[最終更新日]2021/11/24
セルフキャリアドック制度という言葉を最近よく聞くけど、セルフキャリアドック制度っていったい?
- セルフだから自分でするの?
- キャリアだから仕事のこと?
- ドックなのか?ドッグなのか?
なんていうことを疑問に思われている方も多いのではないでしょうか?
このページではセルフキャリアドック制度についてわかりやすく説明いたします。
Contents
セルフキャリアドック制度の定義
セルフ・キャリアドック制度とは、企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、多様なキャリア研修とキャリアコンサルティング面談などを合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援することを目的とした総合的な取組み、また、そのための企業内の「仕組み」のことを言います。
参照:厚生労働省/セルフキャリアドック普及拡大加速化支援サイト セルフキャリアドックとは?
人材育成ビジョン・方針とは?
企業の経営理念を実現するために、従業員に期待する人材像とそのための人材育成方針を明らかにするもの
体系的・定期的とは?
キャリア形成に関して任意に相談の申し出があった従業員のキャリア支援を図ることと、例えば、キャリアの一定段階(入社時、一定年数経過時、一定年齢到達時など)ごとに定期的にキャリアプランの策定・見直しを促すことや特定の条件にある従業員(若手従業員、育児・介護休業復帰者、中堅社員、管理職になる社員、シニア層の従業員など)等のことを言います。
従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援することを目的とした総合的な取組みとは?
多様なキャリア研修とキャリアコンサルティング面談の組み合わせを中心として、面談後のフォローアップや効果把握、上司への支援や関係部署等との連携、人事部門との協業による組織的な課題やそれに対する解決の方針や解決策等の提案、従業員の自律的キャリア形成の阻害要因を除去する組織的な施策の実施を含めた支援である事を言います。
企業内の「仕組み」とは?
キャリアコンサルティング面談やキャリア研修を従業員に単に実施するだけではなく、企業における能力開発支援や従業員調査、管理者による支援等や企業が実践する目標管理制度、社内公募・応募制度、自己申告制度等の既存の人事諸制度とも関連を持ちながら実施することを言います。
また、併せて、その円滑で効果的な実施を図るための面談シート等のツールの整備、インフラ整備として責任者等の決定や就業規則等の社内規定の整備、キャリアコンサルタントの育成・確保を指します。
参照:厚生労働省/人材開発統括官付参事官キャリア形成室 「セルフキャリアドック」導入の方針と展開
セルフキャリアドック制度の意義・必要性について
現在、IT 化の進展や国際競争の激化など、変化の激しい時代にあって、企業はビジネスモデルや事業内容の大胆な変化が迫られています。
「日本再興戦略改訂 2015」では、従業員が社会や組織の変化を先取りする形で変革に対応し、持てる能力を最大限に発揮するために、従業員が自らのキャリアについて立ち止まって考える「気づきの機会」が必要である、と提言されました。
平成28年4月1日に施行された改正職業能力開発促進法では、従業員は自らが職業生活設計(キャリアデザイン)を行い、これに即して自発的に職業能力開発に努める立場にあることが規定されました。
同時に、この労働者の取組を促進するために、事業主が講ずる措置として、キャリアコンサルティングの機会を確保し、その他の援助を行うことが規定されています。
セルフ・キャリアドックはこのような社会の背景を踏まえ、それを実現していくための具体的な施策を反映した取り組みの中の一つであり、それを実施することで、企業としての人材活用目標と従業員一人ひとりのキャリア目標とを調整していくことで、企業の活力・生産性向上と従業員のキャリア充実を両立することにつながることになります。
そのため、従業員それぞれが社会や組織の変化を先取りする形で変革に対応し、持てる力を最大限に発揮していくために、自ら主体的にキャリアを考えて構築していく必要があるのです。
企業がセルフキャリアドック制度を実施するメリット
セルフキャリアドックを実施することにより、人材の定着やモチベーションアップで意識向上が見込まれ、組織の活性化につながります。組織の活性化は生産性の向上への寄与等の効果が期待されます。
労働者別で考えてみた場合以下のような効果が期待出来ます。
新卒採用者の定着率向上・離職防止
仕事への向き合い方・取り組む意欲などのマインドセット、キャリアパスの明示などを通じて、職場への定着や仕事への意欲を高めていくことが期待されます。
定着率向上は離職防止にも繋がり、採用コストを下げることにも繋がります。
育児・介護休業者の職場復帰率向上
仕事と家庭の両立に関わる不安を取り除き、課題解決を支援するとともに、職場復帰プランを作成することにより、職場復帰を円滑に行うことが期待されます。
復帰率向上は離職防止にも繋がり、採用コストを下げることにも繋がります。
高年齢層社員の活性化
職業能力や適性といった個々人が保有する多様な力への自己理解を深めることにより、ライフキャリアの後半戦~セカンドキャリアに向けて、積極的な職業生活を設計していくことが期待されます。
また、上司や管理職として抱えている課題の解決も支援していきます。
従業員がセルフキャリアドック制度を実施するメリット
セルフキャリアドックを実施することにより、キャリアの目標を明確化し、仕事の目的意識を高め、計画的な能力開発に取り組むことにより、仕事を通じた継続的な成長を促し、働くことの満足度の向上につながります。
参照:厚生労働省/セルフ・キャリアドックで会社を元気にしましょう!
セルフキャリアドック制度 導入企業の成果/課題
セルフキャリアドック制度は、大小問わず様々な企業で導入されています。
それぞれの企業のセルフキャリアドック結果を以下の項目に分けて説明いたします。
- 従業員数
- 評価
- 課題
サントリーホールディングス株式会社
- グループ従業員数
38,013人(2016年12月31日現在) - 評価
自身のキャリア自律意識醸成ととも、メンバーの中長期的キャリア形成を支援する力を体得した - 課題
40代後半のミドル層への当該セルフキャリアドックを継続実施し、ミドルの上司層への働きかけも強化していきたい
クオリカ株式会社
- 従業員数
840人(2016年10月現在) - 評価
若手社員のモチベーションアップに極めて有効であった - 課題
・管理職のマネジメント機能強化の検討
・キャリア形成支援の仕組み作りの必要性
東京海上日動システムズ株式会社
- 従業員数
1,360人(2017年4月現在) - 評価
従業員のキャリア形成おける「気づき」を支援し、仕事のモチベーション向上や新入社員の定着に繋がった - 課題
若年次から主体的に自分のキャリアを考える事で明確な自分のなりたい姿を持ったことで、今まで以上にWILLやWANT(手に入れたい事)とMUST(やらなければならない仕事)のすり合わせが重要になり、上司の果たす役割が増加した。そういった事を踏まえて上司の支援も必要と感じている。
伊藤忠商事株式会社
- 従業員数
4381人(2017年4月現在) - 評価
若手社員が抱える課題や悩みの傾向を組織長研修の場でフィードバックを行い、職場でのコミュニケーションの向上に繋がった。 - 課題
事業領域を超えた部署異動を希望する社員の声を伝えることで社内公募制の再立ち上げを実現し、今後へつなげていく必要性を感じた。
株式会社東邦プラン
- 従業員数
29名(2017年10月現在) - 評価
キャリアコンサルティング面談は若手社員だけではなく管理職の育成にも大変有効であった。今後はキャリアコンサルティング面談を新たに経営方針に盛り込み、さらなる取り組みを推進していく予定。 - 課題
若手社員が多い為、ロールモデルとなる中堅社員が少ない。今後はロールモデルを作り、若手社員が自律的に成長的に促す。また、人事制度の導入を準備中であり、役割や期待を明確にしていく必要性を感じた。
株式会社平井料理システム
- 従業員
353名(2017年10月末時点) - 評価
会社として従来から女性従業員が上位職責で活躍を期待しているが実現できていなかった。今回のセルフキャリアドックにて女性従業員の一人ひとりの悩みや諸問題を把握することができ、抽出された課題解決方法についての検討に繋がった - 課題
・昼と夜の営業時間の間を有効活用し、店長等を巻き込んだ育成の必要性
・トライ&エラーと実践を通じた育成と成長を基本方針とし、各個人が課題解決に向き合う一方、会社としても共通テーマの抽出を図り解決に挑む
医療法人 慶友会 青梅慶友病院
- 職員数
786名(2017年12月現在) - 評価
将来像の明確化や、そのための情報収集が促進された。先輩への相談や資格取得のスケジュール明確化など具体的な一歩を踏み出す者が多くいた。 - 課題
他の仕事への知識・理解が不足し、将来設計に苦労する職員が複数いた。院内については多職種の業務を体験できるような場の設定やローテーションの検討が必要。
社会福祉法人 六親会
- 職員数
216名(2017年4月現在) - 評価
日々の業務に追われている職員が多かったが、自身を振り返る機会になった。「やらなければいけないこと」を職員一人一人が整理するきっかけになった。 - 課題
・ミドルマネージャーの育成の必要性
・目標管理、人事考課制度の見直し
中日本高速道路株式会社
- 従業員数
2,043名(2017年3月31日現在) - 評価
役員を含めて、キャリア支援の必要性や重要性への理科を高めることが出来たと同時に、労働組合とも認識の共有が図られた - 課題
今回の成果を踏まえて対象従業員以外への水平展開を図っていくことで、全社的な課題解決に向けて取り組んでいく
参照:厚生労働省/セルフ・キャリアドック導入支援事業最終報告書
セルフ・キャリアドックの実施形態
セルフ・キャリアドックの導入の目的や実施形態は、企業ごとの人材育成上の方針や直面している課題によって様々なパターンがあります。
企業が抱える多様な課題の中で、喫緊の課題として特 に重要なものには以下のようなパターンです。
新卒採用者の定着率向上の為に離職率が高いという課題に対して
新卒採用者へのリアリティショックや働く作法を含めた定着支援・働き方支援がセルフ・キャリアドッ クの重要な支援の一つとなります。
セルフ・キャリアドックにより、新卒採用者等に対して、キャリアプ ランの具体化のベースとなる、仕事への向き合い方・取り組む意欲などのマインドセットと、キャリアパ スの可能性の明示などを通したキャリアプラン作りの支援を通して、職場への定着や仕事への意欲を高め ていくことが期待されます。
上記のキャリアパスというのは、個々の社員のキャリア形成や昇進に必要な仕事の経験や、そのプライオリティづけを通した経験を積むことが期待される順序などをいいます。
育児・介護休業者の職場復帰率が低いという課題に対して
育児・介護休業者の職場復帰を円滑に行うことがセルフ・キャリアドックの重要な支援の一つとなりま す。
セルフ・キャリアドックにより、育児・介護休業者が抱える不安を取り除き、仕事と家庭の両立に関 わる課題の解決支援を行うとともに、職場復帰のためのプランを作成することにより、職場復帰を円滑に 行うことが期待されます。
またキャリアコンサルティング面談では、職場復帰に関する直近のプロセスだ けでなく、復帰後中長期的な視点に立った、ライフキャリア作りの支援の相談にのることも重要です。
中堅社員のモチベーションが下がっているという課題に対して
中堅社員を活性化していくことがセルフ・キャリアドックの重要な支援の一つとなります。
従来型の人 事制度が大きく変わり、年功序列型の昇進・昇格が保証されにくい仕組みの中で、(大学卒業者であっても)管理職に昇進しない従業員が著しく増加する傾向が生じ、その傾向は特にバブル崩壊以降に採用された従 業員に顕著にみられるようになってきました。
そのような事態の中で、モチベーション の維持・向上にお いて、昇進・昇格や昇給を中心としたキャリアアップの方策が機能しにくくなり、むしろキャリア充実に 視点をシフトした対策が求められるようになってきています。ところがこの変化に、組織の人事施策や個 人の働くマインドが充分に対応しきれず、中堅社員のモチベーションが低下してきています。
セルフ・キャ リアドックは、長い職業生活の前半戦を終え、これから後半戦を迎える踊り場、中間点に立っている中堅社員に対し、自己の持つ多様な能力を棚卸しし、その能力の発揮を通して、モチベーションの維持・向上を図り、キャリア充実の実践度合いを把握する一連の支援策といえます。
シニア社員の長い生涯キャリアの設計とその実践という課題に対して
生涯現役の期間が長期化し、働くことができるなら、年齢によらず長期に働き続けたいというシニア社員が増加しています。
70歳、75歳、さらには80歳まで働き続けることもオプションに入る時代、どのようにシニア期を過ごすかをシニア期前から視野においた職業生活の設計、ライフキャリア構築が重要な テーマとなってきました。
長い生涯キャリアを有意義に、豊かに送るには、いくつになっても仕事で成長を実感し、充実感をもって仕事ができることが重要です。
今後、シニア社員の活性化と能力発揮を促す研修とキャリアコンサルティング面談を連動させた施策の提供はセルフ・キャリアドックの大切な活動であり、シニア社員のモチベーションの維持・向上にとって重要な活動です。
いくつになっても生涯現役の道 を歩み続けるため、セルフ・キャリアドックを活用し、自分のキャリア開発に当事者意識と責任をもつ仕組みをシニア期とその準備期において確立することは、少子高齢化社会を生き抜く上で重要です。
参照:厚生労働省/企業・学校等においてキャリア形成支援に取り組みたい方へ
セルフキャリアドックの導入支援
PICKUPキャリコン
PICKUPキャリコン
セルフキャリアドック導入支援に関するサイト
導入支援を相談できるキャリアコンサルタント
セルフ・キャリアドック関連書籍等一覧
セルフキャリアドックについての良くある質問
セルフキャリアドック自体が導入から間もない制度です。
そんな制度について企業側から従業員側からそれぞれの良くある質問を記しています。
企業側の質問
企業として個人のキャリア開発をする必要性について
キャリア開発は、必要を感じる個人が自己啓発の一環として実施すれば十分ではないですか?企業が個人のキャリアを考える機会をわざわざ作る必要があるのですか?
《回答》
セルフキャリアドックの実施は、従業員のキャリア形成を促進・支援する事で、企業の活力・生産性向上にも繋がります。
つまり、従業員個人のキャリア形成は企業側にも大きなメリットがあります。
転職・離職を促進することに繋がる懸念について
セルフキャリアドックの導入は、従業員の転職・離職を促進してしまうのではないでしょうか?
《回答》
セルフキャリアドックは、企業内で定期的に実践する場面を想定しています。
そのような場面では、基本的に現在の企業・そして現在の職場の中でキャリアをどうように形成するかを支援するものですので、転職・離職を促進することを意図したものではありません。
キャリアの目標を明確化し、仕事の目的意識を高め、これに即した計画的な能力開発を促すことは本人の現在の仕事を通じた継続的な成長を促し、働くことの満足度向上につながるとともに、企業の立場としても、働くことの元気度や満足度、キャリア充実度の向上が組織の活性化につながり、生産性向上への寄与等の効果が期待されます。
部下からの上司への信頼度低下する懸念について
部下が、上司である自分ではなく第三者であるキャリアコンサルタントに仕事の相談をすると、自分が信頼されていないように感じるのですがいかがでしょう?
《回答》
キャリアコンサルティング面談は上司の部下の相互理解、特に業務上の指示等に関して、横から口をはさむ立場にはありませんのでご安心ください。むしろ、上司と部下との相互理解をさらに促進していただくために実施するものです。
上司は日常業務やその達成に目を向けるだけでなく、長期的な部下の成長目標をの策定や、そのための目標設定、さらには長いライフキャリアにおけるキャリアビジョンといったことがらにも目を向けることが必要ですが、日ごろ上司と部下の話し合いでは取り上げにくかったことがらなどを、上司に代わって部下である対象従業員に気づいていただくものです。
そしてそれをもとに対象従業員が、さらに上司と話し合いをしていただくことなので、むしろ相互理解と信頼を深めるためのものと位置づけられています。
これらの活動を通して、上司と部下との仕事に向き合う姿勢や、進め方、仕事を通して職業生活の設計などで、多様な見方や考え方、目標を検討していただき信頼関係のさらなる構築や醸成、強化が期待されるものです。
上司として行っている目標設定面談との関係性について
セルフキャリアドックにおけるキャリアコンサルティング面談は、目標設定面談とどのような関係性になるのですか?
《回答》
目標設定面談は、対象従業員が現在担当している業務をいかに円滑に遂行するかという視点で行われるのに対して、セルフキャリアドックのキャリアコンサルティング面談は、対象従業員個人のライフキャリア(プライベートの夢や目標等)の部分を含めたキャリアについて話し合うものです。
つまり、目標設定面談とキャリアコンサルティング面談は全くの別物です。
それを理解した上で、対象従業員のキャリア形成上の課題や改善点を人材育成という視点で目標管理とリンクさせる場合には、上司の立場でフォローをお願いいたします。
キャリア目標が実現できない場合について
部下のキャリア目標が、現在の部署ではどうしても実現できない場合はどうすればよいのでしょうか?
《回答》
セルフキャリアドックにおいては、キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティング面談の内容を、個人の守秘義務を担保したうえで、人事部門と共有することもあります。
対象従業員のキャリア目標と現在の所属部署との間に本人の努力のレベルを超えた大きな乖離がある場合は、上司との人事考課面談では限界があり、人事部門との面談などの設定を行い、本人の目標設定のための支援を共存的に解決可能な方策、視点で行うことも考えられます。
PICKUPキャリコン
従業員側の質問
相談内容が漏れることは?
相談したいことはありますが、相談内容が漏れるおそれがあると思い相談するには抵抗があります。
《回答》
セルフキャリアドック面談を実施するキャリアコンサルタントは、国家資格者のみです。
社内キャリアコンサルタント、社外キャリアコンサルタントいずれであってもキャリアコンサルタントには守秘義務が課されており、相談内容が本人の同意なしに漏れることは一切ありませんのでご安心ください。
注)キャリアコンサルタント倫理綱領第5条に定めのある通り、身体・生命の危険が察知される場合、又は法律に定めのある場合等はこの限りではありません。
セルフキャリアドックの導入とは退職勧奨のことですか?
セルフキャリアドック面談で退職勧奨をされるのではないでしょうか?キャリアコンサルタントという第三者を雇ってまで辞めさせようとしているのではないですか?
《回答》
セルフキャリアドックは退職勧奨の事ではありません。
従業員それぞれが自身のキャリア充実のための面談を行う事で、従業員それぞれがキャリアの目標を明確化し、仕事の目的意識を高めます。
目的意識を高め、これに即した計画的な能力開発を促すことは本人の現在の仕事を通じた継続的な成長を促し、働くことの満足度向上につながるとともに、企業の立場としても、はたらくことの元気度や満足度、キャリア充実度の向上が組織の活性化につながり、生産性向上への寄与等の効果が期待され従業員も企業としてもメリットがあるものです。
相談後の上司との関係について
セルフキャリアドックのキャリアコンサルティング面談後に、上司から相談した内容を聞かれたりしないか不安です。
《回答》
セルフキャリアドックでは管理職を含めて、セルフキャリアドック導入への理解を深めて実施いたします。その中には部下との接し方への研修等も含まれておりますのでどうぞご安心ください。
また、管理職の方もキャリアコンサルティング面談を実施しますので、管理職個人のキャリアについても考えていただく機会となります。
その中で、部下とのコミュケーション不足を感じる管理職の方も多く、面談後には部下とのコミュニケーションを積極的に図っている方もおられます。
そういった面までを含めて、相互理解と信頼を深めるためのものと位置づけされています。これらの活動を通して、上司と部下との仕事に向き合う姿勢や、進め方、仕事を通した職業生活の設計などで、多様な見方や考え方、目標を検討していただき信頼関係のさらなる構築や醸成、強化が期待されるものです。
異動や転勤への影響について
相談内容によっては異動等に影響するのではないですか?
《回答》
相談を受けるキャリアコンサルタントは国家資格であり、守秘義務が課されております。相談内容を本人の同意なく第三者に漏れることは一切ありません。それが企業側の経営者や人事部、管理職であっても同様です。
つまり、ご相談いただいた内容が社内の異動や転勤の際に利用されることは当然ありませんのでどうぞ安心してご利用ください。
セルフキャリアドックの実施計画の策定・導入方法
人材育成ビジョン・方針に基づいてセルフキャリアドックをどのように進めていくのかについて、企業としての具体的な実施計画を策定しなければなりません。
実施計画に盛り込む項目とそれぞれの一般的な実施内容は以下のようなものになります。
対象従業員向けセミナー(説明会)の実施
上記で挙げた通りにセルフキャリアドック導入する際には従業員向けのセミナー(説明会)を実施することが効果的です。
「退職勧奨されるのではないか?」「異動させられるのか?」などの誤った認識では効果的なセルフキャリアドックの実施に繋がらないからです。
セルフキャリアドックの趣旨・目的、スケジュール、研修や具体的面談内容(提出物等を含む)、情報の取扱い(キャリアコンサルタントの守秘義務等の説明を含む)等を事前に説明し、了解を得ます。
このセミナー(説明会)は、職場の実情に応じて、職層別研修、職種別研修、ライフプラン研修等と合わせて実施することも可能ですが、その場合にはそれぞれの研修において目的とする組織の視点からみた能力開発等と、個人の視点から見たセルフキャリアドックの目的が異なることを丁寧に説明することが必要となります。
なお、キャリア研修・キャリアコンサルティング面談を担当するキャリアコンサルタントが説明会の講師を担うことは、対象従業員とキャリアコンサルタントの自然な「顔合わせ」の場となるのでお勧めいたします。
また、その後のフォローアップについてもキャリアコンサルタントが行うことが、セルフキャリアドックをより効果的に展開するために重要となります。
キャリア研修について
個別のキャリアコンサルティング面談における時間のみでは、キャリアの棚卸しから、キャリアビジョンや目標、アクションプランの作成までを行うことが難しくなる場合が多くあります。
このため、セルフキャリアドックの対象従業員について、集合形式の研修時に、これらの実施を行うことが効果的です。
また、集合形式で実施することで、他の従業員からの学びの機会を得て、相互啓発を通した変化や気づきを促すことも期待できます。
対象者
現在あるいは近い将来、ライフキャリア上の様々なステージや、キャリア形成上の課題に遭遇することが考えられる従業員、入社から一定の年数を経過した従業員や一定の年齢層に当てはまる従業員全員を対象としたり、職場復帰や組織内の役割変化(ポストオフ)に当てはまる特定の層を対象としたりするなどの方法があります。
実施時期
特に決まった時期などがある訳ではありませんが、導入時期からフォローアップまでを総合的に考慮した上で設定する必要があります。
なお、対象者が多い場合などは複数回に分けて実施する必要があります。
内容
対象者の層によって、キャリア意識の持ち方や社内での立場が異なりますので、それらを踏まえた上でのテーマや内容とすることが必要です。
基本的には半日~2日程度の研修時間で、可能であればグループワークも活用して、対象者のこれまでのキャリアの棚卸し、キャリア開発の考え方の学習、キャリアビジョンや目標の構築、自己理解(強み・弱みの自覚)、現在および近い将来に担う仕事理解、アクションプランの作成などを行います。
振り返り
対象従業員にアンケートを行うなどして、研修の実施によって自身のキャリアについて意識の変化や気づきがあったか、キャリア開発についての何らかの取り組みを行うきっかけになったなどを把握し、その結果をキャリアコンサルティング面談の際に参考とすることが出来ます。
キャリアコンサルティング面談を通した支援の実施
キャリアコンサルティング面談を通した支援の実施には以下のプロセスがあります。
- 守秘義務に関する約束の説明
- キャリアコンサルティング面談の目的の共有
- 自己理解
- 仕事理解
- 意見・要望事項等の聴取
- キャリアビジョンの策定
- キャリア形成上の課題とその対策の明確化
- 面談後のフォロー
振り返り
振り返りには「個別のキャリアコンサルティング面談の振り返り」と「セルフキャリアドック全体の振り返り」に分けられます。
「個別のキャリアコンサルティング面談の振り返り」ではアンケートの実施やヒアリングなども効果的です。ただし、対象従業員の負担にならないような注意が必要です。
「セルフキャリアドック全体の振り返り」は、「個別のキャリアコンサルティング面談の振り返り」実施後に実施します。また、実施直後のアンケートと一定期間経過後のアンケートの実施を行うことが効果的です。
一定期間経過後のアンケート実施は、今後のセルフキャリアドックをどのように進めていくかを検討する際にも必要な資料となります。