。
もしかするとこれを真似をして、前回と違うことを言ったなどと見ているのかもしれません。ただ、そのような理由が会ったとしてもこれは受験者に対して大変失礼です。
転職者の場合は仕事の都合をつけて面接に駆けつけてくれており、新卒者でもアルバイトを休んできてくれているかもしれません。
採用とは恋人選びと同じです。恋人候補に対して何度も同じ質問をして「この前言ったコトと違うよね?」などと言ってしまって恋人になれるはずがありません。
面接を数回行うのは、能力要件に適しているかどうかを見極めるためです。しっかりとした計画を持って面接に臨みましょう。
また、ネット社会の昨今では1次も2次も同じ質問をしていては、その情報だけでも拡散されます。
もちろん、この情報が会社にとってプラスの情報なら良いのですが、そんなはずもなく、来年以降の採用に影響することも考えられるので注意が必要です。
圧迫面接/ダメな面接・NGな面接具体例
面接官がついつい熱が入ってしまった結果、勢いのある質問をしてしまう場合もあります。しかし、その熱は捉え方によっては圧迫面接だと感じる可能性があります。
もちろん、未だに「根性を試すために」「お客様にキレないかストレス耐性を見極めなければならないから」などという理由で圧迫面接を実施している企業も少なくありません。
しかし、圧迫面接をされた企業に入社したとしても、心の奥からその企業で頑張って仕事をしようと思える人材になるとは考えられないのではないでしょうか?
人間とは嫌なことはなかなか忘れられないモノで、入社まもなくは頑張って仕事をしても些細な出来事で「考えたら圧迫面接された会社でどうして自分は頑張っているのか?」という考えに変わる事は容易に想像がつきます。
また、不採用になった場合のことも考えてみてください。
アパレルなどBtoCのビジネス展開をしている場合、企業側に目的があったとして圧迫面接を行ったとしても、「面接で嫌な気持ちになった」ことに何ら変わりはありません。
そんな気持ちにさせられた企業の商品を買おうと考えるでしょうか?「ファンだったけどあのような人たちが作っている商品など買いたくない」と思うが一般的ではないでしょうか?
圧迫面接を未だに実施している企業の採用者は注意が必要です。
人によって違う質問をする/ダメな面接・NGな面接具体例
面接の意味を考えていない企業の採用担当者の人事部や人事課の面接官の多くがやりがちな間違いが、「人(受験者側)によって違う質問をする」という場合です。
面接であっても受験者に対して可能な限り公平性は担保すべきです。
これが担保されないという事は、例えばペーパーテストで女性と男性で問題が違うようなものです。
大学の医学部では、以前に似たような出来事があったことを覚えている方も多いとは思いますが、面接でも人によって違う質問をするというのは同時ことです。
もちろん、「短所はなんですか?」という質問に対する回答を掘り下げる際には違う質問になりますが、Aさんには「短所はなんですか?」Bさんには「学生時代に頑張った事はなんですか?」などと違う質問をしてしまうとどちらが能力要件を満たしているのかがわからなくなります。
採用面接では、能力要件を満たす質問を準備し可能な限り公平性を担保出来るように努めましょう。
PICKUPキャリコン
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面接で聞いてはいけない質問をする/ダメな面接・NGな面接具体例
厚生労働省のホームページに記載がある通り採用選考に当たっては「応募者の基本的人権を尊重すること」「応募者の適性・能力に基づいて行うこと」の2点を基本的な考え方として実施することが大切です。
簡単に言えば「コンプライアンス上問題がある質問はしてはいけません」という事です。
しかし、一般的には「そんなことも聞いてはいけないの?」と感じるような事がありますで以下を参考にしてください。
採用選考時に配慮すべき事項
次のaやbのような適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することや、cを実施することは、就職差別につながるおそれがあります。
a.本人に責任のない事項の把握
- 本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
- 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
- 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
- 生活環境・家庭環境などに関すること
b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観、生活信条に関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
- 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
c.採用選考の方法
- 身元調査などの実施 (注:「現住所の略図」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります)
- 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
参照:公正な採用選考の基本/厚生労働省
ハラスメント関連の質問
この他にもセクハラ(セクシュアルハラスメント)に繋がる質問も注意が必要です。
- 恋人の有無
- 恋人がいる場合結婚する気があるのか?
- 結婚後は続けるのか?退職するのか?
- 出産予定は?出産後の勤務予定は?
- 育児休暇取得予定は?
- スリーサイズを問う質問
当初セクハラ問題は、男性から女性へというのが一般的でした。
しかし、最近では「男性から男性へのセクハラ」や「女性上司から男性部下へのセクハラ」なども問題になっています。
面接の際にも同性だからという軽い気持ちでの質問は慎む方が良いでしょう。
他にも何気ない一言など以下の点にも注意が必要です。
- お父さんはどこにお勤めですか?
- ご両親は健在ですか?離婚されていませんか?
- 住んでいる家は持ち家ですか?賃貸ですか?
- ご家族ご親族の方で借金されている方はいませんか?
- 背が小さくてかわいいですね。
- 髪が綺麗ですね。
- 足がスラッとしていますね。
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面接官向けの関連書籍一覧
- いい人財が集まる会社の採用の思考法/酒井利昌
- 「使える人材」を見抜く 採用面接/細井智彦
- 「最高の人材」が入社する採用の絶対ルール/釘崎清秀・伊達洋駆
- 採用基準/伊賀泰代
- 採用の教科書2 即戦力採用は甘い罠?~中小企業向け、求める人材像の設定編/稲田行徳
面接官向けの関連サイト一覧
- はじめての面接官マニュアル/engage
- 面接官向け|中途採用面接での面接の進め方から質問内容マニュアル/サポネット
- 初めての面接官マニュアル 質問集やNG行動解説つき/マンパワーグループ
- 【採用面接官マニュアル】流れ・質問例・精度を上げるコツを解説/採用サロン
- 面接官の心得!面接のやり方から、見抜く質問、タブーな質問徹底解説/YELL
面接官が採用能力要件を見極めるためのダメでNGな質問/評価と能力を見るポイントのまとめ
いかがだったでしょうか?
面接官が採用能力要件を見極めるためのダメでNGな質問/評価と能力を見るポイントでした。
このコラムが面接官のお役に立てれば幸いです。