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DCF法の基礎知識/メリット・デメリットと現在価値に換算したた企業価値評価

[記事公開日]2023/09/28
DCF法の基礎知識/メリット・デメリットと現在価値に換算したた企業価値評価

企業の価値とは、どのようにして決まるのでしょうか?

企業の価値を評価する方法には、さまざまなものがありますが、その中でも最も一般的で信頼性の高いものが、DCF法です。

DCF法とは、Discounted Cash Flowの略で、日本語では割引現在価値法と呼ばれます。

この方法では、企業が将来にわたって生み出すであろうキャッシュフロー(現金収入と支出の差額)を、現在に換算することで、企業の価値を求めます。

このときに使う換算率を割引率といいます。

割引率は、将来のキャッシュフローの不確実性やリスクを反映したものです。

割引率が高ければ高いほど、将来のキャッシュフローは現在価値が低くなります。

逆に、割引率が低ければ低いほど、将来のキャッシュフローは現在価値が高くなります。

ここでは、DCF法の基礎知識やメリット・デメリットについて解説します。

また、DCF法を使って株式や不動産などの価値を求める方法や、M&Aや事業計画などに応用する方法も紹介します。

さらに、DCF法を使うときに注意すべき点や、価格と価値の違いについても説明します。

このページを読めば、DCF法に関するあらゆる疑問が解決するでしょう。

それでは早速見ていきましょう。

 

DCF法とは何か?割引現在価値とは?

DCF法とは何か?割引現在価値とは?

DCF法とは、企業の価値を調べる方法の一つです。

企業の価値とは、その企業がこれから稼ぐことができるお金のことです。

DCF法では、これから稼ぐお金を今のお金に変えることで、企業の価値を計算します。

このときに使う数字を割引率といいます。

割引率は、これから稼ぐお金がどれだけ確かなのかや、どれだけリスクがあるのかを考えたものです。

割引率が大きいと、これから稼ぐお金は今のお金に変えると少なくなります。

逆に、割引率が小さいと、これから稼ぐお金は今のお金に変えると多くなります。

DCF法で企業の価値を計算するには、3つのことをします。

  1. これから稼ぐお金を予想する
  2. 割引率を決める
  3. これから稼ぐお金を割引率で割って足す

 

これから稼ぐお金を予想する

まず、これから稼ぐお金を予想するには、企業が今までやってきたことや、今やっていることを調べます。

それから、他の会社や世の中のことも考えながら、これから売れるものやかかるお金や必要なものなどを考えます。

このときに使うお金は、自由キャッシュフローと呼ばれるものです。

自由キャッシュフローとは、仕事で入ってくるお金から必要なものに使うお金を引いたものです。

自由キャッシュフローが多いと、企業は株主への配当を増額したり、自社株買いすることができます。

 

割引率を決める

次に、割引率を決めるには、企業がどれだけリスクがあるかや、どれだけお金がかかるかを考えます。

リスクがあると、これから稼ぐお金が予想通りにならないかもしれません。

お金がかかると、企業は自分でお金を用意したり借りたりしなければなりません。

割引率を決める方法には、いろいろありますが、よく使われるものは、WACCと呼ばれるものです。

WACCとは、Weighted Average Cost of Capitalの略で、日本語では加重平均資本コストと呼ばれます。

この方法では、企業が使っているお金の種類(自分で用意したお金や借りたお金など)とその分け方によって、それぞれのお金がかかる分を計算して平均します。

 

>>WACC(加重平均コスト)とは?/意味・計算方法・業界や業種の平均をわかりやすくはこちら

 

これから稼ぐお金を割引率で割って足す

最後に、これから稼ぐお金を割引率で割って足すことで、企業の価値を計算します。

このときに使う式は以下のようになります。

企業価値

この式では、は将来の年数を表し、は予想する年数を表します。

予想する年数はだいたい10年くらいですが、企業や仕事によって違います。

それから、予想する年数よりも先のお金も考えるために、ターミナルバリューと呼ばれるものを足します。

ターミナルバリューとは、予想する年数よりも先のお金の今の価値のことです。

ターミナルバリューを求める方法には、いろいろありますが、よく使われるものは、パーペチュアルグロースモデルと呼ばれるものです。

この方法では、予想する年数の最後のお金に成長率をかけて割引率から引きます。

ターミナルバリュー

この式では、は成長率を表します。

成長率はだいたい無リスク金利や物価上昇率などを参考にします。

 

以上がDCF法と割引現在価値についての説明です。

 

DCF法の計算方法と式の意味

DCF法の計算方法と式の意味

DCF法とは、Discounted Cash Flow(割引キャッシュフロー)の略で、企業や事業の価値を計算する方法の一つです。

DCF法では、将来得られるお金(キャッシュフロー)を現在の価値に換算(割引)して合計することで、企業や事業の価値を求めます。

例えば、あなたが今100万円持っているとします。

この100万円は現在の価値です。

しかし、もしもあなたが今100万円を銀行に預けて、毎年5%の利息がつくとしたらどうでしょうか。

1年後には105万円になります。

2年後には110万2,500円になります。

このように、将来得られるお金は現在よりも多くなります。

つまり、将来のお金は現在よりも価値が低いということです。

では、逆に考えてみましょう。

あなたが将来105万円を得ることができるとします。

この105万円は将来の価値です。

しかし、もしもあなたが今すぐに105万円を手に入れることができるとしたらどうでしょうか。

今すぐに105万円を手に入れることができれば、銀行に預けて利息を得ることができます。

1年後には110万2,500円になります。2年後には115万7,625円になります。

このように、現在手に入れるお金は将来よりも多くなります。

つまり、現在のお金は将来よりも価値が高いということです。

このように、将来得られるお金を現在の価値に換算することを「割引」と言います。

割引する際に使う割合を「割引率」と言います。

割引率は将来の不確実性やリスクを反映したものであり、高いほど将来のお金の価値は低くなります。

DCF法では、以下の式で企業や事業の価値を計算します。

企業価値

ここで、

  • 年目のフリーキャッシュフロー(営業活動から生じるお金から投資活動で使うお金を引いたもの)です。
  • は割引率です。
  • は評価期間(何年分のキャッシュフローを考えるか)です。

この式の意味は、以下のように説明できます。

  • 企業や事業の価値は、将来得られるフリーキャッシュフローを割引率で割って現在価値に換算したものの合計である。
  • 割引率が高いほど、将来のフリーキャッシュフローの価値は低くなる。
  • 評価期間が長いほど、将来のフリーキャッシュフローの価値は不確実になる。

以上が、DCF法の計算方法と式の意味です。

このように、DCF法は将来のお金を現在の価値に換算することで、企業や事業の価値を求める方法です。

しかし、DCF法にはメリットとデメリットがあります。

次の章では、そのメリットについて解説します。

 

DCF法のメリット:合理的で客観的な企業価値評価

DCF法のメリット:合理的で客観的な企業価値評価

DCF法とは、Discounted Cash Flow(割引キャッシュフロー)の略で、企業や事業の価値を計算する方法の一つです。

DCF法では、将来得られるお金(キャッシュフロー)を現在の価値に換算(割引)して合計することで、企業や事業の価値を求めます。

この方法には、以下のようなメリットがあります。

  • 企業や事業の将来性を反映できる
  • 企業や事業の実態に即した価値算定ができる
  • 他の評価方法と比較して客観性が高い

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

 

企業や事業の将来性を反映できる

DCF法では、将来得られるキャッシュフローを予測して現在価値に換算します。

つまり、企業や事業が今後どれだけ利益を生み出すかということを考慮することができます。

これは、企業や事業の成長力や競争力など、将来性を評価する上で重要な要素です。

例えば、ある会社Aと会社Bがあります。

会社Aは収益が安定しており、毎年10億円のキャッシュフローを生み出しています。

会社Bは収益が不安定であり、今年は5億円しかキャッシュフローを生み出せませんでした。

しかし、会社Bは新しい技術やサービスを開発しており、来年からは毎年20%ずつキャッシュフローが増えると予測されています。

この場合、単純に現在のキャッシュフローだけを見れば、会社Aの方が会社Bよりも価値が高いと判断されるかもしれません。

しかし、DCF法では、将来のキャッシュフローも考慮するため、会社Bの方が会社Aよりも価値が高いと判断される可能性があります。

これは、会社Bの方が将来性が高いということを反映しています。

 

企業や事業の実態に即した価値算定ができる

DCF法では、キャッシュフローを割引率で割って現在価値に換算します。

割引率とは、将来のキャッシュフローに含まれる不確実性やリスクを表すものです。

割引率が高いほど、将来のキャッシュフローの価値は低くなります。

割引率は一般的にWACC(加重平均資本コスト)と呼ばれるものを用います。

WACCとは、企業が資金を調達する際に支払うコストの平均です。

WACCは、以下の式で計算できます。

WACC

ここで、

  • は自己資本(株主資本)の金額です。
  • は他人資本(借入金)の金額です。
  • は自己資本コスト(株主が要求するリターン)です。
  • は他人資本コスト(借入金の利息率)です。
  • は法人税率です。

この式の意味は、以下のように説明できます。

  • WACCは、自己資本と他人資本の比率に応じて、それぞれのコストを加重平均したものです。
  • 自己資本コストは、株主が企業に投資する際に期待するリターンです。株主が高いリターンを要求すればするほど、自己資本コストは高くなります。
  • 他人資本コストは、企業が借入金を返済する際に支払う利息率です。借入金が多ければ多いほど、他人資本コストは高くなります。
  • 他人資本コストには法人税率を掛けた後に、1から引きます。これは、借入金の利息は経費として税引き前利益から差し引くことができるため、実質的なコストを低くする効果があるからです。

このように、WACCは企業の資金調達の状況やリスク性を反映したものです。

したがって、WACCを割引率として用いることで、企業や事業の実態に即した価値算定ができると言えます。

 

他の評価方法と比較して客観性が高い

DCF法では、将来のキャッシュフローを予測することが必要です。

しかし、この予測は客観的なデータや根拠に基づいて行われるべきです。

例えば、事業計画や市場分析などを参考にして、現実的な成長率やキャッシュフローを見積もる必要があります。

これに対して、他の評価方法では、主観的な判断や恣意的な操作が介入する可能性があります。

例えば、

  • コストアプローチでは、企業が有する純資産を根拠に企業価値を算出しますが、純資産の評価方法や時期によって結果が大きく変わる可能性があります。
  • マーケットアプローチでは、市場価格をもとに企業価値を算出しますが、市場価格は需給や感情などに左右されるため、常に公正なものとは言えません。

このように、DCF法は他の評価方法と比較して客観性が高いと言えます。

ただし、DCF法でも予測や割引率の設定によって結果が変わる可能性があるため、注意が必要です。

 

DCF法のデメリット:将来予測や割引率の設定が難しい

DCF法のデメリット:将来予測や割引率の設定が難しい

DCF法は合理的で客観的な企業価値評価を行うことができるメリットがありますが、一方でデメリットもあります。

そのデメリットとは、将来予測や割引率の設定が難しいということです。

 

将来予測の難しさ

DCF法では、企業の将来のフリーキャッシュフロー(FCF)を予測する必要があります。

FCFとは、企業が事業活動から得た収益から必要な支出を差し引いたもので、企業が自由に使えるお金のことです。

しかし、将来のFCFを予測することは簡単ではありません。

なぜなら、FCFは企業の売上や利益、投資や負債など様々な要因に影響されるからです。

例えば、以下のようなことが起こる可能性があります。

  • 競合他社や新規参入者による市場シェアの奪取
  • 技術革新や消費者ニーズの変化による製品やサービスの陳腐化
  • 経済環境や政治情勢の変動による需要やコストの変化
  • 自然災害や事故による生産や販売の停滞
  • 規制や法律の変更による制約やリスクの増加

これらの要因は予測できないか、あるいは予測しても確度が低いかもしれません。

そのため、将来のFCFを正確に見積もることは困難です。

 

割引率の設定の難しさ

DCF法では、将来のFCFを現在価値に換算するために割引率を使います。

割引率とは、将来受け取るお金を現在価値にする際に使う割合で、将来受け取るお金ほど小さくなります。

しかし、割引率を設定することも簡単ではありません。

なぜなら、割引率は企業のリスクや資本コストなど様々な要因に影響されるからです。

例えば、以下のようなことが起こる可能性があります。

  • 金利やインフレ率の変動による資金調達コストの変化
  • 業界や市場の成長率や競争力の変化による事業リスクの変化
  • 株主や債権者から求められるリターン率の変化
  • 税率や配当政策など財務戦略の変化

これらの要因は時々刻々と変わるか、あるいは変わるときに予測できないかもしれません。

そのため、割引率を適切に決めることは困難です。

 

DCF法のデメリット:将来予測や割引率の設定が難しいのまとめ

DCF法は企業価値を評価する方法の一つですが、将来予測や割引率の設定が難しいというデメリットがあります。

これらの要因によって、DCF法で求めた企業価値は大きく変わる可能性があります。

そのため、DCF法を使うときは、複数のシナリオや感度分析を行って、企業価値の範囲や変動要因を把握することが重要です。

 

DCF法の実践例:株式や不動産の価値を求める

DCF法の実践例:株式や不動産の価値を求める

DCF法は企業価値を評価する方法の一つですが、実際にどのように使うことができるでしょうか?

ここでは、DCF法を使って株式や不動産の価値を求める方法を紹介します。

 

株式の価値を求める

株式とは、企業の一部を表す証券です。

株式を持つと、企業の利益や資産に対する権利や、経営に関する意思決定に参加する権利などが得られます。

株式の価値とは、企業の将来の利益や資産が現在価値に換算されたものです。

株式の価値を求める方法として、DCF法を使うことができます。

DCF法では、企業の将来のフリーキャッシュフロー(FCF)を割引率で現在価値にすることで、企業価値を計算します。

そして、企業価値から負債や少数株主持分などを差し引くことで、自己資本(株主資本)価値を求めます。

最後に、自己資本価値を発行済み株式数で割ることで、一株当たりの自己資本価値(株価)を求めます。

例えば、以下のようなデータがある企業A社について考えてみましょう。

  • 発行済み株式数:1000万株
  • 負債:200億円
  • 少数株主持分:50億円
  • 割引率:10%
  • 今期FCF:30億円
  • FCF成長率:5%(永久)

この場合、DCF法で企業A社の株価を求める計算式は以下のようになります。

企業価値 = 今期FCF × (1 + FCF成長率) / (割引率 – FCF成長率) = 30億円 × (1 + 0.05) / (0.1 – 0.05) = 660億円

自己資本価値 = 企業価値 – 負債 – 少数株主持分 = 660億円 – 200億円 – 50億円 = 410億円

株価 = 自己資本価値 / 発行済み株式数 = 410億円 / 1000万株 = 4100円

このようにして、企業A社の一株当たりの自己資本価値(株価)は4100円ということがわかります。

 

不動産の価値を求める

不動産とは、土地や建物など移動できない財産です。

不動産を持つと、その土地や建物から収入や利用権などが得られます。

不動産の価値とは、その土地や建物から将来得られる収入や利用権が現在価値に換算されたものです。

不動産の価値を求める方法として、DCF法を使うことができます。

DCF法では、不動産から将来得られるネットキャッシュフロー(NCF)を割引率で現在価値にすることで、不動産価値を計算します。

NCFとは、不動産から得られる収入から必要な支出を差し引いたもので、不動産が生み出すお金のことです。

例えば、以下のようなデータがある不動産Bについて考えてみましょう。

  • 割引率:8%
  • 今期NCF:1000万円
  • NCF成長率:3%(永久)

この場合、DCF法で不動産Bの価値を求める計算式は以下のようになります。

不動産価値 = 今期NCF × (1 + NCF成長率) / (割引率 – NCF成長率) = 1000万円 × (1 + 0.03) / (0.08 – 0.03) = 2億1400万円

このようにして、不動産Bの価値は2億1400万円ということがわかります。

 

DCF法の実践例:株式や不動産の価値を求めるのまとめ

DCF法は企業価値を評価する方法の一つですが、株式や不動産などの資産の価値を求める方法としても使うことができます。

DCF法では、資産から将来得られるキャッシュフローを割引率で現在価値にすることで、資産価値を計算します。

しかし、キャッシュフローや割引率の設定には注意が必要です。

それらによって、資産価値は大きく変わる可能性があります。

 

DCF法の応用:M&Aや事業計画に活かす

DCF法の応用:M&Aや事業計画に活かす

DCF法は、企業価値を理論的に算出する方法ですが、実際のビジネスの場面でどのように活用できるでしょうか?

ここでは、M&Aや事業計画におけるDCF法の応用例を紹介します。

 

M&AにおけるDCF法の応用

M&Aとは、企業が他の企業を買収したり合併したりすることを言います。

M&Aでは、買収対象企業の価値を評価することが重要です。

なぜなら、買収価格はその価値に基づいて決まるからです。

買収対象企業の価値を評価する方法には、DCF法の他にもマルチプル法や修正純資産法などがありますが、DCF法は最も合理的で客観的な方法と言われています。

なぜなら、DCF法は将来のキャッシュフローを割引現在価値に換算することで、買収対象企業が生み出す将来の利益を反映した価値を算出できるからです。

例えば、A社がB社を買収しようとしています。

B社の将来のキャッシュフローは以下の表のように予測されています。

 

年度 キャッシュフロー(億円)
1年目 10
2年目 12
3年目 15
4年目 18
5年目 20

 

B社の割引率は10%とします。

また、5年目以降は1%の成長率で永久にキャッシュフローが発生すると仮定します。

この場合、B社の継続価値は以下のように計算できます。

継続価値 = 20億円÷(10%―1%) = 250億円

B社の割引現在価値は以下のように計算できます。

1年目キャッシュフロー = 10億円÷(1+10%) = 9.09億円

2年目キャッシュフロー = 12億円÷(1+10%)^2 = 9.92億円

3年目キャッシュフロー = 15億円÷(1+10%)^3 = 11.26億円

4年目キャッシュフロー = 18億円÷(1+10%)^4 = 12.29億円

5年目キャッシュフロー = 20億円÷(1+10%)^5 = 12.39億円

継続価値 = 250億円÷(1+10%)^5 = 154.40億円

以上を合計したものがB社の割引現在価値となり、209.35億円と計算することができます。

A社はこの価値を参考にして、B社に対する買収提案を行うことができます。

 

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事業計画におけるDCF法の応用

事業計画とは、企業が将来どのような事業を展開していくかを具体的に策定することを言います。

事業計画では、売上や利益だけでなく、キャッシュフローも重要な指標です。

キャッシュフローは、企業が実際に手元に入るお金の流れを表します。

キャッシュフローがプラスであれば、企業は自己資金で投資や返済ができますが、キャッシュフローがマイナスであれば、借入や資本増強が必要になります。

事業計画において、DCF法を使うことで、将来のキャッシュフローを割引現在価値に換算することができます。

これにより、事業計画の収益性や投資効果を評価することができます。

また、DCF法を使うことで、事業計画のリスクや不確実性も考慮することができます。

なぜなら、DCF法では割引率にリスクプレミアムを加えることで、リスクの高い事業ほど低い価値になるからです。

例えば、C社は新規事業に投資しようとしています。

新規事業の将来のキャッシュフローは以下の表のように予測されています。

年度 キャッシュフロー(億円)
1年目 -50
2年目 -20
3年目 10
4年目 30
5年目 50

新規事業の割引率は15%とします。

また、5年目以降は2%の成長率で永久にキャッシュフローが発生すると仮定します。

この場合、新規事業の継続価値は以下のように計算できます。

継続価値 = 50億円÷(15%―2%) = 454.55億円

新規事業の割引現在価値は以下のように計算できます。

1年目キャッシュフロー = -50億円÷(1+15%) = -43.48億円

2年目キャッシュフロー = -20億円÷(1+15%)^2 = -15.11億円

3年目キャッシュフロー = 10億円÷(1+15%)^3 = 6.38億円

4年目キャッシュフロー = 30億円÷(1+15%)^4 = 16.32億円

5年目キャッシュフロー = 50億円÷(1+15%)^5 = 23.28億円

継続価値 = 454.55億円÷(1+15%)^5 = 166.67億円

以上を合計したものが新規事業の割引現在価値となり、154.06億円と計算することができます。

C社はこの価値を参考にして、新規事業への投資判断を行うことができます。

 

DCF法の注意点:価格と価値の違いを理解する

DCF法の注意点:価格と価値の違いを理解する

DCF法は、企業や事業の価値を割引現在価値に換算する方法ですが、その価値と市場で取引される価格とは必ずしも一致しないことがあります。

ここでは、価格と価値の違いを理解するための注意点を説明します。

価格とは、市場で取引される金額のことです。

価格は、需要と供給のバランスや市場参加者の心理や情報などによって変動します。

価格は、市場の状況に応じて上下することがあります。

価値とは、企業や事業が将来生み出すキャッシュフローの割引現在価値のことです。

価値は、将来のキャッシュフローの予測や割引率の設定などによって決まります。

価値は、企業や事業の本質的な収益力に基づくものです。

価格と価値は必ずしも一致しないことがあります。

例えば、市場が過熱しているときは、価格が価値よりも高くなることがあります。

これをバブルと呼びます。

バブルが崩壊すると、価格は急落して価値に近づきます。

逆に、市場が不安定であるときは、価格が価値よりも低くなることがあります。

これをアンダーバリューと呼びます。

アンダーバリューは、買い手にとっては魅力的な機会です。

DCF法を使うときは、以下の点に注意しましょう。

  • DCF法で算出した価値は、あくまで理論的なものであり、市場で取引される価格を保証するものではありません。
  • DCF法で算出した価値は、将来のキャッシュフローの予測や割引率の設定などに依存するため、不確実性や主観性が含まれます。
  • DCF法で算出した価値は、時点や条件によって変わります。 例えば、将来のキャッシュフローが変化したり、割引率が変化したりすると、価値も変わります。
  • DCF法で算出した価値を使って投資判断を行うときは、市場で取引される価格と比較することが重要です。 例えば、企業や事業を買うときは、DCF法で算出した価値よりも低いか同じくらいの価格で買うことが望ましいです。

 

DCF法の注意点:価格と価値の違いを理解するのまとめ

DCF法は、企業や事業の価値を割引現在価値に換算する方法です。

DCF法では、将来のキャッシュフローを割引現在価値に換算することで、企業や事業の本質的な収益力を反映した価値を評価します。

DCF法を使うときは、市場で取引される価格と比較することや不確実性や主観性を考慮することなどに注意しましょう。

DCF法を理解することで、合理的で客観的な投資判断ができるようになります。

 

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DCF法の基礎知識/メリット・デメリットと現在価値に換算したた企業価値評価のまとめ

DCF法の基礎知識/メリット・デメリットと現在価値に換算したた企業価値評価のまとめ

このページでは、DCF法の基礎知識とメリット・デメリット、そして現在価値に換算した企業価値評価について説明しました。

DCF法とは、将来のキャッシュフローを割引現在価値に換算することで、企業や事業の価値を理論的に算出する方法です。

DCF法のメリットは、合理的で客観的な企業価値評価ができることです。

DCF法のデメリットは、将来予測や割引率の設定が難しいことです。

DCF法は、株式や不動産の価値を求めるなどの実践例があります。

DCF法は、M&Aや事業計画にも応用することができます。

DCF法を使うときは、市場で取引される価格と比較することや不確実性や主観性を考慮することなどに注意しましょう。

DCF法を理解することで、合理的で客観的な投資判断ができるようになります。

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