[最終更新日]2021/09/14
「クライエントとしてキャリアコンサルティングを受ける時に気をつけることはあるのでしょうか?」
こんな質問を受ける事があります。
もちろん、キャリアコンサルタントとしては「何も気にせず相談に来てくださいね」が答えになるのですが、クライエントに気を使わせてしまっているなと反省します。
ただ、これはきっと日本社会においてキャリアコンサルタントなどへクライエントとして、お金を出し相談するという文化がまだまだ浸透していないのも理由の一つだと思います。
しかし、理由はどうであっても、初めての行動に緊張は伴うものです。
そんなキャリアコンサルタントへ、キャリアコンサルティングを受けようとしている方で「どのような気持ち」で「どのような形」で相談すればよいのかと悩まれている方向けに、「キャリアコンサルタント」「キャリアコンサルティング」等の説明も含めてイチから分かりやすく説明いたします。
Contents
厚生労働省のキャリアコンサルタント(キャリコン)・キャリアコンサルティング(キャリアカウンセリング)の定義とは?
「キャリアコンサルタント」や「キャリアコンサルティング」という言葉を聞いたことはあるけど、何を意味するのかわからない。定義はあるのですか?という質問を受ける事があります。
それではまず、厚生労働省が定めている「キャリア」「キャリアコンサルタント」「キャリアコンサルティング」の定義を説明いたします。
キャリアの定義
「キャリア」とは、過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すものです。「職業生涯」や「職務経歴」などと訳されます。
キャリアコンサルタント(キャリコン)の定義
「キャリアコンサルタント」はキャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。
職業能力開発促進法第三十条の二十七に「キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタントの信用を傷つけ、又はキャリアコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはならない」2項には「キャリアコンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。キャリアコンサルタントでなくなつた後においても、同様とする。」と定められており、信用失墜行為の禁止義務・守秘義務が課されています。
※以下「キャリコン」と記載している部分もありますがキャリアコンサルタントの略称として使用しています。
キャリアコンサルティング(キャリアカウンセリング)の定義
「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。
※キャリアカウンセリングについての定めはありませんが同様であるとお考え下さい。
参照:厚生労働省/キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティングをわかりやすく説明
「難しい言葉で書かれても正直わからない」というご意見をよくお聞きしますので、ここでは同じ言葉を分かりやすく説明いたします。
キャリアを分かりやすく
「キャリア」は日本語に訳すと職歴、経歴と言われ、「仕事のこと」と思われている方が多くいますが「仕事のこと」だけを捉えている言葉ではありません。
例えば、自分の子どもを育てる際に子育てで培った「おむつ交換の技術」です。おむつ交換が出来る技術はキャリアと考える事が出来ます。これは自分の子育てだけでの経験だけでなく兄弟姉妹へや甥っ子姪っ子のおむつ交換も含まれます。もちろん、おむつ交換の時間はプライベートな部分であり「生活」です。しかし、そのプライベートである生活全般の経歴も立派なキャリアとなります。
他にも、「事務員だけ10年間してきて事務員しか出来ないから自分にはキャリアがない」などと言われる方もいらっしゃいますが、事務員を10年間続けた事が立派なキャリアですし、事務員が出来るという事もキャリアとも言えます。
しかし、このキャリアという言葉を使う時に「子育て」や「事務員10年間」と説明してしまいますと、キャリアと捉えてもらえない事が多くあります。なぜなら「キャリア」という言葉を使うのは、就職や転職など仕事が関係する場で使用する事がほとんどだからです。
また、キャリアは毎日考えるものではありません。節目(転職など)においてクローズアップされるものです。
キャリアという言葉は仕事が関係する場で使用する事である言葉であることから、「仕事のこと」だけだと認識されてしまっている面は否めません。
ただ、仕事が関係する場で使用するからこそ、相手に伝わることを意識して使用しなければならないのです。相手に伝わる説明が出来ないのであれば、どれだけ素晴らしい技術もキャリアにならないと言えるのかもしれません。
また、もうお分かりの通り、学生時代の部活動やアルバイトもキャリアになります。
「100m泳げる」ことが出来ることもキャリアですし、「バイトリーダー経験」もあなたの立派なキャリアです。
しかし、説明がなければ100m泳ぐのが全国大会優勝なのか、ビートバンで泳いだのかは「100m泳げる」だけでは伝わりません。バイトリーダー経験も同様で、チーム3人のバイトリーダーと20人のバイトリーダーですと相手の捉え方もずいぶんと違います。
つまり、キャリアとは目に見える形ではないからこそ、相手に伝わる説明をするということまでをセットと考えておかなければならない言葉なのです。
また、「キャリア」という言葉が「仕事の場面だけ」や「専門職だけ」に使用される言葉という誤った認識で広がっているのが現実です。
しかし、ここまでの説明でおわかりの通り、キャリアとは「仕事技術等の職務経歴はもちろん、生活全般を対象とする出来る事等を含まれる言葉」ですので、「キャリアがない」と言われる方の多くは「キャリアを見つけられていない」もしくは「キャリアを上手に伝えることが出来ていない」場合がほとんどですです。
そして、その「キャリア」を見つけていない方の「キャリア」を見つけるお手伝いをするのがキャリアコンサルタントで、そのお手伝いする行為をキャリアコンサルティングと言います。
キャリアコンサルタントを分かりやすく
「キャリアコンサルタント」はキャリアの相談に乗る、厚生労働省が認めている国家資格であり専門家です。
法律の悩みは弁護士、税金の悩みは税理士というのと同様、キャリアの悩みは「キャリアコンサルタント」へ相談してもらう為に厚生労働省が2016年に国家資格化したキャリア相談のプロです。
ただ、キャリアという定義そのものが誤った認識で広がっているので、キャリコンへの相談は「仕事の相談」「就職・転職相談」「専門職」だけの相談をすると認識されてしまっており、資格の認知自体も広がっていません。
キャリアコンサルタントは相談のプロ
仕事の相談で生活の事を避けて考える事は出来ません。
生活の相談で仕事の事を避けて考える事も出来ません。
つまり、仕事と生活は切って考える事自体が出来ないのです。
パートをしている女性が職場の人間関係の悩みがある場合に、「じゃあ会社を辞めればどうですか?」と言うのは簡単ですが、子どもの保育所の事はあるし、給料が減る事も考えれば、当然単純な事ではありません。
今の会社と「同じ給料」「同じ内容」「自宅から通える仕事」があれば良いですが、見つけることは非常に困難です。辞めることも出来ないし続けることも辛い・・・かといって仕事を休むわけにもいかず、ストレスから家庭への影響も出てきている。もうどうしたらよいかわからない。
そういった場合に、どういった選択肢があって、どの選択肢を選ぶとどういったメリットデメリットがあるのか等を一緒に考えるのがキャリアコンサルタントです。
また、ひょっとするとその仕事自体があなたにとって向いていないのかもしれませんので、適性検査を行ってクライエント自身が自分を理解(自己理解)をしたりとすることのお手伝いも行います。
転職が当たり前の時代にキャリコンへ相談する
企業の数で考えれば日本は中小企業数が99%を超えており、数の上では既に終身雇用という制度は崩壊しており転職するのが当然です。
これまでは会社が色々な制度を考え整えて、従業員のキャリアを含めた生活全般を守ってくれるのが一般的でした。キャリアの問題は会社が考えて、従業員は会社からの指示にさえ従っていればよかったのです。
しかし、転職という制度が当たり前になっている現代においては、どんな会社に勤めて、どんな働き方をして収入はどれくらいなのか、どういうステップを踏んでいきたいのか、会社を辞めたらどうなるのかという事を常に考えていないと、自分自身が損をしてしまいます。
今までは定年まで働けば「退職金」を企業からもらい「年金」で老後の生活をする事が出来ましたが、これからは自分で人生設計をして、生涯のお金のことまで自己責任で負う制度になっています。
例えば、年金制度です。将来受け取る金額がある程度決まっている「確定給付型年金」が主流でしたが、それが「確定拠出型年金」に変わってきています。
また、「大きな会社に入れば大丈夫」という教育が大半だった時代に就職した方に対して「自分の未来は自分で考えなさい」と突然言われてもどのように何を考えれば良いのかはわかりません。
そういった方のアドバイスをする専門家としてキャリアコンサルタントという資格が生まれました。
「コンサルタント」ではなく「カウンセラー」
また、「コンサルタント」という名称ですので給料やお金儲けだけの専門化と思われていますが、「カウンセラー」という名称の方がしっくりくるという場面も多々あります。
なぜなら、日本のキャリアコンサルタント資格は、アメリカのキャリアカウンセラー資格を手本として考えられたからです。ただ、日本では「カウンセラー」という名称になれば心理的な面が大きく捉えられすぎるのではないかという懸念から「コンサルタント」の名称が用いられました。しかし、「コンサルタント」という名称では「給料」「お金儲け」だけと捉えられてしまっているのが現実です。
ただ、「カウンセラー」「コンサルタント」いずれの名称であったとしても、キャリアコンサルタントは様々な相談に対応できる用に日々鍛錬していますので相談者の方は安心してご相談ください。
もちろん、ストレスが蔓延している現代に於いて医療的なアドバイスが必要な場合は医療機関へ、サービス残業やパワハラ・セクハラの問題・離婚問題など法的アドバイスが必要な場合は弁護士等の法律専門家のご紹介(リファー)にも対応していますので合わせてご安心ください。
また、この資格の認知度を上げていくのは我々の課題ですが、まずはこの文章をお読みいただいているあなたにはこういった面をご理解いただきたく思っています。
キャリアコンサルティング(キャリアカウンセリング)を分かりやすく
「キャリアコンサルティング(キャリアカウンセリング)」とは、キャリアコンサルタントがクライエントのキャリアの相談に応じ、アドバイス等を行うことをいいます。
PICKUPキャリコン
キャリアコンサルタントへの相談で問題は必ず解決する?
キャリアコンサルタントがキャリア相談の専門化であることはご理解いただけたと思います。
では、相談をすれば問題は必ず解決するのでしょうか?
100%解決できるので安心してください
もし、キャリアコンサルタントに「100%解決できるので安心してください!」と言われた場合には他のキャリアコンサルタントを探してください。
なぜなら、そんな事はあり得ないからです。
もちろん、料金をいただいて相談いただく訳ですので、相談者であるあなたと共に問題解決に全力で取りかかります。
解決のきっかけや何らかの気づきを感じてもらえるように全力で取り組みます。そのきっかけや気づきに価値を感じていただければキャリコンへの相談もとても効果的です。
キャリコンへの相談料金について
突然ですがチョコレートを買ってチョコレートを食べることは、複数の欲求を満たすことが出来ます。
もし、おいしくないチョコであったとしても空腹を満たすという欲求は満たされます。
では、キャリアコンサルティングではどうでしょうか?
残念ながら何の欲求も満たすことが出来ないかもしれません。
ただ、キャリアコンサルタントは、クライエントがそんなお気持ちにならないよう、相談解決に全力で取り組んでいます。また、一人で悩まれるよりも「相談が解決する可能性は大きく上がる」ということは間違いなく言えます。
その面に価値を感じていただければご相談することをお勧めします。
また、もしも相談中に「こんなの無駄だ」という事を感じた場合には遠慮なさらずにその旨をお伝えください。素直なお気持ちをお聞かせいただく事がキャリアコンサルティングにはとても重要です。
どうぞ気になさらずに思った事を直接キャリアコンサルタントへお伝えください。その今感じているお気持ちがキャリコンサルティングには重要なのです。
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キャリアコンサルタントの選び方
キャリアコンサルタントを選ぶ際に重要なことは、信頼関係が結ぶことが出来るかどうかです。
当サイトのキャリアコンサルタントプロフィールページには、経歴や写真、似顔絵を含めた自己紹介があるキャリアコンサルタントが多くおりますので、そういった面も参考にしてお選びください。
パッと見た感じでお選びいただいても大丈夫ですし、出身地が同じだからなんて理由で選んでいただいても大丈夫です。あなたが相談してみたいと感じるキャリアコンサルタントをお選びください。
そんな選び方で大丈夫なのか?と思われるかもしれませんが、以下のアンケートにもある通り90%以上の方がアンケートで「キャリアコンサルティングを受けてよかった」とありますのでご安心ください。アンケート結果についてはこちらをご確認ください。
また、相談中には問題解決できなかったとしても「相談後、家に帰る電車の中でパッと悩みが解決できた」なんて事もよくあります。自身の気持ちを大事にしてお選びください。
すぐに問題解決できない場合があります
すぐに問題解決したいと相談に来られる場合がほとんどだと思いますが、すぐに問題解決できない場合もあります。
理由としては複数の問題が複雑に絡まっていたりする場合があるからです。
このような場合、費用面で負担になるかもしれませんが相談時間数の増加もしくは複数回にわたっての相談をお勧めいたします。
仕事上の悩みと子育ての悩みが絡まり合っている場合などは良くあります。
また、長年にわたり悩んでいる事もあるかと思います。
長年の悩みを短時間で解決できる程、人の心や気持ちは単純ではありません。もちろん、ほんの一言で気持ちがすっきりされる方もいらっしゃいますが、どうぞ長年の悩みを抱えている方も安心してキャリアコンサルタントへご相談ください。
ただ、こういった時間を要する方にご理解頂きたいのは、「問題が解決出来ないのではない」という事です。解決するのには時間を要し、短期間では解決できないだけで時間をかければ問題解決にきっと繋がるという事です。
解決の糸口が少しでも見つかるまでご相談いただけることを願います。
キャリアコンサルティングは本当に効果的なのか?(厚労省のアンケート結果)
厚生労働省が実施した「平成29年度能力開発基本調査」では、キャリアコンサルティングを受けた方のアンケート結果が掲載されています。
キャリアコンサルティングが役立ったという方が、正社員で92.6%、正社員以外では95.0%という結果が出ています。
他にも「仕事に対する意識が高まった」や「自分の目指すべきキャリアが明確になった」等の意見があります。
このアンケート結果で、キャリアコンサルティングを受ける事で、何らかのプラスの方向の気持ちになったという事が大半であることがわかります。
参照:厚生労働省/平成29年度「能力開発基本調査」
まとめ
キャリアコンサルタントは「相談のデパート」です。
どんな悩みでも、まずはキャリアコンサルタントへ相談に行ってみてください。
法律の相談は弁護士、税金の相談は税理士等それぞれの専門分野に分かれていますが、例えばこんな悩みならどうしますか?
- 離婚して養育費貰ってないし給料が少ないから転職しようかな?いや、給料が多くなったら税金も高くなるし社会保険、保育料も上がるし・・・、それにブラック企業だったら今みたいに休めないし
- 就活っていうけど何するの?国公立大学でないと大企業に入れないならフリーターでも良いか。どうせ、年金ももらえないしな~。無駄な金は払いたくないし。
- 定年後には飲食店を開店しよう。しかし、経営なんてしたことがないし、許可とかお金のこととかどうすれば良いの?
様々な問題が複雑に絡んでいる事がおわかりいただけるのではないでしょうか?
結局どこに相談に行けば良いか悩んでしまいませんか?
こういったどこに相談に行けば良いのかわからない場合は、国家資格キャリアコンサルタントへご相談ください。複雑な悩みを総合的な観点からアドバイスさせていただきます。
また、キャリアコンサルタントで出来ない専門的なこと(例/裁判は弁護士、許認可の書類は行政書士等)まで専門家との連携でサポートさせていただきます。
どうぞ安心してご相談ください。