[最終更新日]2023/05/11
あなたは、自社の事業や製品のポートフォリオを管理するために、どのようなフレームワークを使っていますか?
市場の動向や競合他社の状況を把握し、経営資源の投資配分を判断するためには、適切な分析手法が必要です。
そこで今回は、マーケティングの基本的なフレームワークとして知られる「PPM分析」について解説します。
PPM分析とは、「市場成長率」と「市場占有率」の2軸で事業や製品を分類し、それぞれに応じた戦略を立てる方法です。
PPM分析には、「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」という4つのポジションがあり、それぞれに特徴があります。
このコラムでは、PPM分析の定義や意味、メリットとデメリット、やり方と注意点、活用事例と応用方法などを紹介します。
PPM分析を理解することで、自社の事業や製品のポートフォリオを効果的に管理することができます。
Contents
PPM分析とは何か?
マーケティングの世界には、さまざまな分析手法が存在します。
その中のひとつがPPM分析です。
PPM分析は、自社の事業や製品・サービスを市場成長率と市場占有率の2つの軸で分類し、経営資源の投資配分を判断するためのフレームワークです。
PPMとは「Product Portfolio Management(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」の略称で、1970年代にボストン・コンサルティング・グループが提唱した分析手法です。
プロダクト・ポートフォリオとは、自社が展開する事業や製品・サービスの集合体を意味します。
PPM分析では、プロダクト・ポートフォリオを以下の4つのポジションに分類します。
- 花形(Star):市場成長率も市場占有率も高い事業や製品・サービス。競争が激しいため、積極的な投資が必要ですが、将来的に利益を生み出す可能性が高いです。
- 金のなる木(Cash Cow):市場成長率は低いものの、市場占有率は高い事業や製品・サービス。競争は穏やかで、安定した利益を生み出します。その利益を他の事業に再投資することが望まれます。
- 問題児(Problem Child):市場成長率は高いものの、市場占有率は低い事業や製品・サービス。競争が激しく、利益を出すのが難しいです。しかし、市場占有率を高めることができれば、花形や金のなる木になる可能性があります。そのため、他の事業から資金を振り分けて投資することが重要です。
- 負け犬(Dog):市場成長率も市場占有率も低い事業や製品・サービス。競争に負けており、利益も出ません。事業の成長性も見込めないため、事業を整理することも検討する必要があります。
PPM分析の目的は、自社の事業や製品・サービスの立ち位置を把握し、経営資源を効果的に配分することです。
また、競合他社と自社との相対的な強弱も可視化することができます。
PPM分析は、マーケティング戦略や経営戦略を策定する際に役立つフレームワークです。
しかし、PPM分析には限界もあります。
財務指標だけでは事業の多面的な側面を捉えられないことです。
たとえば、PPM分析では、以下のような要素を考慮していません。
- 事業間のシナジー効果や相乗効果
- 製品やサービスの品質や価値
- 市場や競争環境の変化や不確実性
- 新規事業やイノベーションの可能性
- 顧客満足度やロイヤルティ
また、PPM分析では、市場成長率や市場占有率の算出方法や基準によって、結果が変わることもあります。
市場規模や売上高のデータが正確でない場合や、市場の定義が曖昧な場合には、注意が必要です。
PPM分析は、あくまで参考にするべきフレームワークであり、絶対的な真理ではありません。
PPM分析の結果に基づいて、盲目的に事業を判断するのではなく、他の分析手法や定性的な要素も併せて考慮することが大切です。
以上で、「PPM分析とは何か?(定義と概要)」について説明しました。
PPM分析は、マーケティングの基本戦略策定フレームワークとして有用ですが、その限界と落とし穴も理解しておく必要があります。
次回は、「PPM分析の4つのポジションとその意味(花形、金のなる木、問題児、負け犬)」について解説します。
PPM分析の4つのポジションとその意味(花形、金のなる木、問題児、負け犬)
マーケティングにおいて、自社の事業や製品・サービスの現状や将来性を分析することは非常に重要です。
市場での競争に勝ち抜くためには、どの事業にどれだけの経営資源を投入すべきか、またどの事業を維持・強化・撤退すべきかという判断が必要です。
しかし、多くの事業を展開している企業では、そのような判断をすることが容易ではありません。
市場や競合他社の動向が複雑であったり、事業間の相乗効果やシナジー効果があったりすると、単純な財務指標だけでは十分な分析ができません。
そこで役立つのが、「PPM分析」というフレームワークです。
PPM分析とは、「市場成長率」と「市場占有率(マーケットシェア)」という2つの軸からなる座標に自社の事業や製品・サービスを分類し、経営資源の投資配分を判断するための方法です。
PPM分析は、ボストン・コンサルティング・グループが1970年代に提唱した分析手法で、「Product Portfolio Management(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」の略称です。
PPM分析では自社事業を下記の4つのポジションに分類します。
- 花形(Star)
- 金のなる木(Cash Cow)
- 問題児(Problem Child)
- 負け犬(Dog)
これらの4つのポジションで自社の事業の将来性を把握するとともに、競合企業との売上の格差を可視化することができます。
今回は、このPPM分析における4つのポジションとその意味について詳しく解説します。
それぞれのポジションに該当する事業はどんな特徴を持ち、どんな戦略を取るべきなのでしょうか?
具体例も交えて見ていきましょう。
花形(Star)
花形は、市場成長率および市場占有率(マーケットシェア)ともに高く、まさに「花形」と呼べる事業です。
市場占有率(マーケットシェア)が高いために利益を出しやすいものの、市場成長率が高いために競争が激しい状態となっています。
市場での競争に打ち勝つためには、積極的な投資を継続することが望まれます。
花形に該当する事業は、将来的に金のなる木に移行する可能性が高いです。
しかし、そのためには市場占有率(マーケットシェア)を維持することができるかどうかが重要です。
市場占有率(マーケットシェア)が低下すると、利益も減少し、問題児や負け犬に転落する可能性があります。
花形に該当する事業の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- AppleのiPhone
- AmazonのEC事業
- Netflixの動画配信サービス
- ユニクロのアパレル事業
これらの事業は、市場成長率が高く、市場占有率(マーケットシェア)も高いことで知られています。
しかし、競合他社も多く存在し、常にイノベーションやマーケティングに投資をしていることがわかります。
市場での優位性を保つためには、花形であることに満足せず、さらなる成長を目指すことが必要です。
金のなる木(Cash Cow)
金のなる木は、市場成長率が低く新規参入も少なくなっているために競争は穏やかになっていて、積極的な投資は必要とされません。
その一方で市場占有率(マーケットシェア)が高く、安定した利益が出しやすい状態です。
したがって金のなる木に分類される事業から得られる利益は、その事業へ再投資するのとともに、花形や問題児の事業に振り分けていくことが必要とされるでしょう。
金のなる木に該当する事業は、将来的に負け犬に移行する可能性があります。
しかし、その前に新たな花形や問題児を育てることができれば、事業ポートフォリオをバランスよく維持することができます。
金のなる木に該当する事業の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- コカ・コーラの飲料事業
- マイクロソフトのWindowsやOffice
- ソニーのゲーム事業
- 日本たばこ産業(JT)のたばこ事業
これらの事業は、市場成長率が低いか停滞しているものの、市場占有率(マーケットシェア)が高く、安定したキャッシュフローを生み出しています。
しかし、それだけでは新規市場への参入やイノベーションへの挑戦は難しくなります。
そのため、金のなる木から得られる利益を他の成長性の高い事業に再投資することが重要です。
問題児(Problem Child)
問題児は、市場成長率が高く、競争が激しく、積極的な投資が必要とされる一方で市場占有率(マーケットシェア)が低いために利益が出しやすくない状態です。
そのため問題児と呼ばれます。問題児に分類される事業は、将来的に花形に移行する可能性がありますが、そのためには市場占有率(マーケットシェア)を高めることが必要です。
市場占有率(マーケットシェア)を高めるためには、金のなる木から得られる利益を再投資することが望まれます。
問題児に該当する事業の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- テスラの電気自動車事業
- フェイスブックのSNS事業
- マクドナルドのファストフード事業
- ソフトバンクの携帯電話事業
これらの事業は、市場成長率が高いものの、市場占有率(マーケットシェア)が低いか、または低下傾向にあることで知られています。
競合他社との差別化やブランド力の強化など、市場での優位性を確保するために多くの投資が必要です。
市場でのシェアを高めることができれば、花形へと移行するチャンスがあります。
負け犬(Dog)
負け犬は、市場成長率も市場占有率(マーケットシェア)も低く、利益も出しにくい状態です。
競争も穏やかであるために積極的な投資は必要とされませんが、その分成長性も見込めません。
負け犬に分類される事業は、将来的に撤退する可能性が高いです。
しかし、その前に市場や競争環境が変化して再び成長する可能性もあります。
負け犬に該当する事業の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- ソニーのテレビ事業
- シャープの家電事業
- 日産自動車の乗用車事業
これらの事業は、市場成長率も市場占有率(マーケットシェア)も低く、利益も出しにくいことで知られています。
新規参入や技術革新などで市場や競争環境が変化しない限り、成長する見込みはありません。
そのため、撤退や再構築などの戦略を検討することが必要です。
PPM分析の4つのポジションとその意味(花形、金のなる木、問題児、負け犬)のまとめ
PPM分析では、自社の事業や製品・サービスを市場成長率と市場占有率(マーケットシェア)という2つの軸からなる座標に分類し、経営資源の投資配分を判断する方法です。
PPM分析では自社事業を花形・金のなる木・問題児・負け犬の4つのポジションに分類します。
それぞれのポジションに該当する事業は、市場での競争状況や将来性が異なります。
そのため、それぞれに適した戦略を取ることが重要です。
PPM分析は、自社の事業ポートフォリオを俯瞰することができる有効なフレームワークです。
しかし、PPM分析には以下のような注意点もあります。
- 市場や競争環境が変化することに対応する必要がある
- 財務指標だけではなく、定性的な要素も考慮する必要がある
- 他のフレームワークと組み合わせて使うことでより効果的になる
PPM分析を使って自社の事業や製品・サービスの現状や将来性を分析し、経営資源の最適な配分を決めることで、市場での競争に勝ち抜くことができるでしょう。
PPM分析はマーケティングの基本的なフレームワークですので、ぜひ覚えておいてください。
PPM分析のメリットとデメリット
マーケティングにおいて、自社の事業や製品・サービスの現状や将来性を分析することは非常に重要です。
市場での競争に勝ち抜くためには、経営資源の最適な配分を決める必要があります。
そのために役立つのが、PPM分析という手法です。
PPM分析とは、「市場成長率」と「市場占有率(マーケットシェア)」の2軸からなる座標に事業や製品・サービスを分類し、経営資源の投資配分を判断する方法です。
PPM分析では、自社の事業や製品・サービスを以下の4つのポジションに分類します。
- 花形(Star):市場成長率も市場占有率も高い状態。競争が激しいため、積極的な投資が必要。
- 金のなる木(Cash Cow):市場成長率は低いが、市場占有率は高い状態。安定した利益が得られるため、他の事業に資金を振り分ける。
- 問題児(Problem Child):市場成長率は高いが、市場占有率は低い状態。利益が出しにくいため、市場占有率を高めるための投資が必要。
- 負け犬(Dog):市場成長率も市場占有率も低い状態。利益も出ないため、事業を整理するか売却するかを検討する。
このように、PPM分析を使うことで、自社の事業や製品・サービスの現状や将来性を把握することができます。
また、競合他社と自社との立ち位置も比較することができます。
しかし、PPM分析にはメリットだけでなくデメリットもあります。
PPM分析は財務指標だけで分析を行うため、事業のさまざまな側面を考慮できません。
また、新規事業やイノベーションには向いていません。
そこで、この記事では、PPM分析のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
また、PPM分析の具体的なやり方や活用事例も紹介します。
PPM分析はマーケティングの基本的なフレームワークですので、ぜひ覚えておいてください。
PPM分析のメリット
PPM分析には以下のようなメリットがあります。
1. 自社の製品や事業を客観視できる
PPM分析では、「市場成長率」と「市場占有率」という2つの指標で自社の製品や事業を評価します。
これにより、自社の製品や事業の現状や将来性を客観的に把握することができます。
自社の強みや弱み、市場での優位性や劣位性を明確にすることができます。
2. 事業判断のミスを防ぎやすい
PPM分析では、自社の製品や事業を4つのポジションに分類し、それぞれに適した戦略を取ることができます。
例えば、市場占有率が低く利益も出ない「負け犬」に分類される事業に対しては、撤退や売却などの選択肢を検討することができます。
逆に、市場成長率が高く将来性がある「問題児」に分類される事業に対しては、積極的な投資を行って市場占有率を高めることができます。
これにより、事業判断のミスを防ぎやすくなります。
PPM分析のデメリット
PPM分析には以下のようなデメリットもあります。
1. 事業間の関係を考慮できない
PPM分析では、各製品や事業を個別に評価しますが、それらの事業間の関係を考慮することはできません。
例えば、「負け犬」に分類される事業でも、他の事業とのシナジー効果がある場合や、ブランドイメージや社会的責任などの観点から継続する必要がある場合もあります。
また、「問題児」に分類される事業でも、他の事業との競合関係や相乗効果がある場合や、技術的なノウハウや人材育成などの観点から投資する必要がある場合もあります。
このように、PPM分析では事業間の関係を無視してしまうため、最適な経営判断を下すことができない可能性があります。
2. 破壊的なイノベーションを見落とす
PPM分析では、「市場成長率」と「市場占有率」という既存の指標で評価しますが、これらの指標は過去や現在のデータに基づいています。
しかし、市場や競争環境は常に変化しており、新たなニーズや技術革新などによって破壊的なイノベーションが起こる可能性があります。
例えば、「金のなる木」に分類される事業でも、新しい製品やサービスによって市場が奪われてしまう可能性があります。
また、「負け犬」に分類される事業でも、新しい市場やニッチな需要に応えられる可能性があります。
このように、PPM分析では破壊的なイノベーションを見落としてしまうため、将来的な成長機会を逃すことがあるかもしれません。
3. 指標の取り方で結果が変わる
PPM分析では、「市場成長率」と「市場占有率」という指標を使いますが、これらの指標の取り方によって結果が変わる可能性があります。
例えば、「市場成長率」は、どの期間を基準にするかや、どのような市場を対象にするかによって異なります。
また、「市場占有率」は、どのような売上高を用いるかや、どのような競合他社を含めるかによって異なります。
このように、PPM分析では指標の取り方に一定の基準や根拠が必要です。
そうでなければ、主観的な判断に基づいて分析を行ってしまうことになります。
PPM分析のやり方
PPM分析を行うためには、以下の4つのステップを踏みます。
1. 市場成長率を計算する
市場成長率は、ある期間における市場規模の増減率です。市場規模とは、ある製品やサービスの総売上高です。市場成長率は、以下の式で計算できます。
市場成長率=(当期の市場規模-前期の市場規模)÷前期の市場規模
市場規模のデータは、各業界団体や民間調査会社、公的機関などが発表しているものを参考にします。もしデータが入手できない場合は、自社や競合他社の売上高から推定することもできます。
2. 市場占有率を計算する
市場占有率は、自社の製品やサービスが占める市場全体の割合です。市場占有率は、以下の式で計算できます。
市場占有率=自社の売上高÷市場規模
自社の売上高は、会計データから取得できます。また、競合他社と自社との比較を行うためには、相対的市場占有率という指標も使います。相対的市場占有率は、以下の式で計算できます。
相対的市場占有率=自社の絶対的市場占有率÷業界トップ企業の絶対的市場占有率
相対的市場占有率は、自社が業界トップ企業と比べてどれだけ強いかを示す指標です。相対的市場占有率が1以上であれば、自社が業界トップ企業であることを意味します。
3. バブルの大きさを決める
バブルとは、PPM分析の座標面上で各製品や事業を表す円です。バブルの大きさは、売上高や利益などを表す指標で決めます。バブルの大きさが大きいほど、その製品や事業が重要であることを示します。
4. 製品や事業を座標面に表示する
市場成長率と市場占有率とバブルの大きさを計算したら、PPM分析の座標面に製品や事業を表示します。
これにより、自社の製品や事業がどのポジションに分類されるかを確認できます。
また、競合他社の製品や事業も同様に表示することで、自社と競合他社との立ち位置を比較できます。
PPM分析の活用事例
PPM分析は、多くの企業が経営戦略を立てる際に利用しています。
ここでは、PPM分析を活用した事例を紹介します。
ジャンルの異なる4つの企業の事例を見てみましょう。
任天堂
任天堂は、ゲーム機やゲームソフトの開発・販売を行う世界的な企業です。
任天堂は、PPM分析を使って自社の製品や事業のポートフォリオを管理しています。
任天堂のPPM分析では、市場成長率は「ゲーム市場全体の成長率」、市場占有率は「自社ゲーム機の販売台数」で計算しています。
また、バブルの大きさは「自社ゲーム機に対応するゲームソフトの売上高」で決めています。
任天堂のPPM分析によると、以下のような結果が得られます。
- 花形:ニンテンドースイッチ
- 金のなる木:ニンテンドー3DS
- 問題児:Wii U
- 負け犬:ニンテンドーDS
この結果から、任天堂は以下のような戦略を取っています。
- ニンテンドースイッチには積極的に投資し、市場占有率を高める。
- ニンテンドー3DSから得られる利益をニンテンドースイッチや新規事業に振り分ける。
- Wii Uは市場から撤退し、ニンテンドースイッチへ移行する。
- ニンテンドーDSは既に市場から撤退している。
任天堂は、PPM分析を使って自社の製品や事業の現状や将来性を把握し、適切な経営資源の配分を行っています。
また、市場や競争環境が変化することに対応するために、新規事業やイノベーションにも積極的に取り組んでいます。
ソニー
ソニーは、エレクトロニクスやゲーム、映画など多岐にわたる事業を展開する世界的な企業です。
ソニーもPPM分析を使って自社の事業ポートフォリオを管理しています。
ソニーのPPM分析では、市場成長率は「各事業領域の成長率」、市場占有率は「各事業領域での自社シェア」で計算しています。また、バブルの大きさは「各事業領域での自社売上高」で決めています。
ソニーのPPM分析によると、以下のような結果が得られます。
- 花形:ゲーム&ネットワークサービス
- 金のなる木:映画
- 問題児:音楽
- 負け犬:エレクトロニクス
この結果から、ソニーは以下のような戦略を取っています。
- ゲーム&ネットワークサービスには積極的に投資し、市場占有率を高める。
- 映画から得られる利益をゲーム&ネットワークサービスや新規事業に振り分ける。
- 音楽は市場占有率を高めるための投資を行う。エレクトロニクスは市場から撤退するか、他社との提携や事業売却を検討する。
ソニーは、PPM分析を使って自社の事業の現状や将来性を把握し、適切な経営資源の配分を行っています。
また、市場や競争環境が変化することに対応するために、新規事業やイノベーションにも積極的に取り組んでいます。
サントリー
サントリーは、清涼飲料水からアルコール飲料まで、飲料に関係する事業を幅広く展開する大手企業です。
サントリーは、PPM分析を使って自社の製品や事業のポートフォリオを管理しています。
サントリーのPPM分析では、市場成長率は「各製品カテゴリーの成長率」、市場占有率は「各製品カテゴリーでの自社シェア」で計算しています。
また、バブルの大きさは「各製品カテゴリーでの自社売上高」で決めています。
サントリーのPPM分析によると、以下のような結果が得られます。
- 花形:ビール
- 金のなる木:ウイスキー
- 問題児:清涼飲料水
- 負け犬:日本酒
この結果から、サントリーは以下のような戦略を取っています。
- ビールには積極的に投資し、市場占有率を高める。
- ウイスキーから得られる利益をビールや新規事業に振り分ける。
- 清涼飲料水は市場占有率を高めるための投資を行う。
- 日本酒は市場から撤退するか、他社との提携や事業売却を検討する。
サントリーは、PPM分析を使って自社の製品や事業の現状や将来性を把握し、適切な経営資源の配分を行っています。
また、市場や競争環境が変化することに対応するために、新規事業やイノベーションにも積極的に取り組んでいます。
ソフトバンク
ソフトバンクは、携帯電話サービスやインターネットサービスなど多岐にわたる事業を展開する大手企業です。
ソフトバンクは、PPM分析を使って自社の製品や事業のポートフォリオを管理しています。
ソフトバンクのPPM分析では、市場成長率は「各事業領域の成長率」、市場占有率は「各事業領域での自社シェア」で計算しています。
また、バブルの大きさは「各事業領域での自社売上高」で決めています。
ソフトバンクのPPM分析によると、以下のような結果が得られます。
- 花形:インターネットサービス
- 金のなる木:携帯電話サービス
- 問題児:人工知能
- 負け犬:ブロードバンド
この結果から、ソフトバンクは以下のような戦略を取っています。
- インターネットサービスには積極的に投資し、市場占有率を高める。
- 携帯電話サービスから得られる利益をインターネットサービスや新規事業に振り分ける。
- 人工知能は市場占有率を高めるための投資を行う。
- ブロードバンドは市場から撤退するか、他社との提携や事業売却を検討する。
ソフトバンクは、PPM分析を使って自社の製品や事業の現状や将来性を把握し、適切な経営資源の配分を行っています。
また、市場や競争環境が変化することに対応するために、新規事業やイノベーションにも積極的に取り組んでいます。
PPM分析の活用事例のまとめ
PPM分析は、自社の事業や製品・サービスの現状や将来性を分析するための有効な手法です。
市場成長率と市場占有率という2つの指標で自社の事業や製品・サービスを4つのポジションに分類し、経営資源の最適な配分を決めることができます。
また、競合他社と自社との立ち位置も比較することができます。
しかし、PPM分析にはデメリットもあります。PPM分析は財務指標だけで分析を行うため、事業のさまざまな側面を考慮できません。
また、新規事業やイノベーションには向いていません。
さらに、指標の取り方によって結果が変わる可能性もあります。
この記事では、PPM分析の活用事例を紹介しました。
成功した事業や失敗した事業の例を挙げて、PPM分析でどう判断されたかを解説しました。
PPM分析はマーケティングの基本的なフレームワークですが、使いどころを間違えずに活用しましょう。
PICKUPキャリコン
PPM分析の応用方法
ここからは、PPM分析の応用方法を紹介します。
他のフレームワークと組み合わせたり、新規事業に適用したりする方法を紹介します。
PPM分析はマーケティングの基本的なフレームワークですが、使いどころを間違えずに活用しましょう。
PPM分析は、多くの企業が経営戦略を立てる際に利用しています。
しかし、PPM分析だけでは限界もあります。
そこで、PPM分析を応用する方法を紹介します。
他のフレームワークと組み合わせる
PPM分析は、財務指標だけで事業や製品・サービスを分析するため、定量的な側面しか考慮できません。
しかし、事業や製品・サービスには、定量的な側面だけでなく、定性的な側面もあります。
例えば、顧客満足度やブランドイメージなどです。
そこで、PPM分析と他のフレームワークを組み合わせることで、より多角的な分析が可能になります。
例えば、以下のようなフレームワークがあります。
- SWOT分析:自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を分析する方法です。PPM分析とSWOT分析を組み合わせることで、自社の事業や製品・サービスの内部的な要因と外部的な要因を考慮することができます。
- 3C分析:自社(Company)、顧客(Customer)、競合他社(Competitor)の3つの要素を分析する方法です。PPM分析と3C分析を組み合わせることで、自社の事業や製品・サービスの市場における立ち位置や競争力を考慮することができます。
- マーケティングミックス:商品(Product)、価格(Price)、販売促進(Promotion)、流通(Place)の4つの要素を分析する方法です。PPM分析とマーケティングミックスを組み合わせることで、自社の事業や製品・サービスのマーケティング戦略を考慮することができます。
これらのフレームワークは、PPM分析と相補的に機能することができます。PPM分析で得られた結果に基づいて、他のフレームワークで詳細な分析を行うことで、より深い洞察が得られるでしょう。
新規事業に適用する
PPM分析は、既存の事業や製品・サービスに対して行うことが多いです。
しかし、PPM分析は新規事業に対しても適用することができます。
新規事業に対してPPM分析を行う場合は、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 市場成長率は予測値を用いる:新規事業では市場成長率が未知数です。そこで、市場調査やトレンド分析などを行って市場成長率の予測値を用いる必要があります。
- 市場占有率は目標値を設定する:新規事業では市場占有率も未知数です。そこで、自社の目標や戦略に基づいて市場占有率の目標値を設定する必要があります。
- バブルの大きさは売上高の予測値を用いる:新規事業では売上高も未知数です。そこで、市場規模や市場占有率の予測値から売上高の予測値を用いる必要があります。
新規事業に対してPPM分析を行うことで、以下のようなメリットがあります。
- 新規事業の市場性や競争力を評価することができる
- 新規事業の投資価値やリスクを判断することができる
- 新規事業の目標や戦略を明確にすることができる
新規事業に対してPPM分析を行う場合は、予測値や目標値に基づいて分析することになります。
そのため、定期的に見直しや修正を行う必要があります。
市場や競争環境が変化することに対応するために、新規事業のPPM分析は柔軟に行いましょう。
PPM分析の応用方法のまとめ
PPM分析は、自社の事業や製品・サービスの現状や将来性を分析するための有効な手法です。
市場成長率と市場占有率という2つの指標で自社の事業や製品・サービスを4つのポジションに分類し、経営資源の最適な配分を決めることができます。
また、競合他社と自社との立ち位置も比較することができます。
しかし、PPM分析にはデメリットもあります。
PPM分析は財務指標だけで分析を行うため、事業のさまざまな側面を考慮できません。
また、新規事業やイノベーションには向いていません。
さらに、指標の取り方によって結果が変わる可能性もあります。
この記事では、PPM分析の応用方法を紹介しました。
他のフレームワークと組み合わせたり、新規事業に適用したりする方法を紹介しました。
PPM分析はマーケティングの基本的なフレームワークですが、使いどころを間違えずに活用しましょう。
PPM分析で注意すべき点
PPM分析は、マーケティングの基本的なフレームワークとして広く使われていますが、その一方でいくつかの注意点もあります。
ここでは、PPM分析で注意すべき点を3つ挙げてみます。
PICKUPキャリコン
市場や競争環境が変化することに対応する必要性
PPM分析は、あくまである時点での市場や競争環境を反映したものです。
しかし、市場や競争環境は常に変化しています。
新しい技術やニーズが登場したり、競合他社が新規参入したり、規制や法律が変わったりすることで、市場成長率や市場占有率は大きく変動する可能性があります。
したがって、PPM分析は定期的に見直す必要があります。
また、将来的な市場や競争環境の変化を予測し、事前に対策を立てることも重要です。
定性的な要素も考慮する必要性
PPM分析は、財務指標である市場成長率と市場占有率に基づいて行われます。
しかし、事業や製品の評価には、財務指標だけではなく定性的な要素も重要です。
たとえば、ブランドイメージや顧客満足度、製品の品質や機能性、社会的貢献度などは、財務指標では捉えられませんが、事業や製品の価値に影響を与えます。
したがって、PPM分析だけではなく定性的な要素も考慮する必要があります。
また、定性的な要素を定量化する方法も検討することが望ましいです。
他のフレームワークと組み合わせる必要性
PPM分析は、事業や製品のポートフォリオ全体を俯瞰することができるメリットがありますが、その反面、個々の事業や製品の特徴や戦略を詳細に分析することはできません 。
また、PPM分析は、既存の市場や競争環境に基づいて行われるため、新規市場や革新的な製品に対応することは難しいです 。
したがって、PPM分析だけではなく、他のフレームワークと組み合わせる必要があります。
たとえば、SWOT分析や3C分析などの一般的なフレームワークや、ブルーオーシャン戦略やディスラプティブ・イノベーションなどの革新的なフレームワークを併用することで、より深い分析や戦略策定が可能になります 。
PPM分析で注意すべき点のまとめ
PPM分析は、マーケティングの基本的なフレームワークとして有効ですが、その一方でいくつかの注意点もあります。
市場や競争環境が変化することに対応する必要性や、定性的な要素も考慮する必要性や、他のフレームワークと組み合わせる必要性などを理解し、PPM分析を適切に活用することが重要です。
このコラムでは、PPM分析で注意すべき点について解説しました。
PPM分析は、マーケティングの基礎知識として押さえておきたいフレームワークです。ぜひ参考にしてみてください。
PPM分析関連書籍一覧
- ビジュアル ビジネス・フレームワーク/堀公俊
- すべては戦略からはじまる―会社をよくする戦略思考のフレームワーク/西口貴憲
- マーケティング用語図鑑/野上眞一
- 戦略分析ケースブック Vol.3/沼上幹
- この1冊ですべてわかる 経営戦略の基本/㈱日本総合研究所 経営戦略研究会
PPM分析関連サイト一覧
- PPM分析とは? マーケティングの基本戦略策定フレームワークを解説/MarkeTRUNK
- PPM分析とは?基礎から事例まで分かりやすく解説!/NEOマーケティング
- PPM分析とは?やり方やメリットをわかりやすく解説/Strap
- PPM分析とは?PPM分析の方法や経営に活かすメリットと事例を解説/Chat work
- PPM分析とは? 活用するメリットややり方をわかりやすく解説/oneplus
PPM分析とは?市場成長率と市場占有率で事業や製品のポジションを判断する方法のまとめ
PPM分析は、市場成長率と市場占有率の2軸で事業や製品を分類し、経営資源の投資配分を判断するためのフレームワークです。
PPM分析には、花形、金のなる木、問題児、負け犬という4つのポジションがあり、それぞれに応じた戦略が必要です。
PPM分析は、マーケティングの基本的なフレームワークとして有効ですが、その一方でいくつかの注意点もあります。
市場や競争環境が変化することに対応する必要性や、定性的な要素も考慮する必要性や、他のフレームワークと組み合わせる必要性などを理解し、PPM分析を適切に活用することが重要です。
このコラムでは、PPM分析について基礎から事例まで分かりやすく解説しました。
PPM分析は、マーケティングの基礎知識として押さえておきたいフレームワークです。
ぜひ参考にしてみてください。