[相談日]2021/10/12
相談者
ニックネーム:サトコ
性別:女性
年齢:39才
相談内容
お世話になります。
無職期間1ケ月の39歳独身女性です。
今後のキャリア形成について悩んでいます。
前職は主に営業事務をしておりましたが、社内事情で営業に配置転換されたのと、コロナの影響を受ける業界であった事で、長く働くビジョンが描けず、退職しました。
自分で悩んでおいてアレですが、キャリア形成や働き方支援について興味があり、キャリアコンサルタントの資格を取得しました。今のところは、長く経験した営業事務かキャリア形成支援ができる仕事に就きたいと考えています。
ただ、年齢からか事務系は書類選考が通らず、キャリア形成支援の方は人材系の企業については書類が通るものもありますが、ほとんどインセンティブ制度を設けている企業ばかりなため、安定した収入は得られにくい印象です。前職を辞めた理由の1つが事務から営業職への配置転換という事もあり、成果主義の中で結果を出していけるのかも自信がありません。
他に自分ができそうな事はないか考えていますが、これといって職探しの軸になるものが見つからず、早く仕事に就かねばという焦りからとりあえず応募してみる感じになってしまい、書類が通ったところでも面接までに気乗りせず辞退してしまったりもあります。
今後、結婚する予定もないので自活できる収入を得る職に就きたいのですが、自分でも何を目指せばいいのかわからない状況です。
アドバイスお願いします。
1 件の回答
サトコ 様
はじめまして。
キャリアコンサルタントの二森と申します。よろしくお願いいたします。
キャリアコンサルタント(以下、CC)試験に合格され、資格取得をされたということでおめでとうございます。ご自分のこれからの人生の岐路に立って、どちらに進めばいいか迷っているという状況でしょうか。大きなキャリアチェンジをするにあたって、誰もが通る道のような気もします。私もかつて、数年前ですが同じような悩みを抱えていました。今回、私の経験も踏まえて、あくまで個人的な見解ではありますが参考にしていただければと思い、回答させていただきます。
まず、少し気になるのはご自身の今後の方向性が事務系かキャリア支援かで迷っている点です。確かにオーバーラップする面もありますが自分の中で迷いが生じていることが気がかりです。まずはこの迷いを払拭させることが大事なのかなとは思います。ただ、事務系の仕事ではこれまでの経験を生かすことができますが、CCの知見を生かすことは限定的なようにも思います。一方で、キャリア支援の方では事務の経験はかなりの部分で生かすことができます。事務系の処理能力はCCにとって重要なスキルです。
その上で、どうしても気になることがあります。それは、「なぜCCになろうと思ったのか」です。この「思ったのか」が重要です。確かに、キャリア形成や働き方支援に興味を持つことは非常に重要で素晴らしいことです。しかし、ここのところをもう少しご自分で深掘りする必要があります。そしてなぜ、「キャリア形成や働き方支援に興味を持つようになったのか」です。ご自分がそのような概念や支援に興味を持つに至った何かがあるのではないですか?ここの部分をより鮮明に、明確にすることが重要に思います。それによって、今後のご自分が向かうべき道が拓けてくるのではと私は思います。
私たちと同じCCであるサトコさんには釈迦に説法ですが、CCは「自分がどうしたいのか」と「クライアント(以下、CL)はどうしたいのか」という視点で物事をみることが求められます。多くの人は、前者である「自分はどうしたいのか」という視点に長けています。しかし、後者である「CLはどうしたいのか」という視点で物事をみることはなかなか難しいと思います。この両方の視点で物事をみることを求められるのがCCという職業です。
今回、ご自身がキャリア形成や働き方支援に興味を持たれてCCになられたのは、ひとつは「CCになりたい」という自分自身への視点だと思います。ではなぜ、CCになりたいと思ったのかと言えば、例えば「キャリア形成や働き方支援に興味をもったから」で、ではそれはなぜかと考えたときに、キャリア形成や働き方支援に興味をもつに至った何かがあるのではと思うのです。
たとえばですが、ご自分のこれまでのキャリアでそのような思いに至った問題や課題に直面し大変な思いや苦労があり、同じような思いの人を少しでも救いたいという気持ちから資格取得に至ったという経験があるとか、何かしらのエピソードがあるのでないでしょうか。CCの資格を取得するのはなかなか大変なことです。約3か月間の養成講座に通い、数十万円の費用を払い、非常に難解な国家試験に合格することは生半可な気持ちではできないのではないでしょうか。ちなみに私は、資格取得するまでのキャリアにおいて雇用にかんして大変な思いをした経験があり、同じような人をひとりでも多く救いたいという思いが主軸になって今日まできています。ここまで来たら「自分がどうしたい」という、自分⇒自分への視点と、「CLはどうしてほしいと思っているのか」というCL⇒自分への視点、すなわち、自分⇔自分と、自分⇔CLの両方の視点でこのCCという職業を見る視点をもつことになります。
自分にとって、確かに生活のための安定は重要なことです。安心や安定、安全は自分が生きていく上で必要なことです。しかし、それを追い求めることは、結果的に物事や社会を見誤ることにつながるのではと私は思うことがあります。私は「安定」というものを自分にとっての優先順位から排除しました。企業内CCではない限り、CCの多くは非正規としてキャリア支援に従事されているのではないでしょうか。いわば安定を度外視し、自分の腕一本でなんとかしていこうという人が多いのではないでしょうか。職業能力開発促進法の改正によって、新しいCCがどんどん増えています。しかし、自己一致しているCCがどれだけいるのかです。
かなり抽象的な話ではありますが、重要なことはご自分がCCとして困っているであろうCLに何ができるかです。書類選考はいくらか通過するようですので、ここのところをもう少しご自分の中で深掘りし、考えを明確にすることで面接での武器となるのではと思います。
最後に、CCの活動領域について述べておきます。主な活動領域は、ご自身が検討されている人材系企業も確かにあります。しかし、現在のCCがもっとも多く活動されている領域は企業内とされています。企業内CCがもっとも多いのがデータで示されています。次いで多いのが人材系企業などの需給調整機関です。この需給調整機関は公共と民間とに分かれています。公共機関で代表的なものはハローワーク(HW)です。一方の民間では人材派遣や人材紹介といった企業となります。需給調整機関に次いで多いのは学校などの教育機関です。以下にデータを示しておきます。
CCの主な活動領域(※)
・企業:34.2%
・需給調整機関:20.2%
・学校等教育機関:17.2%
・地域:5.2%
(独立行政法人 労働政策研究・研修機構『労働政策研究報告書NO.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査』より)
※数年前の調査報告書のデータであるため、現在ではその内容に変化が生じているかもしれない点についてご了承ください。
私はこの職業の道に進むにあたって、CCの活動領域などの、CCにとっての労働市場や労働情勢を徹底的に調べました。そして、自分が救いたいCLのニーズを把握し、どのような企業や機関、組織があるのかを把握し、そこにアプローチするための手段を検討しました。やみくもにアタック(応募)するのはCCとしてどうなのかという考えもあります。そういう考え方や経験が必ずCLに対して生かすことができると私は考えています。
先ほども少し触れましたが、確かロジャーズの来談者中心療法という理論の中に「自己一致」という概念がありましたよね。自分の中で迷いが生じているという「自己一致していない」という状態では、なかなかCLの支援は難しいように思います。まずはこの自分にとっての「自己一致している」ことが重要です。自分の中で迷いが払しょくされ、自分の進むべき道が見えてきたとき、それはすなわち誰に対してどのような支援が自分にはできるのかが明確になったときだと思います。
これから事務系の職業にあたるのか、はたまたキャリア支援の道に進むのかはご自分の考えしだいです。どちらに進むにしても尊重されることです。自分で考えて決めることが重要です。その判断材料として多くの情報を収集・処理し、自己決定の礎としてください。少なくとも私は、サトコさんがいずれの道に進むにしても、それを尊重し、応援いたします。
かなり抽象的で長文になってしまいましたが、どなたも回答されていなかったので私なりの考えを述べさせていただきました。ご参考になれば幸いです。