キャリアアンカーを30代・40代以降の転職や社内人事に活かす方法を徹底解説

[記事公開日]2020/02/07
[最終更新日]2020/09/10
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キャリアアンカー(career anchor)とは、アメリカの心理学者シャインが提唱したキャリア理論です。キャリア選択を迫られた際に最も放棄しない重要度の高い「欲求」「価値観」「能力」などのことです。

今回は、そんなキャリアアンカーの概要や特徴、必要性や8つの分類などについてわかりやすく説明いたします。

 

キャリアアンカー(career anchor)とは

キャリアアンカー(career anchor)とはアメリカ合衆国(United States of America, USA)マサチューセッツ工科大学ビジネススクールの組織心理学者エドガー・ヘンリー・シャイン(Edgar Henry Schein)が提唱したキャリア理論です。エドガー・ヘンリー・シャインは組織の力がどのような影響を及ぼすかに着目し、人と組織に関わる多くの業績を残しました。

キャリアアンカーのアンカー(anchor)とは「船の錨」のことです。「船の錨」は船を水上の一定範囲に止めておくために、鎖やロープを付けて海底や湖底、川底へ沈めて使う道具です。

キャリアアンカーは自らのキャリア(career)を選択する際に大切にする価値観や欲求のことを言います。キャリアアンカーは形成されると環境などが変化しても自己の内面で不動なもののことで、生涯にわたりキャリア選択の際に重要な要素となります。

キャリアアンカーは、キャリア形成ができていない新卒などの若い人材にはあてはめることが出来ません。概ね30代、40代以降にキャリア形成が確立されると言われています。

 

シャインのキャリアアンカー8つの分類

シャインが提唱したキャリアアンカーは以下の8つの分類されています。

  1. 専門・職能別コンピタンス(TF Technical/Functional Competence)
  2. 全般管理コンピタンス(GM General Managerial Cometence)
  3. 保障・安全(SE Security/Stability)
  4. 起業家的創造性(EC Entrepreneurial Creativilty)
  5. 自律・独立(AU Autonomy/Independence)
  6. 奉仕・社会貢献(SV Servicr/Dedication to a Cause)
  7. 生活様式・ワークライフバランス(LS Lifestyle)
  8. 純粋な挑戦(CH Pure Challenge)

それでは8つの分類を詳細に説明いたします。

 

専門・職能別コンピタンス(TF Technical/Functional Competence)

専門・職能別コンピタンス専門・職能別コンピタンスをキャリアアンカーとする人は、特定分野で能力を発揮することに幸せを感じます。

企画、販売、人事、エンジニアリングなどの何らかの分野で秀でること、権威になること、エキスパートになり、その分野で課題を見つけて挑戦し続けることで成長していき、他の人よりも正確かつ生産性高く仕事を進めます。

他のアンカーの関心事が、どちらかと言えば仕事を取り巻く文脈(コンテクスト)に向かうのとは違い、専門・職能別コンピタンスがアンカーの人の関心は、あくまでも仕事の内容(コンテンツ)そのものに向かいます。

専門・職能別コンピタンスをキャリアアンカーとする人が向いている仕事や働き方について

専門・職能別コンピタンスをキャリアアンカーとする人が向いている仕事は、研究職や技術職など自分のスキルを積み重ねていく仕事です。

専門・職能別コンピタンスをキャリアアンカーとする人は、管理職などに昇進して働くよりも、現場レベルで職人としてスキルを上げ、その道のスペシャリストな働き方が向いています。

また、そういった働きかたの方が能力を発揮することが出来ます。

ただ、専門分野での仕事のやりがいを優先しますので、そこにおいては部下や部門の管理を引き受けることに抵抗はありません。

 


全般管理コンピタンス(GM General Managerial Cometence)

全般管理コンピタンス全般管理コンピタンスをキャリアアンカーとする人は、経営者や管理職に就いたりし、責任のある役割を担うことに幸せを感じます。出世意欲が高いタイプです。

組織内の機能や人を相互に結び付けたり、集団を統率する能力を発揮し組織の期待に応えます。専門的なことやモノではなく企業全体の経営に興味があり、経営側に立つことに価値を見出します。

全般管理コンピタンスをキャリアアンカーとする人が向いている仕事や働き方について

全般管理コンピタンスをキャリアアンカーとする人が向いている仕事は、責任を負う仕事です。経営者や管理職となり責任を負うこと立場に立つことに喜びを感じると共に成長していきます。

全般管理コンピタンスをキャリアアンカーとする人の向いている働き方は、若いうちは多くの職種や職業などを経験したいという考えから、積極的に異動などを受け入れます。出世の為に資格取得や免許取得も取り組んで、組織の期待に応えます。

組織全体が高い成果を上げることに魅力を感じるために、その為に高い地位を獲得することにこだわるのです。

 

保障・安全(SE Security/Stability)

保障・安全保障・安全をキャリアアンカーとする人は、保障や安全、経済的な安定を得ることを重視します。何事にも安全・確実で、将来の予測がつく、ローリスク・ローリターンを好みますので、出来る限りリスクを回避しようと考えます。

終身雇用のような雇用保障や福利厚生の充実を強く望みますので、社会人生活を1つの企業や組織での勤務を全うする人が多く、組織への忠誠や献身などがみられます。リスク回避を最優先します。

保障・安全をキャリアアンカーとする人が向いている仕事や働き方について

保障・安全をキャリアアンカーとする人が向いている仕事は、リスク回避が得意ですので危機管理やリスクマネジメントの分野です。

保障・安全をキャリアアンカーとする人が向いている働き方は、将来を見通すことが出来る公務員や大企業です。よほど堅実な企業がない限り転職を考えることはないでしょう。

また、変化を嫌い安定を望みますので、部署の異動や転勤などは大きなストレスを感じます。

 

起業家的創造性(EC Entrepreneurial Creativilty)

起業家的創造性起業家的創造性をキャリアアンカーとする人は、新商品の開発など新しいモノやコトを創り出すことを重視します。発明や芸術、クリエイティブな発想、リスクを取って自分で会社や事業を興す機会などを好みます。

起業家的創造性は困難な問題を解決する過程から得られる刺激を欲しています。

起業家的創造性をアンカーに持つ人は、人生の早い時期から、この欲求を意識することが多いです。

起業家的創造性をキャリアアンカーとする人が向いている仕事や働き方について

起業家的創造性をキャリアアンカーとする人が向いている仕事は発明家、芸術家、起業家などクリエイティブな発想を必要とする仕事です。

起業家的創造性をキャリアアンカーとする人の向いている働き方は、自分自身の創造性を活かしたいと強く考えているので、企業内であっても社内ベンチャーや新規プロジェクトを任せると非常に高いパフォーマンスを発揮できるので良いでしょう。

 

自律・独立(AU Autonomy/Independence)

自律・独立自律・独立をキャリアアンカーとする人は、組織等からのルールや規則に縛られずに自分の範囲で仕事を決め、自分のやり方で仕事を進めることを好みます。

集団行動や場の空気に従うことは苦手でマイペースです。自分のペースを守ることを重視しますので、一人での仕事や行動の自由度が高い環境が好きです。

自分で事業を興すこともありますが、起業家的創造性とは自律的に仕事ができるかどうかという動機の点で異なります。

自律・独立をキャリアアンカーとする人が向いている仕事や働き方について

自律・独立をキャリアアンカーとする人が向いている仕事は、自由な行動が出来る環境で働ける研究職や自分の腕で勝負できる技術職です。

自律・独立をキャリアアンカーとする人の向いている働き方は、フレックスタイム制や在宅での勤務などが出来る仕事が向いています。

また、自分の納得できる手段や方法で仕事を進めたいと考えていますので、上司が近くにいて相談できるような環境が高いパフォーマンスを発揮します。

独立志向もありますので、叱責などで退職なども考えれます。

 

奉仕・社会貢献(SV Servicr/Dedication to a Cause)

奉仕・社会貢献奉仕・社会貢献をキャリアアンカーとする人は、暮らしやすい社会の実現、他社の救済、教育など価値あることを成し遂げたいという思いが強いタイプで、人の役に立つかということ、何か価値のあることを行える機会を重視します。

出世や昇給を目指すのではなく、自分の仕事が社会に与える影響を考えて仕事を選択します。

奉仕・社会貢献をキャリアアンカーとする人が向いている仕事や働き方について

奉仕・社会貢献をキャリアアンカーとする人が向いている仕事は、誰かを助けたり、人の役に立つといった仕事です。分野では医療・看護・社会福祉・教育です。

奉仕・社会貢献をキャリアアンカーとする人の向いている働き方は、不正なども見逃せないので企業内の仕事では、商品・サービス開発、監査、福利厚生部門などが良いでしょう。

自分の価値観と組織の価値観が一致していれば、報酬や社会的な地位にはあまりこだわりません。

 

生活様式・ワークライフバランス(LS Lifestyle)

生活様式・ワークライフバランス生活様式・ワークライフバランスをキャリアアンカーとする人は、個人的な欲求、家族の願望、自分の仕事のバランスや調整に力を入れます。「仕事を二の次に考えている」「楽をしたい」といった訳ではありません。

企業で働く人間と同時に、一個人としての人間のどちらも大切に大事にしたいと願って、仕事とプライベートのバランスをを考慮し両立を目指します。

仕事もしっかりと打ち込むと同時に、恋や子育て、親孝行などの家庭生活にもしっかりと関わりたいと考えます。

自身の条件が満たされれば、組織のために働くことに前向きな点が自律・独立をアンカーに持つ人とは異なります。

生活様式・ワークライフバランスをキャリアアンカーとする人が向いている仕事や働き方について

生活様式・ワークライフバランスをキャリアアンカーとする人が向いている仕事は、在宅勤務や有休消化や育児休暇・介護休業制度、残業時間が少ないなど働き方の多様化が認められている業種や企業です。

生活様式・ワークライフバランスをキャリアアンカーとする人の向いている働き方は、プライベートと仕事が両立出来るようなな環境が良いでしょう。両立できていれば仕事へのモチベーションは高く、パフォーマンスの高い生産性を発揮してくれます。

 

純粋な挑戦・チャレンジ(CH Pure Challenge)

純粋な挑戦・チャレンジ純粋な挑戦・チャレンジをキャリアアンカーとする人は、解決困難に見える問題や解決の手ごわい相手やライバルとの競争にやりがいを感じます。

自身の昇進や昇給、スキルアップなどが目的ではありません。打ち勝つ知力、人との競争にやりがいを感じ、真新しさ、変化、難しさが目的となり、自分を試し続ける「挑戦」が人生の主たるテーマとなっています。

あえて困難に飛び込んで挑戦します。誰もが無理だと思うような環境・状況下で問題を解決する事に喜びを感じます

専門・職能別コンピタンスの人々は自分の技能を高いレベルにすることに魅力を感じるのに対して、純粋な挑戦・チャレンジをアンカーに持つ人は困難な問題に挑戦することに魅力を感じる点で異なります。

純粋な挑戦・チャレンジをキャリアアンカーとする人が向いている仕事や働き方について

純粋な挑戦・チャレンジをキャリアアンカーとする人が向いている仕事は、多くの部署がある企業で様々な事業を営んでいる企業が向いています。全く違う部署への異動や転勤などにも前向きに取り組みます。

純粋な挑戦・チャレンジをキャリアアンカーとする人の働き方は、新規事業や新プロジェクトなどを立ち上げる際や組織に新規人材を採用する際には効果的です。

現在の仕事ができるようになると新しい仕事を探します。困難な状況に立つ意味で全くの未経験の業種への転職を考えます。

 

キャリアアンカーに関するサイト

キャリアアンカー診断サイト

シャインが提唱しているキャリアアンカーは診断をする事により知る事が出来ます。

40問の質問に答えて無料診断が可能です。

キャリアアンカー診断サイト

 

キャリアアンカー関連サイト

日本語版 エドガー・シャインポータルサイト

厚生労働省HP 「キャリアアンカー」検索結果

amazon「キャリアアンカー」検索結果

キャリアアンカーの「8つの分類」とは?診断方法や企業での活用方法

キャリアアンカーとは?個人が働き方に求める8つの分類

キャリアアンカーの8つの種類とは?それぞれの特徴や適職について

キャリア・アンカー -ウィキペディア-

キャリア・アンカー論 byシャイン -JACCA-

キャリアアンカーとは?キャリア選択で重要な指針-ALL About-

 

キャリアアンカーを相談できるキャリアコンサルタント

キャリアコンサルタント一覧(登録済)はこちら

 

キャリアアンカーの活かし方

キャリアアンカーの活かし方キャリアアンカーはどれが良くてどれが悪いといった面は一切ありません。また、アンカーが最初から明確にわかっているという人は稀です。

だからこそ、現在の仕事と自分のアンカーと一致しているかどうかをチェックして、アンカーと一致するように将来の仕事を計画しましょう。

計画すると同時に、サポートしてくれそうな人に自分のアンカーを伝えましょう。キャリアは自己決定だけでなく、相互依存の側面もあるからです。

もちろん、アンカーと仕事が一致していること以上に良いことはありませんが、そのような場面がいつも手に入る訳ではありません。しかし、アンカーと仕事が一致していない時こそ、自分のアンカーが見えてくることもあります。

また、一致していないからこそ、一致する状態へ向かうプロセスで様々なことを学び、それが成長へ繋がります。

キャリアアンカーの活用

仕事に求められる要件と現在にギャップがあれば、自己啓発など積極的に取り組みチャンスがいつ来ても良いように準備しておきましょう。

どうしても、ギャップを埋めることが出来ない場合は、異動、転勤、転職も検討する必要もあります。

大事なことは、キャリアアンカーを理解することで自分らしいキャリアを追求することです。

そんなキャリアアンカーの提唱者シャインはキャリアアンカをこのように説明づけました。

欲求と動因の基本的な組み合わせが、効果的なキャリアアンカーとしての役割を果たす。それはキャリアの選択に影響を与えるだけでなく、転職にも影響を与え、そのコインが人生で見つけたいと思っているものを形づくり、未来への展望、関連する目標と対象の総合的な評価を特徴づける。

キャリアアンカーの活用で自分らしいキャリアの追求にお役立てください。

 

この記事はキャリアコンサルタントドットネット運営事務局が作成

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