CAGEフレームワークとは?/AAA戦略を理解してグローバルにビジネスを展開 | キャリアコンサルタントドットネット

CAGEフレームワークとは?/AAA戦略を理解してグローバルにビジネスを展開

[記事公開日]2021/06/07
[最終更新日]2021/09/13
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社会人になってから上司や先輩から「CAGEフレームワークも知らないのか?」なんて言われた事がある人も多いはずです。

グローバルに展開するビジネスでCAGEフレームワークを知っておいて損はありません。

そんな社会人になってから知っておいた方が良かったと思われる「CAGEフレームワークとは?/AAA戦略を理解してグローバルにビジネス展開」を初心者向けにわかりやすく説明いたします。

 

CAGEフレームワークとは?

CAGEフレームワークとは?CAGEフレームワークとは、グローバル経営をする際に「文化的」「政治的・制度的」「地理的」「経済的」に、地域の固有性や他地域との隔たりを理解する為のフレームワークです。

「文化的」はCultural、「政治的・制度的」はAdministrative、「地理的」はGeographical、「経済的」はEconomicalの頭文字をとり《CAGEフレームワーク》とパンガジュデマワット教授が提唱しました。

CAGEフレームワークの4つの視点で、自国のマクロ環境と他国を比較し分析する事で国、地域による類似性と共に差異も的確に理解することが出来ます。

CAGEの差異が少ない程、自国でのビジネスのやり方が通用しやすいと考えられています。ただ、国ごとの隔たりは業種、業界などの特徴により異なりますので、業種、業界ごとに考える事が効果的です。

このCAGEフレームワークを使用し、他国との隔たりを理解する事でグローバルな事業展開する際の戦略的な立案に役立てることが可能になります。

それでは、4つの要素を具体的に説明いたします。

 

CAGEフレームワークのC:文化的(Cultural)

CAGEフレームワークのC:文化的(Cultural)CAGEフレームワークの「C」であるCultural(文化的)とは具体的に次のようなものです。

  • 言語の違い
  • 他の民族との接点の度合い
  • 宗教
  • 価値観
  • 平等主義の度合い
  • 気質の差異
  • 規範
  • ライフスタイル

他にも、例えば色の好き嫌い(理由は不明だが赤が好まれている等)極めて独自なものもあったり、そういう属性に導かれて行動する本人でもわからないような小さなこともあったりもします。

日本は日本語という独自の言語を使用している段階で、どの国へ行くとしても文化的な距離があると言えます。このように考えると英語圏の国のある企業が他の英語圏の国への進出は、日本企業と比較すれば容易だと考える事が出来ます。

 

CAGEフレームワークのA:政治的・制度的(Administrative)

CAGEフレームワークのA:政治的・制度的(Administrative)CAGEフレームワークの「A」である政治的・制度的(Administrative)とは具体的には次のようなものです。

  • 植民地関係の有無
  • 国際的な条約の締結
  • 地域貿易ブロック内かどうか
  • 共通の通貨の有無
  • 政治的な対立
  • ビザの取得の優遇処置

このように政治的・制度的は、法律や政策、政治的背景からできた制度などが主です。政府や政府により組織された団体が執行しています。

例えば、airbnbに代表される民泊事業の制度は、国により大きく違います。

日本国内の都市間でも違いがあるように、外国の都市では禁止されている場合などもまだまだ多くあります。

他にも、平和な日本では容易に想像できないような軍事的な状況も大きく影響が考えられます。クーデターにより今までは許可が得られていたことが、急に禁止されるなどもCAGEフレームワークの「A」である政治的・制度的(Administrative)です。

ただし、ビットコインに代表されるブロックチェーンの暗号資産により共通通貨の問題は、今後解決されることも考えられます。

 

CAGEフレームワークのG:地理的(Geographical)

CAGEフレームワークのG:地理的(Geographical)CAGEフレームワークの「G」である地理的(Geographical)とは具体的には次のようなものです。

  • 物理的な距離
  • 時差
  • 気候の差(温暖差、降雨量、日照時間等)
  • 衛生状態の差
  • 敷地面積の差(海に接しているかなど地形の差を含む)
  • 物流コストの差
  • 地形の差

例えば、日本企業がブラジルやチリなど南アメリカ大陸のでのビジネス展開を考えた場合には、物理的な距離が遠く、時差もあり、夏と冬が逆で気候の差もあり日本との隔たりは非常に大きいと言えます。

また、同時に北欧の白夜など、日本では経験することが絶対にありえない現象も地理的(Geographical)だという事が出来ます。

 

CAGEフレームワークのE:経済的(Economical)

CAGEフレームワークのE:経済的(Economical)CAGEフレームワークの「E」である経済的(Economical)とは具体的には次のようなものです。

  • 経済規模
  • 平均所得・所得分布
  • 労働賃金の水準
  • 生活水準
  • 物価
  • インフラの整備状況
  • 成長率

CAGEフレームワークの「E」である経済的(Economical)は、これまでに説明した「C:文化的(Cultural)」「A:政治的・制度的(Administrative)」「G:地理的(Geographical)」とは違い、経済メカニズムを通じて国同士での経済活動に及ぼす差異を指します。

 

CAGEフレームワークの4つを克服するAAA(トリプルA)戦略について

CAGEフレームワークの4つを克服するAAA(トリプルA)戦略についてCAGEフレームワーク提唱者のパンガジュデマワット教授は、「C:文化的(Cultural)」「A:政治的・制度的(Administrative)」「G:地理的(Geographical)」「E:経済的(Economical)」の4つを克服するためにAAA戦略を提起しています。

AAA戦略は、「Adaptation(適応戦略)」「Aggregation(集約化戦略)」「Arbitrage(裁定戦略)」の3つのAのことを言います。

 

AAA戦略①:Adaptation(適応・現地化戦略)

AAA戦略①:Adaptation(適応・現地化戦略)Adaptation(適応・現地化戦略)とは、差異を調整する戦略です。

現地に合わせると言えばわかりやすいかもしれません。

進出先のビジネス環境に適応させた商品やサービスはもちろん、ビジネスの戦略さえも現地に適応させます。

その国などの一定の枠の市場の特殊性を考慮して適応した戦略を展開すれば、競争優位を獲得することも可能です。

 

AAA戦略②:Aggregation(集約化戦略)

AAA戦略②:Aggregation(集約化戦略)Aggregation(集約化戦略)とは、複数の国などを一つの市場だとし、規模の経済を追求する戦略です。

東南アジアを一つの市場、オセアニア地域を一つの市場などがわかりやすい例です。

Aggregation(集約化戦略)では、様々な手段でグループ分けを用います。日本からの物理的な距離で分類したり、英語圏であり経済規模や所得水準が似ているからなどの分類も考えられます。

しかし、分類方法により管理の問題が複雑化することもある為、管理方法も検討した上で分類する必要があります。

簡単に説明すれば、韓国など日本から近い国の管理に比べてブラジルの管理は難しいので分類で同じにすると問題が出てくることがあるということです。

 

AAA戦略③:Arbitrage(裁定戦略)

AAA戦略③:Arbitrage(裁定戦略)Arbitrage(裁定戦略)とは、国ごとの差異を活用する戦略です。

「国境を越えた差異を、制約ではなく機会ととらえる戦略」とパンガジュデマワット教授は言っています。

例えば、経済的な差異を利用する事例が一番わかりやすいのではないでしょうか?

安く仕入れたモノを他の高く売れる国で売る。

地理的差異である物流コストや制度的差異である関税などもすべて含めて、利益が生まれれば裁定戦略が成り立ちます。

ここからもわかるように裁定戦略は、生産コスト(調達コスト)と販売価格(支払意志額)との差を利用する戦略も含まれます。

 

AAA(トリプルA)戦略のまとめ

AAA(トリプルA)戦略のまとめAAA(トリプルA)戦略のAdaptation(適応・現地化戦略)とAggregation(集約化戦略)は対立する概念です。

現地に合わせすぎると集約することが出来ず、集客しすぎると現地に合わせることが出来ないことに繋がります。

グローバルに事業を展開する上では、このAdaptation(適応・現地化戦略)とAggregation(集約化戦略)を上手に使い分けて効率性と効果を両立させることが重要になります。

また、CAGEの差異に着目するだけではなく、それらの組み合わせに着目する必要があります。その組み合わせから商品価値、サービス価値の源泉を探し、活用して戦略を展開するようにしましょう。

 

CAGEフレームワークを活用する際の注意点

CAGEフレームワークを活用してグローバルにビジネス展開を考えている際の注意点は次の通りです。

 

自社の経営環境や経営課題を踏まえた分析が必要

自社の経営環境や経営課題を踏まえた分析が必要上記で説明した通り、業種や業界により分析すべき点が違います。

同時に自社の経営環境や経営課題によっても分析すべき点が違いますので、自社に適した分析が重要です。

どのような点に注意して重点的に分析すべきかをまずは考えた上で、分析することを必要です。

例えば、お酒という商品を販売する場合では、文化的にお酒を飲む文化があるのか等が必要で、観光案内というサービスを提供する場合では、そもそも観光という余暇を楽しむ所得ががあるのかという分析が必要です。

 

掘り下げた分析が必要

掘り下げた分析が必要同じ国であっても、都会と田舎では貧富の差が激しい国は未だに多くあります。また、単純に国土の広さから同じ国と考えるにはおかしい地域などもあります。

日本の冬であっても、北海道の冬と沖縄の冬は全くと言っても良いほど違うことを考えていただければわかりやすいのではないでしょうか?

その為、Aという国だけでの分析を終えるのではなく、「Aという国のB地域、C地域」「Aという国の平均気温25度以上と25度未満の地域」などと更に分割したりして掘り下げた分析する必要があります。

 

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CAGEフレームワークとは?/AAA戦略を理解してグローバルにビジネス展開のまとめ

CAGEフレームワークとは?/AAA戦略を理解してグローバルにビジネス展開のまとめ

いかがだったでしょうか?

CAGEフレームワークを理解してトリプルA戦略でグローバルにビジネス展開することにお役立ていただければ幸いです。

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