[最終更新日]2020/12/27

企業などの組織内の変革や改革する上で、組織マネジメントの手法として7Sという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
しかし、どのように活用すればよいのかがわからない。
他にも「7Sって5Sに2つのSを足しただけですよね?5Sとの違いは?」など5Sとの違いも含めて7Sについてわかりやすく説明いたします。
Contents
マッキンゼーの7Sとは?
マッキンゼーの7Sとは、アメリカ合衆国のマッキンゼー・アンド・カンパニーが開発した組織マネジメントをフレームワークする際に必要な要素を7つの事を言います。
マッキンゼーの7Sは30年以上前に提唱されました。
マッキンゼー・アンド・カンパニーについて
マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company, Inc.)は、ジェームズ・O・マッキンゼー(シカゴ大学経営学部教授)が設立したコンサルティング会社です。
アメリカ合衆国のシカゴに本社を置き、世界60カ国に105以上の支社を持っています。日本では、東京都港区六本木1-9-9 六本木ファーストビル9階に日本支社があります。
参照:マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社/ホームページ

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5Sとは?
職場環境の改善や維持するための活動として5Sという言葉を聞いたことがある方も多いとは思いますが、5Sと7Sはどのような関係にあるのでしょうか?
職場環境の改善や維持の5Sとは「整理(せいり、Seiri)」「整頓(せいとん、Seiton)」「清掃(せいそう、Seisou)」「清潔(せいけつ、Seiketsu)」「躾(しつけ、Shitsuke)」を言います。
整理 せいり
- 必要なモノと不要なモノとを区別する
- 不要なものを捨てる
整頓 せいとん
- 整理されたモノを使用しやすいようにする
- 決められた場所に決められた物を置き、わかりやすいように表示する
清掃 せいそう
- 掃除をする
- 掃除した場所を点検し、いつでも使える状態にしておく
清潔 せいけつ
- 整理・整頓・清掃をの3Sを意識し、その状態を保つこと
- メンテナンスすることで良い状態を維持する
躾 しつけ
- 整理・整頓・清掃・清潔の4Sを守ること、ルールとして習慣づける
- 忙しくても手順として遵守する
5Sに加えて「作法(さほう、sahou)」を加えた6Sとしているのが、精密小型モーターの開発・製造において世界一のシェアを維持・継続している京都に本社がある日本電産です。「良い社員、良い会社、良い製品」の3つのQuality(品質)とを合わせて「3Q6S」活動として実践されています。
また、東芝では「しっかり」「しつこく」を加えて7Sとしています。中古車サイト「グーネット」などを運営している愛知県に本社があるプロトコーポレーションでも同様です。
ただ、これまで説明した5S、6S、7Sは、このページのマッキンゼーの7Sとは全く関係がありません。
参照:日経クロステック/5S
マッキンゼーの7Sについて
マッキンゼーの7Sは組織マネジメントを考える際に必要な経営資源です。
マッキンゼーの7SはハードのSの3つ
- 戦略(Strategy)
- 組織(Structure)
- システム(System)
ソフトのSの4つ
- 価値観(Shared Value)
- スキル(Skill)
- 人材(Staff)
- スタイル(Style)
とに分けられます。
ハードのS(マッキンゼーの7Sの3つ)
マッキンゼーの7SのハードのSは「戦略(Strategy)」「組織(Structure)」「システム(System)」です。
経営者が組織を考える際に短期的に変更することが可能でコントロールしやすいものです。ソフトのSは人に関するものですが、ハードのSは組織構造に関するものです。
戦略(Strategy)
企業が競争社会において、目的に向かい有利に企業活動を進めるには、どのようにするのが良いのかを考えて示すことを言います。
例えば、本州から沖縄に行こうとする際に、飛行機ではなく船に乗って行くというのも一つの選択肢です。また、船であっても定期船にするのか費用をかけて船をチャーターするのか等を考える事を言います。また、乗船する人はどのような人にするかなども含まれます。
組織・組織構造(Structure)
組織は企業活動をする上で非常に重要です。
上司と部下の関係性や、機能別組織、事業部制組織、プロジェクトチーム型組織にするかなど組織形態や組織構造を含めています。
システム(System)
人事評価・業績評価のシステム、報酬システム、会計制度システム、管理システム、情報システム、インセンティブシステム、資産配分システム、経営管理システムなどのことを言います。
ソフトのS(マッキンゼーの7Sの4つ)
マッキンゼーの7SのソフトのSは「価値観(Shared Value)」「スキル(Skill)」「人材(Staff)」「スタイル(Style)」です。ソフトのSはハードのSと違い、変更するのに時間がかかります。
それは人のこころなど目に見えないモノに関する要素が多いからです。
価値観や個人のスキルなどはコントロールしにくく、直ぐには変化しないものだからです。
価値観・共通の価値観(Shared Value)
価値観・共通の価値観は7Sの中でも中心となっています。
この価値観には経営理念なども含まれます。どれだけ浸透しているのか等が重要です。
スキル(Skill)
社員が持っているスキル(特定の能力)だけではなく、企業としてのスキルも含まれます。
他社にはないスキルを持っていることは競争を優位にすることが可能です。技術料は当然ですが、営業力やマーケティング力なども含まれます。
人材(Staff)
人材とは、どのような人材がいるかということだけではありません。
その人材をどのような人事評価の元でどのような人事戦略の元で人事を行っているのかも重要です。人材の採用方法や、人材の育成方法まで含まれます。
スタイル(Style)
社風、組織の文化のことを言います。
トップダウンやボトムアップなどの意思決定フローの分析も含まれます。
ハードの4Sとソフトの3Sの関連性について
それではマッキンゼーの7Sのハードの4S・ソフトの3Sではどのような関連性・関係性があるのでしょうか?
また、7Sの中で最も重要なSや最初に考えなければならないSなどはあるのでしょうか?
あるとしたら7Sの中でどのSが最も重要で最初に考えなければならないのでしょうか?
7sで最も重要なsとは?
ハードの4Sでしょうか?ソフトの3Sはどちらが重要なのでしょうか?また、どのSが最も重要なのでしょうか?
上記で「価値観・共通の価値観(Shared Value)は7Sの中でも中心になる」とは説明しました。
しかし、最も重要という訳ではありません。
マッキンゼーの7Sでは、どのSが最も重要ということはありません。どのSも重要であり、バランスよく影響しあっていることが最も重要になります。
また、そのバランスを考える中でも所属している組織や企業にとってのバランスを考える事が大切です。
ハードの3Sはコントロールしやすい
ただ、ハードの3Sは経営者が組織を考える際に短期的に変更することが可能でコントロールしやすいものなのです。だからこそハードの3Sから変更した方が良いのではないかと思うかもしれませんがそんなことはありません。
実はハードのSは操作しやすいのですが、それにはソフトのSの影響もあります。
ソフトのSは、外からでは見ることが出来ない人の気持ちの部分が関係しています。その見えない気持ちを考えずに、変更することが容易だというハードのSを変更したとしても気持ちがついてこなくなってしまいます。
結果、ソフトのSが今までよりも悪くなってしまう場合があるのです。
コントロールしにくいソフトの4S
コントロールしやすいモノからコントロールしはじめるのではなく、コントロールしにくソフトの4Sからこそ変化をしていかなければなりません。
価値観や組織風土の変化は容易には出来ません。だからこそ、最初にソフトの4Sに着手することが大切です。
ソフトの4Sを変化させて強い会社にしていく
カトリック教会の聖人でノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサは以下のような言葉を残しています。
思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。
この名言でも気をつけることの最初は「思考」です。この「思考」は、ソフトの4Sの大部分を含んでいます。
つまり、「思考」の面を含んでいるソフトの4Sから変化させていく事が、強い会社や強い組織作りへのより良い道筋となるのではないでしょうか?
マッキンゼーの7Sの関連サイト
- 7Sとは・意味/MBAのグロービス経営大学院
- 7Sとは – マッキンゼー提唱のフレームワーク/ボクシル
- マッキンゼーの7S/Wikipedia
- マッキンゼーが提唱する組織変革のフレームワーク「7S」/セールスフォース・ドットコム
- 7Sとは何か?/ビジネス+IT
この記事はキャリアコンサルタントドットネット運営事務局が作成
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