[最終更新日]2021/09/13
近年インターネットの発展等により、ビジネス業界においてはグローバル化が急速に進んでいます。
そんなグローバル化が進むビジネス業界でグローバルに活躍する人材に必要な力や要件とは何なのでしょうか?
また、国内で活躍する人材とは何か違うのでしょうか?
グローバル企業・社会で活躍する人材に必要な力と要件とは何かを「能力開発」「人材育成」の面からもわかりやすく説明いたします。
ビジネス業界で必要な3つの能力
まずはグローバルビジネス企業・社会だけではなく、ビジネス業界において活躍する為に必要な3つの力・能力について説明いたします。
ビジネス業界で必要な力・能力は「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力・人間理解能力)」「ビジネスフレームワーク(経営の定石)」の3つが必要です。
コンセプチュアルスキル(概念化能力)/Conceptual Skillsとは?
コンセプチュアルスキルとは、知識や情報を分析することにより、ある別の事象がある組織やチームの中でどのように関係しているかの共通項を洗い出して、企業の中や社会の中でどのような影響があるかを、より抽象化して物事の本質を見極める能力であり本質を考える能力のことです。
コンセプチュアルスキルが長けた人は「ある出来事から多くの学びを得る人」「全く違うことに見える出来事に共通項・共通点を見つけ出し解決する能力がある人」ということも出来ます。
コンセプチュアルスキルは以下のように細分化することが出来ます。
- ロジカルシンキング(論理的思考)
ロジカルシンキング(論理的思考)とは、一貫して筋が通っている考え方で、説明の方法です。問題を分解し整理して、解決する事が出来ます。 - ラテラルシンキング(水平思考)
ラテラルシンキング(水平思考)とは、ある問題解決のために今までの理論や方法や考え方に捉われることなく、「 物事を多角的に考察する」「新しい発想を生み出す」ための思考法です。 - クリティカルシンキング(批判的思考)
クリティカルシンキング(批判的思考)とは、物事を客観的に判断しようとする思考プレセスです。自身の感情や周りの意見に流されることなく、物事の本質をとらえる考え方とも言えます。 - 多面的視野
多面的視野とは、一つの物事や課題に対して2つ以上の複数のアプローチを行う能力のことを言います。 - 柔軟性
柔軟性とは、トラブルや問題に対してその場の状況に応じて臨機応変に対応できる能力のことを言います。 - 受容性
受容性とは、異性や外国人など自分とは違った価値観を受け入れられる能力のことを言います。 - 知的好奇心
知的好奇心とは、知らないことに興味を持ち、知っていく為の能力です。 - 探究心
探求心とは、出来事や物事に興味を示して、物事をしっかり深く掘り下げるための能力です。 - 応用力
応用力とは、ある出来事の経験や知識、技術を他の出来事に適用する能力です。 - 洞察力
洞察力とは、本質を見通す能力です。 - 直感力
直観力とは、感覚的に出来事を捉えて反応する能力です。 - チャレンジ精神
チャレンジ精神とは、果敢に挑戦し行動を起こす能力です。 - 俯瞰力
俯瞰力とは、客観的に全体像を捉える能力です。 - 先見性
先見性とは、先を見通す能力です。
ヒューマンスキル(対人関係能力・人間理解能力)/Human Skillsとは?
ヒューマンスキルとは、対人間との能力であり、他者との関係を作るためのスキルを言います。
社内の人間はもちろんですが、社外やパートナー企業の人間やお客様との関係も含まれます。
ヒューマンスキルは以下のように細分化することが出来ます。
- コミュニケーション力
コミュニケーション力が、面白い話をする能力と勘違いされている場合があります。ただ単に面白い話を一方的に話す人のコミュニケーション力は高い訳ではなく面白い話をするスキルが高いだけです。
コミュニケーション力は相手の性格を把握し適切な対応をする能力です。
つまり、コミュニケーション力とは、人と人の間で意思疎通をとる方法・手法・テクニックなどの総合的な能力を言います。
これには、メールやラインなど、顔を合わせない文字での意思疎通も含まれます。 - ヒアリング力
ヒアリング力とは、傾聴力とも言われます。
傾聴力とはただ黙って相手の話を聞く”だけ”という意味ではありません。相手が何を言いたいのかや伝えたいのかを考え、話しをしやすく促し、頷いたり、適切な質問をしたり、意見をはさんだりすることを言います。質問力や仮説を立てる能力とも言いかえることが出来ます。 - 交渉力
交渉力とは、相手との何らかの問題が起きているときにお互いの妥協点や合意点を見つけ出すスキルを言います。
交渉力は社外の人との関係だけではありません。社内や部内の交渉にも役立ちます。
部署を超えて社内全体で取り組むプロジェクトなどの場合には、部門間での調整が必要となるからです。人間と人間との間には絶えず問題が起こりますので交渉力がものを言います。 - プレゼンテーション力(提案力)
プレゼンテーション力とは、相手に内容を理解してもらい、同意や納得という選択に導くための様々な技量の総称した言い方です。
最近は資料作りに重点をおかれた意味合いが多く含まれて使用されることがあります。しかし、プレゼンテーション力とは、プレゼンテーションの際の身振りや手振りという見た目から、話し方や間の取り方なども含まれます。「論理的かつ感情に訴えかける力」とも言えます。 - 動機付け(働きかけ力)
動機付けとは、主に部下の意欲を引き出す力を言います。マネジメントを行う際に発揮されます。
同僚やモチベーションが低下している上司に用いることもまれにあります。 - 向上心
向上心とは、現在の状態に満足せずにさらなる高い目標に向かい邁進し尽力する心のことを言います。
向上心はヒューマンスキルの中で自分自身の中で完結するのが特徴です。また、自分自身の現状に満足できないことが元となり起こってくるものです。上司や先輩などから強制的に定められてやる気持ちは向上心とは違いますので注意が必要です。 - リーダーシップ
リーダーシップとは組織やチームを引っ張っていく能力のことを言います。リーダーシップは上記すべてのスキルを合わせた能力と言い換えることも言えます。決断する能力や責任感も必要です。
ビジネスフレームワーク(経営の定石)/Business-frameworksとは?
ビジネスフレームワークとは、様々な経営戦略、業務改善や問題解決に役立つ思考方法、分析ツール、枠組みを言います。
ビジネスフレームワークとは一つだけではありません。
ビジネスフレームワークには様々な種類がありMBAの戦略やマーケティングの勉強をすればも必ず出てきます。著名な経営コンサルタントや学者等が考えたものがビジネスフレームワークですので、何もない状態から考えるよりも効率的な分析が可能になります。
代表的なビジネスフレームワークは以下の通りです。
- パレードの法則
パレートの法則とは、2割の要素が全体の8割を生み出しているという状態を示し、全体の数値の大部分は、全体を構成する一部の要素によって生み出されているという現象です。 - PDCA
PDCAとは、「計画(Plan)」「実行(Do)」、「評価(Check)」、「改善(Action)」を一つのサイクルとして考え、これを繰り返していくことで完成度を高めていくフレームワークです。 - 5W1H
5W1Hとは、「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」を考える事で漏れることなく誤りがなく伝えることが可能です。
最近では、情報が更に整理されているとして「いくら(How much)」を加えた5W2Hも注目されています。 - 3C分析
3C分析とは、「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」から現状を分析するフレームワークです。
事業を計画する段階からビジネス戦略やマーケティング戦略を考える時にも有効なフレームワークです。自社の強みと顧客や競合などからブランディング等にも効果的です。 - AIDMA
AIDMAとは、「注意(Attention)」「関心(Interest)」「欲求(Desire)」「記憶(Memory)」「行動(Action)」と消費者の購買心理を5段階で表したフレームワークです。
消費者の心理的な変化を考えたマーケティング戦略で有効的です。 - 4P分析
4P分析とは、「商品(Product)」「価格(Price)」「販促(Promotion)」「流通(Place)」から分析し、マーケティング戦略として、課題点を洗いだすフレームワークです。
グローバル企業・社会で活躍する人材に必要な力と要件 3つの能力
グローバル企業・社会で活躍する人材には、上記で説明をしたビジネス業界で必要な3つの能力「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力・人間理解能力)」「ビジネスフレームワーク(経営の定石)」に加えて3つの能力が必要です。
それが「英語力」「国際的視野」「異文化コミュニケーション力」です。
それでは、グローバル企業・社会で活躍する人材に必要な力と要件 3つの能力について説明いたします。
PICKUPキャリコン
英語力
英語力は、自分の考えていることを相手に誤解なく誤りなく伝えるための英語コミュニケーション力のことです。英語はビジネス界の世界共通言語です。その英語力はグローバルビジネス業界において必要な能力です。
もちろん、通訳の人を通しての会話も可能です。しかし、通訳者を通しての会話ですと、通訳者の思考などが影響することはゼロではなく、自分が伝えたいことと違ったニュアンスになる可能性もありますので、自身の英語力がある方が良いのです。
日本企業でも社内公用語を英語としている企業もあります。
楽天市場や楽天ゴールデンイーグルスの「楽天」、ユニクロやGUの「ファーストリテイリング」や「アサヒビール」「資生堂」なども収益のグローバル化を考えて英語を社内公用語としています。
グローバル化に伴い異文化の人間との様々な議論を交わすことが増加し、英語を的確に正確かつ適切に見聞きすることがますます重要になっています。
また、同時に企業として世界での出来事や情報を少しでも早く共有し、世界中から優秀な人材を集めるといった目的もあり社内公用語を英語にしていると言われています。
グローバルビジネス業界の英語力は、自分の言葉で物事を説明できるレベルまで高める必要があります。
国際的視野
国際的視野とは、様々な分野でこれまでの常識や概念にとらわれずに、新たなビジョンをグローバルレベルで構築できる能力です。グローバルビジネス業界ではマクロ的な視点から物事を見る力が必要です。
その為には、英語力を駆使しコミュニケーション能力を高め、多様性を受け入れられる柔軟性が必要です。
多様性を受け入れ柔軟性を高めるためには、その地域固有の文化や歴史、伝統に対する深い教養、宗教や教育や政治体制、生活習慣までを含めた知識が必要です。
このような知識を理解するために活用出来るフレームワークは”CAGE”です。
CAGEとは?
CAGEは、スペインのIESEビジネススクール(アンセルモ・ルビラルタ記念講座グローバル戦略担当)教授パンカジュ・ゲマワットが提唱しました。
CAGEは「文化的(Cultural)」「政治的・制度的(Administrative)」「地理的(Geographical)」「経済的(Economical)」の4つの頭文字から取っています。
- 文化的(Cultural)
使用する言語や宗教、社会規範、ライフスタイル
- 政治的・制度的(Administrative)
法的な違いのことと考えればわかりやすいのではないでしょうか?
独裁的で軍事国家の場合には、様々な制限や規制があることが事業展開する上で大きな影響を与える要因となります。 - 地理的(Geographical)
地理的な要素とは、単純に距離などの要素です。また、物理的な敷地面積や気候や自然環境の違い、時差なども含まれます。 - 経済的(Economical)
インフラの整備状況、生活や労働賃金の水準、GDPなどの成長率、物価などのことを指します。
CAGEのまとめ
CAGEは、自国との類似点が多く相違点が少なければ、その国への進出は容易になると考えるれます。逆に類時点が少なく相違点が多い国への進出は、過去の成功体験や経験は役立たず、違った戦略やコンセプト等が必要となることが考えられます。
このようなフレームワークを活用し、日ごろから世界各地の国や地域についての出来事などに視点を持ち、判断することが大切になってきます。
PICKUPキャリコン
異文化コミュニケーション力
異文化コミュニケーション力とは、自分とは異なる価値観や文化的背景を持っている多様性の高い組織で信頼関係を構築する力です。
これは英語力があれば良いという力ではありませんし、国際的視野がなくては効果的に活かすことが出来ません。
また、相手の意の向くままで話を進めるとビジネスとしては成り立ちませんし、自分のストレスにも繋がります。ストレスは様々な事に影響を及ぼしますので、異文化コミュニケーション力がなければ生活に影響するとも言えます。
宗教や思想、教育制度や政治体制などが影響しますが、全てを知り、理解する事は不可能と言えるのではないでしょうか?
つまり、自分の常識や考えが絶対的な正解だと相手に押し付けるのではなく、人間として共通する部分が必ずあると考えて、相手はどのような常識や考えの持ち主なのかを知る努力を怠らずに、お互いの違いを認めあい粘り強く歩み寄ることが重要になります
グローバル企業で活躍する人材の関連サイト
- グローバル化時代に求められる人材とは?
- グローバル人材に求められる5個の能力、グローバル時代の働き方
- グローバル人材~産業界で求められるグローバル人材の姿~
- グローバルで活躍できる人材の特徴
- グローバル社会で活躍できる人材とは?
グローバル企業・社会で活躍する人材に必要な力と要件のまとめ
一般社員が海外赴任し駐在員として働く場合、当然人数は限られますので仕事は多岐にわたる事は用に想像がつき、管理職のように意思決定をすることも考えられます。
また、経験のない意思決定と意思疎通も難しい人とのコミュニケーション等々、同時に様々な問題の解決をしなければならない場合が起こり得ます。
そのような場合に備えて、ビジネス業界で必要な3つの能力とグローバルビジネス業界で必要な3つの能力を高める必要があります。
そして、その能力を備えた人がグローバル環境で経営を担う人材になるのです。