[最終更新日]2022/07/15
社会人になってから上司や先輩から「貸借対照表も知らないのか!」なんて言われた事がある人も多いはずです。
そんな「社会人になってから知っておいて方が良かった」と思われる貸借対照表を初心者向けにわかりやすく説明いたします。
貸借対照表は財務諸表の一つ
貸借対照表は財務諸表の一つです。
財務諸表は、企業が一定期間、一定時点の経営成績や経営状態を示すために作成します。現貯金や資産や売り上げや費用などの財務状況等を株主や債権者などの関係者に対して示すためです。
一般的には財務諸表のことを決算書(決算報告書)と呼ばれています。
日本における会計基準では、財務諸表には「貸借対照表(Balance sheet、略称B/S)」「損益計算書(Profit and Loss Statement、略称P/L)」「キャッシュ・フロー計算書(C/F、cash flow statement)」「株主資本等変動計算書(S/S、Statements of Shareholders’ Equity)」が含まれます。
損益計算書(Profit and Loss Statementt、略称P/L)
損益計算書(Profit and Loss Statementt、略称P/L)は、企業の一定期間(例/4月~3月)の収益と費用等の状態を表す数値を記しています。
新聞やテレビなどで経常利益、純利益等とよばれる数値など経営成績に関する情報が計算されています。
損益計算書には以下のような項目があります。
- 売上高
- 売上原価
- 売上総利益(または売上総損失)
- 販売費及び一般管理費
- 営業利益(または営業損失)
- 営業外収益(受取利息、配当金、その他の営業外収益)
- 営業外費用(支払利息、その他の営業外費用)
- 経常利益(または経常損失)
- 特別利益(固定資産売却益等)
- 特別損失(災害損失等)
- 税引前当期純利益(または税引前当期純損失)
- 法人税等
- 法人税等調整額
- 当期純利益(または当期純損失)
>>【初心者向け】損益計算書 Profit and Loss Statement(PL)の初歩
キャッシュ・フロー計算書(cash flow statement、略称C/F)
キャッシュ・フロー計算書(C/F、cash flow statement)は、企業の一定期間(例/4月~3月)の現貯金等(現金同等物も含まれる)の増減を表す数値を記しています。
キャッシュ・フロー計算書は、「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに分けて表します。
営業活動
営業活動の損益に関する取引の資金の動きを表します。
投資活動
営業活動以外での資産に関するの資金の動きを表します。固定資産・株・債権などの取得や売却をした時の流れを表しています。
財務活動
営業活動以外での負債と純資産の部に関する資金の動きを表します。
>>【初心者向け】キャッシュ・フロー計算書(cash flow statement)
株主資本等変動計算書(S/S、Statements of Shareholders’ Equity)とは、貸借対照表の純資産の企業の一定期間(例/4月~3月)における変動額のうち、株主資本の各項目の変動事由を報告するために作成されます。
株主資本等変動計算書は、純資産を株主資本、評価・換算差額、新株予約権、非支配株主持分(連結株主資本等変動計算書においてのみ作成)に分けて表します。
貸借対照表とは?
貸借対照表とは、企業の一定時点(決算日/例:3月31日)の財政状態を表している書類です。
損益計算書の期間(例:4月~3月)に対して、貸借対照表は一定時点(例:3月31日)という「期間」と「時点」という点が違います。
ここからは、わかりやすくするために、一般家庭がマイホームを買うことも随所に説明に慈姑えていきます。1000万円の家を500万円の頭金と500万円を10年でローン(返済額:月/約4万円・年/約48万円)で購入する時とします。なお、わかりやすくするために利子はなしとします。
貸借対照表の左側は「資産の部」
貸借対照表の左側を「資産の部」と呼びます。「資産の部」にはどのようにお金を使ったのか、お金の使い方が書かれています。
資産の中にはお金を使って得たもの、つまり、会社の財産が書かれています。
一般買い手のマイホーム購入で説明しますと、家という資産を購入して所有していますので「家」という固定資産がここに表示されます。
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貸借対照表の右側は「負債の部」と「純資産の部」
貸借対照表の右側は「負債の部」「純資産の部」の上下に分けられます。左側の資産を得る為にどのように資金を集めたのかが書かれています。
マイホームを購入した際の500万円の頭金と500万円のローンがここに下記のように表示されます。なお、この数字は毎年返済していきますので毎年数値は変化します。
貸借対照表の右上「負債の部」
貸借対照表の右側は上下に分けられ、上部を「負債の部」と呼びます。負債とは借りたお金です。
つまり、将来期日までに支払ったり、返済したりする必要があるお金です。
マイホームを購入した際のローンの500万円のことです。
貸借対照表は一定時点を表しますので、2年目は500万円-48万円=452万円、3年目は452万円‐48万=404万円となります。
貸借対照表の右下「純資産の部」
貸借対照表の右側は上下に分けられ、下部を「純資産の部」と呼びます。純資産には株主から集めたお金や、過去にその会社が稼いだ利益です。
つまり、将来返す必要が無いお金です。
マイホームを購入した際の頭金500万円のことです。
貸借対照表は一定時点を表しますので、2年目は500万円+48万円=548万円、3年目は548万円+48万=596万円となります。
貸借対照表のルール①
貸借対照表は左側「資産の部」と右側「負債の部」「純資産の部」の合計は必ず一致します。
つまり、バランスします。このことから、バランスシート(Balance sheet)と呼ばれています。
資産の部=負債の部+純資産の部
これはマイホームを購入した金額で説明すると、マイホーム購入金額が支払った金額が同じになるということです。
マイホームを購入する際に、購入金額と支払った金額が違うなんて事は何かおかしいということになると思いますが貸借対照表でも同じことが言えます。
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貸借対照表のルール②
貸借対照表は左側「資産の部」と右側「負債の部」は、流動性の高いものから低いものへと記載されます。
これを流動性配列法と言います。
一部の有形固定資産の額が多い電力会社などは逆で特別の会計規則が設けられていて、固定性配列法が適用されます。
資産の部
資産の部は「流動資産」「固定資産」に分けられます。
- 流動資産
流動資産とは現金化が容易にできる資産を言います。具体的には現金はもちろん貯金や売掛金、未収入金等のことを言います。現金化できる容易な期間としては概ね1年以内です。 - 固定資産
流動資産とは逆に1年以内に現金化しにくい資産を言います。具体的には土地・建物・備品・投資有価証券等のことを言います。不動産会社等は、土地建物という固定資産を売買する場合は流動資産になる場合もあります。
また、固定資産にはホームページ等の無形固定資産と呼ばれているモノや、長期的に保有している債権なども含まれます。
負債の部
負債の部は「流動負債」「固定負債」に分けられます。
- 流動負債
流動負債とは、1年以内に支払いが発生する負債です。具体的には、買掛金、未払金、未払費用、短期借入金等のことを言います。 - 固定負債
固定負債とは、1年以内に支払いが必要のない負債です。具体的には、長期借入金、社債、長期前受収益等のことを言います。
純資産の部
純資産は期間に関係なく返す必要のないお金です。
株主から集めたお金や毎期稼いだお金の利益の蓄積等です。
毎期会社が稼いだお金(利益)は、純資産のうちの利益剰余金という項目に蓄積されていきます。
純資産は返す必要のないお金ですので、純資産がどれだけあるかの割合が会社の健全性を判断する指標となります。逆に割合が少ない場合は借金が多いと考えられ、元本と利息の返済が必要ですので経営に影響を与えることが考えられます。
と、貸借対照表(バランスシート)は左右が同一の金額になりますので、「純資産の部」が増加した分の「資産の部」も増加します。
貸借対照表の関連サイト
- 貸借対照表とは?見方と企業の財政状況の読み解き方/ビジドラ
- 貸借対照表とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ/経理コンパス
- 貸借対照表/Wikipedia
- 貸借対照表の基本的な見方と3つのポイント/GRANDIT
- 貸借対照表の書き方を具体例とともに解説/Money Forward
貸借対照表のまとめ
いかがだったでしょうか?
貸借対照表は、ある一定時点における会社の資産や債務などの状態を示す書類です。
会社の資金調達方法、調達した資金の保有・運用方法を示すものです。
自社や関係会社の貸借対照表であっても、数字を見ることで経営状況を客観的に把握することが出来ます。
経営者目線のリスクや課題を発見し、改善することも可能です。
貸借対照表など財務諸表は、一見難しいと思われがちです。
しかし、ポイントを押さえてしまえば、比較的容易に読み解くことが可能ですので、今回ご紹介したポイントを参考にして、ぜひ貸借対照表に目を通してみてください。