[最終更新日]2021/09/13
社会人になってから上司や先輩から「ウィンウィン/win-winな取引を」なんて言われた事がある人も多いはずです。
そんな「社会人になってから知っておいて方が良かった」と思われる、ウィンウィン/win-winを初心者向けにわかりやすく説明いたします。
Contents
win-winの意味とは?
win-winとは、自分と交渉者が共に利益や得たいモノやコトなど、何らかの良い結果になり、メリットが享受できたことをさします。
意味としては”自分も勝ち。相手も勝ち”となります。
win-winは、経営学用語ですがビジネス用語として頻繁に利用されています。最近では、日常生活でも利用されるようにもなってきています。
だからこそ、社会人としては知っておかなければならない用語なのです。
なお、日常生活でwin-winという用語を利用する場合には、「生活する上で計算して人付き合いをしているのか?」と思われがちですので注意が必要です。
win-winの提唱者は?
win-winは、国際政治学者デイヴィッド・シンガー(1925年12月7日-2009年12月28日)の1962年「Deterrence, arms control, and disarmament」で、ゼロサム思考に対置される概念として使用されました。
ゼロサム思考はゼロサム・バイアスとも呼ばれ、一方の得がもう一方の損を意味するという判断を指します。
win-winは、アメリカの経営コンサルタントのスティーブン・リチャーズ・コヴィーが1996年出版の「7つの習慣」で取り上げられることで世間に広く知られることになりました。
「7つの習慣」は自己啓発書で世界で3000万部、国内で160万部のベストセラーとなりました。ベストセラー後にはマンガ版の「まんがでわかる7つの習慣」が発売されました。
マンガ版は活字が苦手な若者も読みやすく、就活生や第二新卒の転職者向けにお勧めです。
win-win以外の人間の関係性は?
人間の関係性はwin-winだけではありません。
競争社会においてはwin-Loseが一般的ですが、他にも5つあります。
それでは、その他にはどのような関係性があるのでしょうか?
win-Lose(自分は勝ち・相手は負け)
これは現代社会において、一番よく考えられている関係性ではないでしょうか?
誰かの犠牲の上でないと自己の利益を得ることが出来ないと言う考え方です。残念ながら、競争社会においては当然のことなのかもしれません。
厳しい社会で生きていく為には必要なのかもしれませんが、この関係性には常に誰かの基準が必要となります。
つまり、自分ではない誰かとの相対的な判断基準によるものです。
自分の判断基準を持っていない事は、”いま”に幸せを感じることが出来ない為、自尊心や自己肯定感を高めることが出来ないだけでなく、満足を得ることが出来ない生活に陥りがちです。
生活とは競争ではありません。自分の判断基準を持つことをお勧めします。
また、商売においてはこのような考え方の人は注意が必要です。
Win-Loseの関係性では「自分が儲かればしょうもない商品を売っても良い」等と長期的には信用をなくしてしまう短期的な考え方に陥ることもあります。
Lose-win(自分は負け・相手が勝ち)
相手が幸せになるのならば、自分は負け続けてもかまわない。このような関係性です。
Lose-winは、上記のwin-Loseよりも問題があります。
Lose-winの関係性は、良い人に見られがちです。
相手の為に自分を犠牲にし、相手の意見に従い、相手を思って自分の意見を言わずにいます。「相手が嫌な気持ちにならないように」「今後の人間関係に影響しないように」と自分を押し殺しています。
このように考えればとても良い人に見えます。ただ、Lose-winの関係性では、相手がそれを理解しています。
つまり、自分のLose-winの関係性とは、相手にとってはwin-Loseであり相反する関係なのです。
win-Loseの関係性では、自分の立場が上になると、弱者に対して顕著に表れます。そして、win-Loseの関係性から見れば、Lose-winの関係性は単なる手段であり、餌食にしか見えないのです。
また、相手からその関係を持って信頼されるといった事や、好かれるといったことが起こる事は稀で非常に少ないでしょう。
Lose-winの考え方には、基準、ビジョン、希望、期待が全くありません。そういった意味でもLose-winは問題がるのです。
Lose-Lose(自分も負け・相手も負け)
相手が負けて自分も負ける。これは共倒れという考え方と同じです。
自分の力では相手に勝つことが出来ないが、相手に勝たせたくもない。それならば勝てないように相手の足を引っ張り共倒れした方がましといった考えです。
最終手段として嫌がらせをしてくる等もすることが考えられますので注意が必要です。
win(自分が勝ちのみ)
自分の勝ちだけを考えます。
武士の情けといったこともなく自分が勝つためには手段などは考えず、つまりは相手がどのようになっても関係ないということです。
ただ、この考えでうまくいく商売などは単純にありません。あったとしたらそれはきっと犯罪行為もしくは犯罪行為に近く、世間一般的に商売ではないと考えられます。
結局は商売とは相手の気持ちを考えないとうまくいかないモノなのでということになります。
win-winにならない場合にはNo Deal(白紙に戻す)
白か黒かどちらの選択であり、グレーでの取引はしません。グレーでの決着するのならば「選択をしない」という選択をとります。
つまり、妥協を要する取引はせずに白紙に戻すということです。Win-Winにならない場合にはNo Dealが理想的です。
なお、交渉ごとにおいて妥協とは絶対に譲れないものを譲る状態を言います。「譲っても良い優先順位の低いものを譲る」と「絶対に譲れないものを譲る」とは違いますので注意が必要です。
win-winを目指す為に必要なこと
win-winを目指す為には必要なことはなんでしょうか?
具体的にすべきことは何なのか?
自分の気持ちをどのように相手に伝える交渉にすれば良いのでしょうか?
交渉は相手との共同作業
現代社会で多くの方が交渉は、結果がWin-Lose、Lose-Win等でいずれであっても、相手との戦いだと認識している方が多いのではないでしょうか?
しかし、それは違います。
交渉とは、相手との共同作業です。
その中でも、最初に必要なのは交渉相手の話にしっかりと耳を傾け、誠実に向き合うことです。
例えば、商談場面で交渉が折り合わない場合です。
相手が重要としていることが納期の前倒しに対して、料金の値下げを必死にアピールしていても効果はありません。このように、相手が何を重要としているのかということは、Win-Lose、Lose-Win等の関係性に慣れ親しんでいる社会生活の場においては難しく、また誰もが金銭への関心事が何よりも重要だと考えている人にとっては到底無理ではないでしょうか?
このようにまずは相手の話に耳を傾け、誠実に向き合わなければ理解することは出来ず、win-winを作る交渉を始めることさえ出来ません。
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価値観の洗い出しと違いの認識を意識する
上記の例で相手は納期の前倒しを重要としていましたが、次回の交渉時には納期ではなく料金の値下げを重要としている場合等がこれにあたります。
毎回、価値観の洗い出しと違いの認識を意識しなければなりません。
また、納期や値下げだけで交渉がまとまらない場合もあります。そういった場合には、更に価値観の洗い出しと違いを認識しなければなりません。
「製品性能の変更での値下げ」や「納期日を遅らせることによる値下げ」等、いくつかの交渉材料を掛け合わせることで選択肢を増やす等し交換するのがwin-winになる交渉です。
この価値観の洗い出しは、自分自身の為にも効果的です。
相手が何を考えているのかは経験値や観察眼等が必要になるかもしれませんが、自分自身のことは理解することが比較的容易です。
特に仕事の場面では更に容易ではないでしょうか?
上司から普段に言われている事や所属部署等の状況から洗い出ししてみてはいかがでしょうか?また、それでも不明な場合は上司や同僚に質問してみるのも効果的です。
win-winの注意点
思い込まない
win-winには交渉が必要です。
そして、その交渉時に陥りやすいのが思い込みです。相手の状況と自分の状況は違います。
冷静になれば理解できるのですが交渉時において誰でも、多少なりとも緊張し、自分の状況と相手の状況は同じなのでは思いこんでしまうことが多くあります。
思い込まずに冷静になり相手の状況と自分の状況分析からはじめましょう。
また、現実的には、時間や場所、役職など様々な事が影響し、論点も多くあります。そして、それらが複雑に絡み合ったりしています。
その論点を洗い出して整理することが、win-winを作り出す上で重要になります。
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関係している人(ステークホルダー)は他にもいる
交渉時において関係者は他にもいます。BtoBビジネスは当然ですが、BtoCビジネスの場合でも同様です。
例えば、家電量販店に結婚指輪をしている男性顧客が冷蔵庫を買いに来た場合に、おそらく家で冷蔵庫を使用するのでしょう。そういった場合に当然ですが奥さんや子どもが使用します。つまり、奥さんや子どもはステークホルダーです。また、両親と同居している場合は更に増加します。
この見えないステークホルダーのwinまでを想像してみることが、よりよいwin-winの状態を目指すことが出来ます。
自分と目の前の相手だけを見るのではなく、その先まで見る広い視点が重要になります。
BtoBビジネスの場合には、相手の顧客にまで届くことを考える必要があります。品質が悪い食品を自分の家族が食べた場合等を想像すれば、よりよいwin-winの状態とは何なのかを想像し理解出来るのではないでしょうか?
つまり、目の前の相手だけが幸せになったとしても、その先に悲しむ人がいるのではそれはwin-winと言えないのではないでしょうか?
こういった考えもwin-winを目指す為には重要なことなのです。
win-winの一歩先 win-win-winとは?
関係している人(ステークホルダー)とは一体だれなのでしょうか?これを考えればwin-win-winのもう一人の登場人物を考えることが可能です。
このwin-win-winの発想は、近江商人の経営哲学のひとつとして有名な”三方よし”と同義語です。
「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそ良い商売といえる」という考え方です。
社会には相手の家族が含まれます。当然、自分の家族も含まれます。
このように社会の幸せを願う「三方よし」の精神は、現代のCSR(Corporate Social Responsibility/企業の社会的責任)に繋がっていて、多くの企業の経営理念の根幹となっている事からも重要なことと理解できるのではないでしょうか?
win-winの関連サイト
- ウィンウィン(win-win)とは? 正しい意味と使い方を紹介/フレッシャーズマイナビスチューデント
- Win-Win/Wikipedia
- 「ウィンウィン」の意味や使い方!/英語部
- ウィンウィン(Win-Win)の関係とは/ビジネス心理学
- ウィンウィンの意味と正しい使い方とは?/kuguru
win-winのまとめ
win-winを作り出すことが出来れば、双方が満足して物事をより良く進めていくことが可能になります。
そして、双方の満足しているからこそ、その物事は社会の役に立ち、更に新しい価値や新しい創造に繋がるのです。