[最終更新日]2023/06/27
ここでは、マーケティングミックスという基本的な概念を、わかりやすく楽しく学べるように書かれた入門書です。
マーケティングミックスとは、自社の商品やサービスを顧客に届けるために、価格や販売方法などを組み合わせて考えることです。
マーケティングミックスを理解することで、自社の強みや弱み、市場のニーズや競合の動向などを把握し、効果的な戦略を立てることができます。
ここでは、マーケティングミックスの種類や活用方法について、具体的な事例や図表を交えながら解説していきます。
また、デジタル時代におけるマーケティングミックスの変化や課題にも触れていきます。
初心者の方でも、マーケティングミックスの基礎から応用までを一通り学ぶことができます。
これが、あなたのビジネスやキャリアに役立てれば幸いです。
それでは、さっそく見ていきましょう。
Contents
マーケティングミックスとは?基本的な考え方を解説
あなたは、自分の商品やサービスを売りたいと思っていますか?もしそうなら、マーケティングミックスという言葉を知っておくと役に立ちます。
マーケティングミックスとは、商品やサービスを市場に販売するために必要な要素を組み合わせて戦略を策定することです。
マーケティングミックスの目的は、顧客ニーズに合った商品やサービスを提供し、競合他社との差別化を図り、市場での競争力を高めることです。
では、どんな要素を組み合わせるのでしょうか?マーケティングミックスの基本的な構成要素は、商品(Product)、価格(Price)、販売促進(Promotion)、流通(Place)の4つで、これらを4Pと呼びます。
また、顧客価値(Customer value)、消費者・顧客が払うコスト(Cost)、消費者・顧客の利便性(Convenience)、消費者・顧客とのコミュニケーション(Communication)の4つも重要で、これらを4Cと呼びます。
それでは、4Pと4Cについてもう少し詳しく見てみましょう。
4p
- 商品(Product)は、企業が提供する商品やサービスそのものについて考える要素です。商品要素では、商品やサービスの特徴、品質、機能、デザイン、ブランドイメージなどを考慮して、市場や顧客のニーズに合わせた製品やサービスを設計・開発することが重要です。
- 価格(Price)は、商品やサービスの価格設定について考える要素です。価格要素では、企業の利益、顧客ニーズ、競合環境、市場の需要と供給などの要因を踏まえて適切な価格を設定することが重要です。
- 販売促進(Promotion)は、商品やサービスを認知させて興味関心を喚起し、購入に繋げるための広報宣伝施策について考える要素です。販売促進要素では、広告出稿、プレスリリース配信、店頭POP制作、キャンペーン企画・実施などの方法を検討します。
- 流通(Place)は、商品やサービスを販売・提供するチャネルや場所について考える要素です。流通要素では、販売ルートの開拓・管理、品揃え・在庫管理、輸送・配送などの方法を検討します。
4C
- 顧客価値(Customer value)は、商品やサービスに対して顧客が抱く直接的な価値や利益を示す要素です。顧客価値要素では、自社の商品やサービスが顧客にどのような価値を提供するのかを理解し、その価値を最大化するために、製品やサービスの特徴を考慮して、市場や顧客のニーズに合わせた製品やサービスを提供することが重要です。
- 消費者・顧客が払うコスト(Cost)は、顧客が商品やサービスを入手するために支払う必要があるコストや労力を指す要素です。消費者・顧客が払うコスト要素では、商品やサービスを購入するために必要な金銭的なコストだけでなく、時間やエネルギーを使うコストも考慮し、そのコストが顧客価値に見合っているかどうかを検討することが重要です。
- 消費者・顧客の利便性(Convenience)は、顧客が商品やサービスを購入・利用する際に感じる便利さや快適さを指す要素です。消費者・顧客の利便性要素では、商品やサービスの入手方法や利用方法が顧客にとってどれだけ簡単で快適なものかを検討し、その利便性を高めるために、流通や販売促進の方法を考慮することが重要です。
- 消費者・顧客とのコミュニケーション(Communication)は、顧客と企業との間で行われる情報交換や対話を指す要素です。消費者・顧客とのコミュニケーション要素では、商品やサービスの価値を伝えるだけでなく、顧客の意見やフィードバックを聞くことも重要です。また、SNSやメールマガジンなどのツールを活用して、顧客との関係性を深めることも重要です。
以上が4Pと4Cの簡単な説明です。
4Pと4Cは密接に関係しており、商品が顧客に与える価値が高ければ高いほど、顧客満足度やロイヤルティが高まり、リピート購入や口コミなどの効果が期待できます。
この章では、マーケティングミックスとは何か、基本的な考え方として4Pと4Cについて解説しました。
次章では、4Pと4Cのそれぞれについて詳しく見ていきます。
マーケティングミックスの具体的な手法と事例
前章では、マーケティングミックスとは何か、基本的な考え方として4Pと4Cについて解説しました。
この章では、4Pと4Cのそれぞれについて詳しく見ていきます。
また、実際にマーケティングミックスを活用した企業の事例も紹介します。
まずは、4Pについて見ていきましょう。
4Pの具体的な手法と事例
4Pは、商品(Product)、価格(Price)、販売促進(Promotion)、流通(Place)の4つの要素から構成されます。
それぞれの要素について、具体的な手法と事例を紹介します。
商品(Product)
商品(Product)は、企業が提供する商品やサービスそのものについて考える要素です。
商品要素では、市場や顧客のニーズに合わせた製品やサービスを設計・開発することが重要です。
商品要素を活用するためには、ニーズ分析や製品ライフサイクル、製品ポジショニング、製品ラインなどの手法があります。
商品要素を活用した企業の事例としては、ユニクロやディズニーがあります。
ユニクロは、「ライフウェア」というコンセプトで、顧客のライフスタイルに合わせた機能性やデザイン性の高い商品を開発しています。
ディズニーは、「ディズニー」のブランドイメージを高い品質と独創性で保ちながら、時代や文化に合わせて進化させています。
価格(Price)
価格(Price)は、商品やサービスの価格設定について考える要素です。
価格要素では、企業の利益や顧客ニーズなどの要因を踏まえて適切な価格を設定することが重要です。
価格要素を活用するためには、コストプラス法や需要対応法、競争対応法、価値対応法などの手法があります。
価格要素を活用した企業の事例としては、マクドナルドやスターバックスがあります。
マクドナルドは、低価格で高品質なハンバーガーやポテトなどを提供することで、多くの人々に愛されています。
また、「マックカフェ」や「ビッグマック」などは、市場の需要や顧客ニーズに応じて価格を変動させる需要対応法を採用しています。
スターバックスは、「スターバックス」のブランドイメージに見合った高めの価格設定を行っています。
これは、価値対応法と呼ばれる方法です。
販売促進(Promotion)
販売促進(Promotion)は、商品やサービスを認知させて興味関心を喚起し、購入に繋げるための広報宣伝施策について考える要素です。
販売促進要素では、広告出稿やプレスリリース配信などの方法を検討します。
販売促進要素を活用するためには、AIDAモデルやSTP分析、マーケティングコミュニケーションミックスなどの手法があります。
販売促進要素を活用した企業の事例としては、アップルやユニクロがあります。
アップルは、「Think different.」や「Shot on iPhone」などのキャッチフレーズで、自社製品の魅力や価値を消費者に伝える広告戦略を展開しています。
ユニクロは、「UTme!」や「UNIQLO UPDATE」などのキャンペーンで、消費者とのコミュニケーションを図りながら、自社製品の認知度や購買意欲を高める販売促進戦略を展開しています。
流通(Place)
流通(Place)は、商品やサービスの販売・流通について考える要素です。
流通要素では、商品やサービスを効率的かつ効果的に消費者に届ける方法を考慮しなければいけません。
流通要素を活用するためには、流通チャネルや物理的流通、在庫管理などの手法があります。
流通要素を活用した企業の事例としては、アマゾンやセブンイレブンがあります。
アマゾンは、インターネット上で幅広い種類の商品やサービスを提供することで、消費者にとって便利な流通チャネルを構築しています。
また、「Amazon Prime」や「Amazon Locker」などのサービスで、物理的流通の効率化や利便性の向上を図っています。
セブンイレブンは、「セブン銀行」や「セブンペイ」などのサービスで、コンビニエンスストアという流通チャネルを拡張しています。
また、「セブン-イレブン・ネット」や「セブン-イレブン・アプリ」などのサービスで、在庫管理や物理的流通の最適化を行っています。
以上が4Pの具体的な手法と事例です。
次に4Cについて見ていきましょう。
4Cの具体的な手法と事例
4Cは、4Pの顧客視点に立った再定義であり、顧客価値(Customer Value)、顧客のコスト(Cost)、顧客にとっての利便性(Convenience)、顧客とのコミュニケーション(Communication)の4つの要素から構成されます。
それぞれの要素について、具体的な手法と事例を紹介します。
顧客価値(Customer Value)
顧客価値とは、顧客が自社製品やサービスに求めるメリットや満足度を表す要素です。
顧客価値を高めるためには、市場や顧客のニーズや課題を分析し、自社製品やサービスがどのようにそれらを解決できるかを明確にすることが重要です。
顧客価値を高めるためには、ニーズ分析やポジショニング、バリュープロポジションなどの手法があります。
顧客価値を高めた企業の事例としては、ヘルシア緑茶やドモホルンリンクルがあります。
ヘルシア緑茶は、健康志向の高まりや肥満予防のニーズに応えて、「脂肪吸収抑制」という機能性表示食品として発売されました。
この機能性表示食品は、消費者に科学的な根拠や安全性を示すことができるため、消費者に高い信頼感と価値感を与えました。
ドモホルンリンクルは、高齢化社会や美容意識の高まりに伴うエイジングケアのニーズに応えて、「肌本来の力を引き出す」というコンセプトで発売されました。
このコンセプトは、消費者に自然な美しさと安心感を与えるとともに、他社製品との差別化を図りました。
顧客のコスト(Cost)
顧客のコストとは、顧客が自社製品やサービスを購入する際に負担する金銭的・非金銭的な費用を表す要素です。
顧客のコストを最適化するためには、自社製品やサービスが提供する価値とバランスが取れた価格設定を行うことが重要です。
顧客のコストを最適化するためには、コストプラス法や需要対応法、競争対応法、価値対応法などの手法があります。
顧客のコストを最適化した企業の事例としては、マクドナルドやスターバックスがあります。
マクドナルドは、「低価格で高品質なハンバーガーやポテトなどを提供する」という価値提案で消費者に受け入れられました。
また、「マックカフェ」や「ビッグマック」などは、市場の需要や顧客ニーズに応じて価格を変動させる需要対応法を採用しました。
スターバックスは、「スターバックス」というブランドイメージに見合った高めの価格設定を行いました。
これは、価値対応法と呼ばれる方法で、消費者に高い品質や体験を提供することで、価格に対する満足感を高めました。
顧客にとっての利便性(Convenience)
顧客にとっての利便性とは、顧客が自社製品やサービスを簡単に入手できるかどうかを表す要素です。
顧客にとっての利便性を高めるためには、自社製品やサービスの提供方法や場所を工夫することが重要です。
顧客にとっての利便性を高めるためには、ソーシャルディストリビューションやソーシャルプラットフォーム、ソーシャルエクスペリエンスなどの手法があります。
顧客にとっての利便性を高めた企業の事例としては、アマゾンやセブンイレブンがあります。
アマゾンは、インターネット上で幅広い種類の商品やサービスを提供することで、消費者にとって便利な流通チャネルを構築しました。
また、「Amazon Prime」や「Amazon Locker」などのサービスで、物理的流通の効率化や利便性の向上を図りました。
セブンイレブンは、「セブン銀行」や「セブンペイ」などのサービスで、コンビニエンスストアという流通チャネルを拡張しました。
また、「セブン-イレブン・ネット」や「セブン-イレブン・アプリ」などのサービスで、在庫管理や物理的流通の最適化を行いました。
顧客とのコミュニケーション(Communication)
顧客とのコミュニケーションとは、顧客と自社製品やサービスに関する情報交換や関係構築を行うことを表す要素です。
顧客とのコミュニケーションを強化するためには、自社製品やサービスの認知度や興味関心度を高めることが重要です。
顧客とのコミュニケーションを強化するためには、AIDAモデルやSTP分析、マーケティングコミュニケーションミックスなどの手法があります。
顧客とのコミュニケーションを強化した企業の事例としては、アップルやユニクロがあります。
アップルは、「Think different.」や「Shot on iPhone」などのキャッチフレーズで、自社製品の魅力や価値を消費者に伝える広告戦略を展開しました。
また、「Apple Store」や「Genius Bar」などのサービスで、消費者と直接対話し、信頼関係を築きました 。
ユニクロは、「UTme!」や「UNIQLO UPDATE」などのキャンペーンで、消費者とのコミュニケーションを図りながら、自社製品の認知度や購買意欲を高める販売促進戦略を展開しました 。
以上が4Cの具体的な手法と事例です。
4C分析は、顧客視点に立って自社製品やサービスの強みや改善点を見つけることができる有効なマーケティング手法です。
ぜひ参考にしてみてください。
マーケティングミックスの実践方法と注意点
前章では、マーケティングミックスの具体的な手法と事例として、4Pと4Cについて解説しました。
この章では、マーケティングミックスを実践する際の方法と注意点について紹介します。
まずは、マーケティングミックスを実践するために必要な前提条件について見ていきましょう。
マーケティングミックスを実践するための前提条件
マーケティングミックスを実践するためには、以下の2つの前提条件が必要です。
- ターゲティングやポジショニングを明確にする
- 4Pと4Cの両方を活用する
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ターゲティングやポジショニングを明確にする
ターゲティングやポジショニングとは、市場や顧客を分析し、自社製品やサービスがどのような市場や顧客に向けられるべきか、どのような価値や特徴を持っているかを明確にすることです。
ターゲティングやポジショニングを明確にすることで、自社製品やサービスが市場でどのような役割や位置づけにあるかを理解できます。
これは、マーケティングミックスを実践する際の基本となる要素です。
ターゲティングやポジショニングを明確にするためには、以下のような手法があります。
- STP分析…市場や顧客をセグメンテーション(分割)、ターゲティング(選択)、ポジショニング(配置)の3段階で分析する方法
- SWOT分析…自社製品やサービスの強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を分析する方法
- ペルソナ法…顧客像を具体的な人物として設定し、そのニーズや行動パターンを分析する方法
ターゲティングやポジショニングを明確にすることで、自社製品やサービスがどのような市場や顧客に対してどのような価値を提供するかが明確になります。
これは、マーケティングミックスの各要素を決定する際の指針となります。
4Pと4Cの両方を活用する
4Pと4Cは、マーケティングミックスの代表的なフレームワークです。
4Pは企業側の視点から、4Cは顧客側の視点から、マーケティングミックスの各要素を分類したものです。
4Pと4Cの両方を活用することで、マーケティングミックスをより効果的に実践できます。
なぜなら、4Pと4Cはそれぞれに以下のようなメリットがあるからです。
- 4Pのメリット…各要素のバランスや相乗効果を意識しやすい
- 4Cのメリット…顧客ニーズや価値観に沿ったマーケティングミックスを考えやすい
4Pと4Cは、それぞれに対応する要素があります。以下の表に示します。
4P | 4C |
---|---|
製品(Product) | 価値(Customer Value) |
価格(Price) | 費用(Customer Cost) |
プロモーション(Promotion) | コミュニケーション(Communication) |
流通(Place) | 利便性(Convenience) |
4Pと4Cの両方を活用することで、自社製品やサービスが市場でどのような価値を提供するか、顧客がどのようなニーズやコストを持っているか、どのようなコミュニケーションや利便性を求めているかなどを考慮しながら、最適なマーケティングミックスを決定できます。
マーケティングミックスの実践方法と注意点
マーケティングミックスを実践する際には、以下のような方法と注意点があります。
- 各要素のバランスや相乗効果を意識する
- 競合他社のマーケティングミックスと比較する
- マーケティングミックスを定期的に見直す
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
各要素のバランスや相乗効果を意識する
マーケティングミックスでは、各要素が単独で機能するだけでなく、相互に影響し合って全体的な効果を高めることが重要です。
そのため、各要素のバランスや相乗効果を意識しながら、マーケティングミックスを決定する必要があります。
例えば、製品(Product)と価格(Price)のバランスは、顧客の購買意欲や満足度に大きく影響します。
高品質で高価格な製品は、高級感や信頼感を与えますが、購入障壁も高くなります。低品質で低価格な製品は、気軽に購入できますが、満足度も低くなります。
そのため、自社製品やサービスが提供する価値に見合った適正な価格設定を行うことが重要です。
また、プロモーション(Promotion)と流通(Place)の相乗効果も考慮する必要があります。
プロモーションで消費者に興味関心を喚起した後に、流通で商品やサービスを手に入れやすくすることで、購買率やリピート率を高めることができます。
そのため、プロモーションと流通の連携や一貫性を保つことが重要です。
マーケティングミックスを定期的に見直す
マーケティングミックスは、一度決定したら終わりではありません。
市場や顧客のニーズや環境は常に変化しています。そのため、マーケティングミックスも定期的に見直し、改善する必要があります。
マーケティングミックスを見直す際には、以下のような方法があります。
- PDCAサイクル…計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)の4段階でマーケティングミックスを管理する方法
- KPI設定…マーケティングミックスの効果を測定するための指標を設定し、定期的に分析する方法
- マーケティングオートメーション…マーケティングミックスの一部を自動化することで、効率化や最適化を図る方法
マーケティングミックスを見直すことで、自社製品やサービスが市場や顧客に対して常に最適な価値を提供できるようになります。
また、マーケティングミックスの効果を測定し、改善することで、マーケティング活動のROI(投資対効果)を高めることができます。
まとめ
この章では、マーケティングミックスを実践するための方法と注意点について紹介しました。
マーケティングミックスは、市場や顧客に対して自社製品やサービスの価値を最大化するための重要な手法です。
そのため、以下のポイントを押さえておきましょう。
- ターゲティングやポジショニングを明確にする
- 4Pと4Cの両方を活用する
- 各要素のバランスや相乗効果を意識する
- 競合他社のマーケティングミックスと比較する
- マーケティングミックスを定期的に見直す
次章では、マーケティングミックスの応用例として、デジタルマーケティングについて解説します。
デジタルマーケティングは、インターネットやSNSなどのデジタルメディアを活用したマーケティング手法です。
デジタルマーケティングでは、どのようにマーケティングミックスを活用できるのか、具体的な事例とともに紹介します。
マーケティングミックスの応用例としてのデジタルマーケティング
前章では、マーケティングミックスを実践するための方法と注意点について紹介しました。
この章では、マーケティングミックスの応用例として、デジタルマーケティングについて解説します。
デジタルマーケティングとは、インターネットやSNSなどのデジタルメディアを活用したマーケティング手法です。
デジタルマーケティングでは、どのようにマーケティングミックスを活用できるのか、具体的な事例とともに紹介します。
デジタルマーケティングの定義と特徴
デジタルマーケティングとは、インターネットやSNSなどのデジタルメディアを活用して、顧客との関係構築や販売促進などを行うマーケティング手法です。
デジタルマーケティングには、以下のような特徴があります。
- データの収集・分析・活用が容易
- 顧客ニーズや行動に応じたパーソナライズが可能
- 即効性や効果測定がしやすい
- コストパフォーマンスが高い
これらの特徴を生かして、マーケティングミックスの各要素を最適化することで、デジタルマーケティングの効果を高めることができます。
デジタルマーケティングで活用できるマーケティングミックスの手法
デジタルマーケティングでは、さまざまな手法がありますが、ここでは代表的なものを4Pと4Cに分類して紹介します。
製品(Product)と価値(Customer Value)
製品(Product)と価値(Customer Value)は、自社製品やサービスが提供する価値や特徴を表す要素です。
デジタルマーケティングでは、以下のような手法があります。
- Webサイト…自社製品やサービスの情報や価値を伝えるための基本的なメディアです。見込み客や既存客に対して、製品やサービスの魅力や利用方法などを紹介します。
- アプリ…自社製品やサービスに関連する機能やコンテンツを提供するメディアです。製品やサービスの利用体験を向上させたり、付加価値を提供したりします。
- オウンドメディア…自社製品やサービスに関連する有益な情報を発信するメディアです。ブログやWebマガジンなどがあります。製品やサービスに興味関心を持ってもらったり、信頼感や好感度を高めたりします。
価格(Price)と費用(Customer Cost)
価格(Price)と費用(Customer Cost)は、自社製品やサービスの価格設定や販売方法を表す要素です。
デジタルマーケティングでは、以下のような手法があります。
- ECサイト…自社製品やサービスをオンラインで販売するメディアです。実店舗と比べて、低コストで広範囲に販売できます。
- クーポン・ポイント…自社製品やサービスの購入に対して、割引やポイントなどの特典を提供する手法です。購買意欲やリピート率を高めます。
- サブスクリプション…自社製品やサービスを定期的に提供することで、一定の収入を得る手法です。顧客ロイヤルティや生涯価値を高めます。
プロモーション(Promotion)とコミュニケーション(Communication)
プロモーション(Promotion)とコミュニケーション(Communication)は、自社製品やサービスの情報や価値を伝えるための手法を表す要素です。
デジタルマーケティングでは、以下のような手法があります。
- Web広告…インターネット上の様々な媒体に広告を掲載する手法です。リスティング広告やディスプレイ広告などがあります。即効性がありますが、広告費が発生します。
- SNSマーケティング…SNS上で自社製品やサービスに関する情報やコンテンツを発信する手法です。FacebookやTwitterなどがあります。ファン化や口コミ効果を狙います。
- 動画マーケティング…動画配信プラットフォーム上で自社製品やサービスに関する動画コンテンツを配信する手法です。YouTubeやTikTokなどがあります。視覚的に訴求できます。
- メールマーケティング…メールで自社製品やサービスに関する情報やコンテンツを配信する手法です。メルマガなどがあります。フォローアップやリマインド効果があります。
流通(Place)と利便性(Convenience)
流通(Place)と利便性(Convenience)は、自社製品やサービスの提供方法や場所を表す要素です。
デジタルマーケティングでは、以下のような手法があります。
- SEO…検索エンジンで自社製品やサービスに関連するキーワードで上位表示されるようにする手法です。Webサイトの構造やコンテンツの最適化が必要です。
- マーケティングオートメーション…顧客の行動履歴や属性などに応じて、自動的に最適な情報やコンテンツを提供するシステムです。効率化や最適化が可能です。
- オムニチャネル…オフラインとオンラインの様々なチャネルを統合的に活用して、顧客に最適な体験を提供する手法です。顧客満足度や
- ポップアップ・プッシュ通知…Webサイトやアプリで顧客に対して情報やコンテンツを通知する手法です。タイムリーに訴求できますが、うるさがられる可能性もあります。
デジタルマーケティングの成功事例
デジタルマーケティングでは、多くの企業が成果を上げています。
ここでは、デジタルマーケティングで成功した事例を紹介します。
BtoBデジタルマーケティングの事例
BtoBでは、デジタルマーケティングで以下のような事例があります。
- 株式会社USEN…Web広告の最適化でコンバージョンが2.3倍に
- 富士通株式会社…動的CMSの活用で閲覧者に合うコンテンツを配信、営業プロセスが大幅に効率化
- テクロ株式会社…MA/メルマガ/Web接客でメールでテレアポの獲得率が3倍以上に
これらの事例から、BtoBデジタルマーケティングでは、以下のようなポイントが重要であることがわかります。
- 顧客ニーズや行動に応じたパーソナライズやフォローアップを行う
- コンテンツやコミュニケーションの質や量を向上させる
- データを活用して効果測定や改善を行う
BtoCデジタルマーケティングの事例
BtoCでは、デジタルマーケティングで以下のような事例があります。
- パナソニック…SNS施策で売上が前モデルの2倍に
- ショップジャパン…動画経由のROASが1.5倍、体験型リアル店舗も
- サントリー…動画広告とSNSキャンペーンでブランド認知度と購入意向を向上
これらの事例から、BtoCデジタルマーケティングでは、以下のようなポイントが重要であることがわかります。
- 視覚的に訴求する動画コンテンツや広告を活用する
- SNSでファン化や口コミ効果を狙う
- オフラインとオンラインの連携や一貫性を保つ
PICKUPキャリコン
まとめ
この章では、マーケティングミックスの応用例として、デジタルマーケティングについて解説しました。
デジタルマーケティングでは、インターネットやSNSなどのデジタルメディアを活用して、顧客との関係構築や販売促進などを行うことができます。
そのため、以下のポイントを押さえておきましょう。
- デジタルマーケティングの定義と特徴
- デジタルマーケティングで活用できるマーケティングミックスの手法
- デジタルマーケティングの成功事例
次章では、マーケティングミックスの応用例として、ブランディングについて解説します。
ブランディングとは、自社製品やサービスに対する顧客の認知や評価を高めることです。
ブランディングでは、どのようにマーケティングミックスを活用できるのか、具体的な事例とともに紹介します。
マーケティングミックスの応用例としてのブランディング
前章では、マーケティングミックスの応用例として、デジタルマーケティングについて解説しました。
この章では、マーケティングミックスの応用例として、ブランディングについて解説します。
ブランディングとは、自社製品やサービスに対する顧客の認知や評価を高めることです。
ブランディングでは、どのようにマーケティングミックスを活用できるのか、具体的な事例とともに紹介します。
ブランディングの定義と種類
ブランディングとは、自社製品やサービスに対する顧客の認知や評価を高めることです。
ブランディングは、自社製品やサービスが提供する価値や特徴を明確にし、それを顧客に伝えることで、顧客の心に印象づけることです。
ブランディングには、以下のような種類があります。
- 企業ブランディング…企業全体のイメージや理念を高めることです。企業のビジョンやミッション、社会貢献などを伝えます。
- 商品ブランディング…個々の商品やサービスのイメージや特徴を高めることです。商品やサービスの機能や品質、利便性などを伝えます。
- サービスブランディング…サービス提供時の接客や体験を高めることです。サービスの内容やプロセス、雰囲気などを伝えます。
- BtoBブランディング…法人向けの商品やサービスに対するイメージや評価を高めることです。法人顧客のニーズや課題、ソリューションなどを伝えます。
- リブランディング…既存のブランドイメージを変えることです。市場環境や顧客ニーズの変化に対応したり、競争力を強化したりします。
ブランディングで活用できるマーケティングミックスの手法
ブランディングでは、さまざまな手法がありますが、ここでは代表的なものを4Pと4Cに分類して紹介します。
製品(Product)と価値(Customer Value)
製品(Product)と価値(Customer Value)は、自社製品やサービスが提供する価値や特徴を表す要素です。
ブランディングでは、以下のような手法があります。
- ネーミング…自社製品やサービスに名前を付けることです。名前は製品やサービスのイメージやコンセプトを表現する重要な要素です。
- ロゴ…自社製品やサービスに図形や文字で表現したマークです。ロゴは製品やサービスの識別性や視認性を高める重要な要素です。
- パッケージ…自社製品やサービスに付ける外装や容器です。パッケージは製品やサービスの魅力や機能を伝える重要な要素です。
価格(Price)と費用(Customer Cost)
価格(Price)と費用(Customer Cost)は、自社製品やサービスの価格設定や販売方法を表す要素です。
ブランディングでは、以下のような手法があります。
- プレミアム価格…自社製品やサービスに高い価格を設定することです。高い価格は製品やサービスの品質や価値を表現する重要な要素です。
- バリュー価格…自社製品やサービスに低い価格を設定することです。低い価格は製品やサービスのコストパフォーマンスを表現する重要な要素です。
- プライスイメージ…自社製品やサービスに対する顧客の価格感覚です。プライスイメージは製品やサービスのポジショニングを表現する重要な要素です。
プロモーション(Promotion)とコミュニケーション(Communication)
プロモーション(Promotion)とコミュニケーション(Communication)は、自社製品やサービスの情報や価値を伝えるための手法を表す要素です。
ブランディングでは、以下のような手法があります。
- 広告…自社製品やサービスに関する情報やメッセージを媒体に掲載することです。広告は製品やサービスの認知度や印象度を高める重要な要素です。
- PR…自社製品やサービスに関する情報やメッセージを報道機関に発信することです。PRは製品やサービスの信頼度や評判度を高める重要な要素です。
- イベント…自社製品やサービスに関する情報やメッセージを体験型の催し物で伝えることです。イベントは製品やサービスの体験度や感動度を高める重要な要素です。
プロモーション(Promotion)とコミュニケーション(Communication)
プロモーション(Promotion)とコミュニケーション(Communication)は、自社製品やサービスの情報や価値を伝えることで、自社のブランドイメージやブランド価値を高めることを表す要素です。
ブランディングでは、以下のような手法があります。
- ストーリーテリング…自社製品やサービスに関する情報やメッセージを物語形式で伝えることです。ストーリーテリングは製品やサービスの感情的な魅力や共感度を高める重要な要素です。
- コラボレーション…自社製品やサービスに関する情報やメッセージを他社や他業種と共同で発信することです。コラボレーションは製品やサービスの新規性や差別化度を高める重要な要素です。
- CSR…自社製品やサービスに関する情報やメッセージを社会貢献活動と結びつけて発信することです。CSRは製品やサービスの信頼度や評判度を高める重要な要素です。
グローバルマーケティングの成功事例
グローバルマーケティングでは、多くの企業が成果を上げています。
ここでは、グローバルマーケティングで成功した事例を紹介します。
BtoBグローバルマーケティングの事例
BtoBでは、グローバルマーケティングで以下のような事例があります。
- インテル…「インテル Inside」のステッカーでパソコン市場に影響力を持つ
- サッポロビール…「YEBISU」ブランドで海外進出し、プレミアムビール市場でシェアを拡大する
- パナソニック…「eco ideas」で環境に配慮した製品やサービスを提供し、社会的責任を果たす
これらの事例から、BtoBグローバルマーケティングでは、以下のようなポイントが重要であることがわかります。
- 自社製品やサービスの価値や特徴を明確にし、それを顧客に伝える
- 自社製品やサービスに関連する市場や業界に影響力を持つ
- 自社製品やサービスに社会的な意義や貢献を付加する
BtoCグローバルマーケティングの事例
BtoCでは、グローバルマーケティングで以下のような事例があります。
- ユニクロ…「LifeWear」で機能的でシンプルなファッションを提供し、世界中の人々に受け入れられる
- コカ・コーラ…「オープンハピネス」で幸せな気持ちを共有する飲み物として、世界中の人々に愛される
- マクドナルド…「i’m lovin’ it」で楽しくておいしい食事体験を提供し、世界中の人々に満足させる
これらの事例から、BtoCグローバルマーケティングでは、以下のようなポイントが重要であることがわかります。
- 自社製品やサービスのコンセプトやメッセージを明確にし、それを顧客に伝える
- 自社製品やサービスに感情や価値観を結びつける
- 自社製品やサービスに体験やエンターテイメントを付加する
PICKUPキャリコン
マーケティングミックスの応用例としてのグローバルマーケティング
前章では、マーケティングミックスの応用例としてのブランディングについて解説しました。
この章では、マーケティングミックスの応用例として、グローバルマーケティングについて解説します。
グローバルマーケティングとは、世界各国の市場や顧客に合わせて自社製品やサービスを提供することです。
グローバルマーケティングでは、どのようにマーケティングミックスを活用できるのか、具体的な事例とともに紹介します。
グローバルマーケティングの定義と特徴
グローバルマーケティングとは、世界各国の市場や顧客に合わせて自社製品やサービスを提供することです。
グローバルマーケティングは、以下のような特徴があります。
- 市場規模や成長率が大きい…世界各国の市場に参入することで、自社製品やサービスの販売量やシェアを大きくすることができます。
- 競争環境や法規制が異なる…各国の市場には、自国の市場とは異なる競合企業や法律が存在します。それらに対応するためには、市場調査や戦略立案が必要です。
- 文化やニーズが多様である…各国の顧客には、自国の顧客とは異なる文化や価値観、ニーズや嗜好が存在します。それらに対応するためには、製品開発やコミュニケーションが必要です。
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グローバルマーケティングで活用できるマーケティングミックスの手法
グローバルマーケティングでは、さまざまな手法がありますが、ここでは代表的なものを4Pと4Cに分類して紹介します。
製品(Product)と価値(Customer Value)
製品(Product)と価値(Customer Value)は、自社製品やサービスが提供する価値や特徴を表す要素です。グローバルマーケティングでは、以下のような手法があります。
- グローバル製品…世界各国で同じ製品やサービスを提供することです。グローバル製品は製品開発や生産管理のコストを削減できるメリットがありますが、顧客ニーズに合わない可能性があるデメリットがあります。
- ローカライズ製品…各国の市場や顧客に合わせて製品やサービスを変えることです。ローカライズ製品は顧客満足度や差別化を高められるメリットがありますが、製品開発や生産管理のコストが増えるデメリットがあります。
- グローカル製品…グローバルとローカルのバランスを取った製品やサービスを提供することです。グローカル製品はコストと顧客ニーズの両方に対応できるメリットがありますが、戦略や実行の難易度が高いデメリットがあります。
価格(Price)と費用(Customer Cost)
価格(Price)と費用(Customer Cost)は、自社製品やサービスの価格設定や販売方法を表す要素です。
グローバルマーケティングでは、以下のような手法があります。
- グローバル価格…世界各国で同じ価格を設定することです。グローバル価格はブランドイメージや統一感を高めるメリットがありますが、為替レートや競争環境の違いに対応できないデメリットがあります。
- ローカライズ価格…各国の市場や顧客に合わせて価格を変えることです。ローカライズ価格は利益率や競争力を高めるメリットがありますが、ブランドイメージや統一感を損なうデメリットがあります。
- グローカル価格…グローバルとローカルのバランスを取った価格を設定することです。グローカル価格はブランドイメージと利益率の両方に対応できるメリットがありますが、戦略や実行の難易度が高いデメリットがあります。
プロモーション(Promotion)とコミュニケーション(Communication)
プロモーション(Promotion)とコミュニケーション(Communication)は、自社製品やサービスの情報や価値を伝えるための手法を表す要素です。
グローバルマーケティングでは、以下のような手法があります。
- グローバルキャンペーン…世界各国で同じ広告やメッセージを展開することです。グローバルキャンペーンはブランドの統一性や認知度を高めるメリットがありますが、文化や法規制の違いに注意する必要があります。
- ローカライズキャンペーン…各国の市場や顧客に合わせて広告やメッセージを変えることです。ローカライズキャンペーンはブランドの適応性や訴求力を高めるメリットがありますが、コストや管理の負担が増えるデメリットがあります。
- グローカルキャンペーン…グローバルとローカルのバランスを取った広告やメッセージを展開することです。グローカルキャンペーンはブランドの一貫性と差別化を両立させるメリットがありますが、戦略や実行の難易度が高いデメリットがあります。
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マーケティングミックスの教科書 4Cも4Pも知らない人が理解できる最新市場戦略のまとめ
ここでは、マーケティングミックスという概念について、4Cも4Pも知らない人が理解できるように解説しました。
マーケティングミックスとは、自社製品やサービスを市場や顧客に提供するための戦略的な要素の組み合わせです。
マーケティングミックスには、4P(製品、価格、プロモーション、流通)と4C(価値、費用、コミュニケーション、利便性)の2つの視点があります。
ここでは、マーケティングミックスの基本的な考え方と具体的な手法を紹介しました。
また、マーケティングミックスの応用例として、デジタルマーケティング、ブランディング、グローバルマーケティング、ソーシャルマーケティングについて解説しました。
これらの応用例では、マーケティングミックスを活用することで、自社製品やサービスの価値や特徴を明確にし、それを顧客に伝えることができます。
これがあなたのマーケティング学習に役立てば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。