PM理論でリーダーシップ能力を高めるとは?/目標を達成させる4つの具体例 | キャリアコンサルタントドットネット

PM理論でリーダーシップ能力を高めるとは?/目標を達成させる4つの具体例

[記事公開日]2021/04/12
[最終更新日]2021/09/13
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社会人になってから上司や先輩から「PM理論も知らないのか⁉」なんて言われた事がある人も多いはずです。

また、ビジネスの交渉ごとを任された場合に「PM理論」を知っておいて損はありません。

そんな社会人になってから知っておいて方が良かったと思われる「PM理論でリーダーシップ能力を高めるとは?/目標を達成させる4つの具体例」を初心者向けにわかりやすく説明いたします。

 

PM理論の提唱者について

PM理論の提唱者についてPM理論は、財団法人集団力学研究所初代所長である三隅二不二(みすみじゅうじ・みすみじふじ)氏が提唱したリーダーシップ行動論の一つです。

リーダーシップ機能を類型化するための理論です。

現代では、会社経営や部署などのチームの運営に活用することが可能な理論です。

三隅二不二氏は(1924年(大正13年)3月21日〜2002年(平成14年)5月31日)は福岡県出身の日本の心理学者であり、社会心理学を専攻していました。九州大学教授、大阪大学名誉教授、筑紫女学園大学学長などを歴任しています。

三隅二不二氏は、集団力学と訳されるグループ・ダイナミックス(Group dynamics)を日本に紹介しました。

 

集団力学(グループダイナミクス)とは?

集団力学(グループダイナミクス)とは?集団力学とは、集団という場でどのような力が働き、どのような条件でその力が変化するのかなどの問題を取り扱います。

つまり、集団の場合に、個人がどのような思考や行動等をするのかを研究する学問です。

研究領域として、リーダーシップ、集団規範、集団の凝集性、集団構造、集団決定とその効果、集団目標と業績等があります。

集団力学は集団心理学と同義と捉えられる場合もあります。

三隅二不二は集団力学の普及と発展に力を注ぎました。

また、リーダーシップをパフォーマンス(Performance function)とメンテナンス(Maintenance function)の2つの機能の複合として捉えるPM理論では世界的に知られています。

 

PM理論とは?

PM理論とは?PM理論は、リーダーシップを行動によって4つのリーダータイプに分類したフレームワークです。

  • 「P機能」Performance functionの「目標達成機能」
  • 「M機能」Maintenance functionの「集団維持機能」

とに分類されています。

 

目標達成機能(P機能/Performance function)

目標達成機能(P機能/Performance function)目標達成機能は、集団において目的を達成させたり、課題解決に関する機能のことを言います。

また、目標の設定や計画の立案、指示をするなどにより、集団に成績を高めたり生産性を向上させたりする機能を言います。

目標達成機能の行動例は下記の通りです。

  • 納期を守るために進捗状況を管理し完遂させる
  • 進捗状況の報告を求める
  • 月のノルマ達成のために緻密な計画を立てる
  • 知識スキルを部下や周囲の人に伝える
  • 規則違反やルール違反防止のために、チームメンバーを厳しく指導する
  • 問題の新しい解決策を考えて周囲に示す

 

集団維持機能(M機能/Maintenance function)

集団維持機能(M機能/Maintenance function)集団維持機能は、集団の人間関係を良好に保つことで、チーム内の関係を維持し更には強化する機能を言います。

集団維持機能の行動例は下記のとおりです。

  • メンバーそれぞれの個を理解し気づかいを忘れずに、積極的にかつ頻繁に声掛けを行う
  • メンバー同士で問題がる場合には積極的に関与し可能な限り解決に導く
  • 部下に積極的に意見を求めると共に信頼している
  • 仕事が良い仕事や新しい発想などをすれば積極的に褒める

 

P機能・M機能の能力要素の強弱での分類

P機能・M機能の能力要素の強弱での分類P機能とM機能の能力要素を強いと弱いにより分類しています。

PM理論では目標達成機能(P)と集団維持機能(M)の強いを大文字PとMで、弱いを小文字のpとmとで組み合わせPM(PM共に大文字)、Pm(P大文字m小文字)、pM(p小文字M大文字)、pm(pm共に小文字)のリーダータイプに分類されます。

なお、読み方はどれもピーエムで同じですので、読み方を以下のように分類しています。

  • PM(ラージピーエムがた)
  • Pm(ピーがた)
  • pM(エムがた)
  • pm(スモールピーエムがた)

PM

PMタイプ(ラージピーエムがた)

目標達成機能(P)と集団維持機能(M)共に備わっているリーダータイプです。

PMタイプはリーダーとして理想的です。

「成果を上げる力も、集団をまとめる力もある」と考えれば一目瞭然であり当然です。

部下の目で考えてもこのようなリーダーについていきたいと考えるのではないでしょうか?

 

Pmタイプ(ピーがた)

目標達成機能(P)は強いが、集団維持機能(M)は弱いリーダータイプです。

目標を達成させるが集団をまとめる力はあまり備わっていません

ノルマ達成には積極的で生産性も高いために毎月結果は残します。しかし、リーダーとして、まとめ上げるのは苦手な為にチーム内から反感などもあり、人が残らないという場合も多くあります。

P機能が強い為に、目標達成の為に緻密に計画を立て部下を管理し指示や指導を徹底的に行って短期的に目標達成することが可能です。

しかし、その反面m機能は弱い為に、部下同士の関係に気を配ったりすることは不得意であり、部下のモチベーション向上などに気をかけることも少ないために、長期的な結果には結びつくことは難しいのが実情です。

また、部下のモチベーションの低下から長期的にパフォーマンスも低下してしまいます。

 

pMタイプ(エムがた)

目標達成機能(p)は弱いが、集団維持機能(M)は強いリーダータイプです。

チームをまとめ上げて維持することは優れているのですが、ノルマなどの目標を達成するという面においては劣っていると言われます。

M機能が強い為に、チームワークは保たれやすくメンバー同士も仲が良いのが特徴です。

しかし、その反面p機能は弱いために、計画を立てて目標に向かって戦略を立ててチーム一丸となって目標達成させるなどは不得意です。

また、集団を発展させることなどに関しては困難であり難しいと言えます。

 

pmタイプ(スモールピーエムがた)

目標達成機能(p)集団維持機能(m)共に弱いタイプです。

成果を上げることも得意ではなくチームをまとめ上げることも不得意です。チームを率いてパフォーマンスを発揮することが困難であるリーダー像です。

PM理論のなかで最も望ましくないリーダーであり、はっきりと言えばリーダーとしては失格と言えるかもしれません。

 

P機能・M機能の能力要素の強弱での分類のまとめ

P機能・M機能の能力要素の強弱での分類のまとめ4つに分類されたPM理論ですが、社内環境や規模、従業員の数などにより様々な要因で求められているリーダーシップは違いますので、このまま適用できると言うわけではありません。

1万人企業の社長に求められるリーダーシップと、数人のチームリーダーに求められるリーダーシップが違うことを考えれば容易に想像がつくのではないでしょうか?

 

PM理論の別名「パパ・ママ理論」について

PM理論の別名パパママ理論についてPM理論は「パパ・ママ理論」とも呼ばれています。

目標達成機能であるP機能は、父親のように力強いリーダーシップを、集団維持機能であるM機能は、母親のようにすべてを受容してくれるリーダーシップをと提唱者である三隅二不二氏が言ったからです。

現代では父親像や母親像などというモノさえも差別の原因だと言われているので、少し時代錯誤かもしれません。

しかし、少し前に考えられていた父親像、母親像などを思い出せば理解出来るのではないでしょうか?

つまり、「お父さんの厳しさで目標を達成させて、母親のような優しさでチームをまとめる」それが理想的なリーダー像と言えるのです。

 

《状況・場面別》求められるPM理論

《状況・場面別》求められるPM理論リーダーとしてPM型(ラージピーエムがた)が、いずれの場面・状況であっても最も適しているのはお判りいただけたと思います。

それでは、他の集団効果の基準の場面を、「生産性(短期的)」「生産性(長期的)」「部下の意欲・満足度などによる事故などの低発生率」別にPM型(ラージピーエムがた)以外の適している型の順番を説明いたします。

 

集団効果の基準/生産性(短期的)

集団効果の基準/生産性(短期的)

短期的な生産性を達成するためにはP型の強さが必要となる為、2番はPm型です。次にpM型最後はpm型です。

  1. PM型
  2. Pm型
  3. pM型
  4. pm型

 

 

集団効果の基準/生産性(長期的)

集団効果の基準/生産性(長期的)長期的な生産性な場合は2番目はpM型になります。チームメンバーの集団維持が大切になるからです。3番目はPm型で最後はpm型です。

  1. PM型
  2. pM型
  3. Pm型
  4. pm型

 

 

 

集団効果の基準/部下の意欲・満足度、職場のコミュニケーション、事故の低発生率にした場合

集団効果の基準/部下の意欲・満足度などによる事故などの低発生率部下の意欲や満足度やコミュニケーション、事故の低発生率にした場合は2番目はpM型になります。ストレスを感じないようなチーム内で働くことが事故の発生に影響するためです。3番目はPm型で最後はpm型です。

  1. PM型
  2. pM型
  3. Pm型
  4. pm型

 

 

「目標達成機能(P機能)」と「集団維持機能(M機能)」の向上させるポイントについて

「目標達成機能(P機能)」と「集団維持機能(M機能)」の向上させるポイントについてノルマがある営業職の場合は、ノルマ達成は非常に重要です。

ただ、営業チームを率いるリーダーの場合は、チームとしての集団を維持することが大切です。

それでは、そんな「目標達成機能(P機能)」と「集団維持機能(M機能)」を向上させるためにはどのようなポイントをわかりやすく説明いたします。

 

目標達成機能(P機能)を向上させるポイント

目標達成機能(P機能)を向上させるポイント目標達成機能の向上とは、つまりノルマや成果を達成させるマネジメントが主となります。

  1. チーム全体・個人の情報とそれぞれの目標を共有し進捗状況の把握
    チーム目標を高確率で達成するには、具体的な目標設定からはじまり、目標の周知も必要です。
    また、達成にむけた手順設定を共有するなどしなければなりません。
    これは、目標達成のためには一般的ではあるのですが、目標設定があっても曖昧であったり、「いつまでにどれだけ」というスケジュール管理などが行われていない場合が以外と多くあります。
    具体的な目標設定に向けたスケジュール管理はもちろん、チームメンバーそれぞれの行動計画や意識づけが行いマネジメントされていないと目標の達成は難しくなります。
    メンバーそれぞれの進捗状況やトラブルなど、メンバーが何をしているのかを把握できる環境作りが、全体の業務遂行率の向上に繋がり目標達成機能が向上します。
  2. チーム並びに個人の目標達成率を意識させる
    目標達成率を意識させることは重要です。
    これは個人の目標達成率はもちろんですが、チーム全体の目標達成率を意識させる事も同様です。
    また、個人の目標達成率が低く悩んでいるメンバーがいる場合には、個別指導を行ったりして問題解決に努めます。
    個人の目標達成率向上が、チーム目標の達成に繋がり、より高いチーム目標達成を期待することが出来ます。
  3. 目標達成への道筋をイメージさせる
    チームとしての目標とチームメンバー個人としての目標を明確にする必要があります。
    その目標への道筋をわかりやすくメンバーそれぞれに合わせて説明を行い、意識を高く保つ為にも、何度も繰り返し伝える必要があります。
    目標やその目標への想いだけを伝えてもメンバーは、その道筋をイメージ出来ない可能性があるからです。
  4. 目標達成のための行動を徹底させる
    目標への想いや道筋を理解させた後は行動あるのみです。
    行動がなければ理解させたとしても想いが伝わったとしても意味がありません。
    何も言わなくても行動出来るメンバーは残念ながらごくわずかと考え、上述したスケジュール管理を含めて行動を行うことで目標達成機能を強化することに繋がります。

 

集団維持機能(M機能)を向上させるポイント

集団維持機能(M機能)を向上させるポイント目標達成はリーダーとして当然の責務ですが、リーダーだけで目標達成することが出来ないのが実情ではないでしょうか?

つまり、目標達成機能(P機能)に合わせて集団維持機能(M機能)が重要となります。

チームメンバー全体の雰囲気はもちろん、士気の向上やメンバー同士の人間関係といったマネジメントが必要となります。

メンバーをまとめる統率力は、仕事の進捗状況とは別でメンバーの結束力をまとめられるかが重要なポイントになります。

  1. 1on1ミーティングの実施
    メンバーによってスキルや思考の特徴などは違います。また、チームに対する意見なども違って当然です。
    リーダーに言いたいことがあるが、会議などの場で発言すればチーム内の輪を乱す事になりかねないと気を使っている可能性もあります。
    その為に、1on1ミーティングの定期的な実施で、チームメンバーの声を汲み取ることが可能となります。
  2. リーダーとしての信頼、信用を得る
    ほんの少しであっても不信感は、チームの運営に大きな障害となります。その不信感がリーダーに向けてであれば増して大きな障害になります。
    ただ、信頼、信用とは一朝一夕で得られるものではなく、また、仕事だけ一生懸命にしたとしても得れる訳ではありません。
    プライベートでの振る舞いなども含めて、ヒトとしての行いを総合的に認められなければなりません。
    その判断基準もメンバーによって違いますので、非常に難しいことですがヒトとして誤った行動をしないように気をつけるようにする必要があります。
  3. 上下関係だけではなく横の関係を意識した行動
    集団において大切な関係は上下関係だけではありません。横の関係も意識した行動も大切となります。リーダーとメンバーだけではくメンバー同士の関係にも気を配る必要があります。
    会議やミーティングの場でも参加メンバー全ての意見を聞くことを徹底したり、メンバーそれぞれが考えていることや方向性をオープンにしたりする場などを設けることも必要となります。
    飲みニケーションと呼ばれるお酒を交えた場も効果的かもしれませんが、そこまでの関係を望んでいない若者も多い為に、慎重な検討を必要かもしれません。
    飲みニケーションは一歩間違えれば、アルコールハラスメントやパワーハラスメント等、リーダーへの不信感に繋がる可能性さえあるからです。

 

優れたリーダーになる為に身につけるべき考えと行動

優れたリーダーになる為に身につけるべき考えと行動優れたリーダーは、生まれ持った素質というわけでなく、経験や考え方、行動などの教育や指導により、誰もがなり得る可能性があります。

もちろん、自分だけでの力だけでなり得るものではありませんが、優れたリーダーになろうと思う気持ちも大切であると言えます。

そんな優れたリーダーになる為に身につけるべき考えと行動を説明いたします。

 

率先して自らが行動

率先して自らが行動優れたリーダーは自らが行動します。

これは常にいつでも行動するという訳ではありません。

常に行動していればそれは常にプレイヤーでいなければならない事と同じで、逆にリーダーとしては適していませんし、部下が成長することがありません。

もちろん、命令だけしているリーダーはいずれ信頼されなくなりますが、常に行動しているわけではありません。

優れたリーダーが率先して行動するのは、新しい取り組みやプロジェクトの時に多いのが特徴です。

誰もが行動する事に不安を感じている時に率先して行動する。これが優れたリーターの特徴です。

 

配慮が出来る

配慮が出来る

仕事では数字の結果が全てな場合が多々あります。

しかし、優れたリーダーは数字だけではなく様々な事にメンバーそれぞれに合わせた配慮が出来ます。

例えば、子どもが熱を出した際の早退や、メンバー自身の体調不良による休みなど細かな事までを含めて配慮することが出来ます。

この配慮は集団維持機能でありながらも、メンバーのモチベーションに直結して目標達成機能の向上にも繋がるのです。

 

観察力・洞察力

観察力・洞察力

リーダーとは、常にメンバーを引っ張っていくなんてイメージがあるかもしれません。しかし、優れたリーダーは引っ張っていくだけではありません。

優れたリーダーは、部下への裁量権を与え、自ら考えて行動させることがほとんどです。

もちろん、裁量権を与えた後にも、適時進捗状況を報告させて管理を怠りません。また、誤っている場合なども鋭い洞察力で誤った本質を見抜きメンバーのモチベーションが下げないような注意を行います。

この事からも優れた営業マンが優れたリーダーになれるとは限らないことが理解出来るのではないでしょうか?

 

思考回路に柔軟性がある

思考回路に柔軟性がある社会の全ての流れが早く、情報が溢れている現代ではリーダーよりメンバーの方が詳しい情報などがあっても当然です。

そんなメンバーからは、リーダーが思いもつかない新しい商品の提案がある場合が考えられます。自分が理解できないような提案であっても、優れたリーダーはまずは否定せずに受容することが多くなっています。

また、思考回路にも柔軟性を持ち合わせている為に、その提案に自らの知識をプラスした形で部下に考えさせることも行います。

部下は否定されないために、提案を出しやすくなると同時に集団維持機能の向上にも繋がるのです。

 

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PM理論でリーダーシップ能力を高めるとは?/目標を達成させる4つの具体例のまとめ

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