勤務間インターバル制度とは?/労働時間勤務の管理導入の企業例【働き方改革】 | キャリアコンサルタントドットネット

勤務間インターバル制度とは?/労働時間勤務の管理導入の企業例【働き方改革】

[記事公開日]2021/12/01
[最終更新日]2022/12/15
勤務間インターバル制度とは?/労働時間勤務の管理導入の企業例【働き方改革】

「働き方改革関連法」や「ワークライフバランス」などが社会を賑わせています。

また、「時間外労働の上限規制」や「年次有給休暇の取得義務化」「60時間超の残業代引き上げ」等も実施されており、企業で働く非正規社員を含めた従業員すべてで一部リアルな変化を感じている方も多くいるはずです。

そんな中でも、「労働時間等の改善に関する特別措置法」で「勤務間インターバル制度」が事業主の努力義務化されました。しかし、勤務間インターバル制度って詳しくわからない方も多くいらっしゃると思います。

そんな「勤務間インターバル制度とは?/労働勤務時間管理の導入企業例【働き方改革】」をわかりやすく説明致します。

 

働き方改革について/勤務間インターバル制度導入の理由

働き方改革について/勤務間インターバル制度導入の理由「働き方改革」とは、非正規雇用正規雇用を問わずに働くすべてのがそれぞれの事情に応じた、多様で柔軟な働き方を企業側からの強制ではなく自分自身で「選択」できるようにするための改革です。

今までの日本では、「男性は働き・女性は家庭」といった考えが浸透していました。また、仕事は何よりも優先され生活(LIFE)は二の次だと言った考えも当たり前でした。

しかし、現在の日本では共働き世帯も増え、男性の育児休暇の取得率の向上など意識面を含めて大きく変化しています。

また、これからの日本では「少子高齢化」「働き方のニーズの多様化」など多くの課題に対応するには、多方面での変化が必要です。

それぞれの働くヒトの事情に応じた働き方を選択出来る社会を実現し、成長と分配を構築して、それぞれの働くヒトが考えるより良い将来の展望を持てるようにすることを目指すのが「働き方改革」です。

 

働き方改革関連法について/具体的に改正された法律について

働き方改革関連法について/具体的に改正された法律について働き方改革関連法の正式名称は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」と言います。

この法律によって以下の法律が改正されました。

  • 労働基準法
  • じん肺法
  • 雇用対策法
  • 労働安全衛生法
  • 労働時間などの設定の改善に関する特別措置法
  • 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
  • 労働契約法
  • 健康保険法
  • 職業安定法
  • 生活保護法
  • 地方公務員法
  • 厚生年金保険法
  • 社会保険労務士法
  • 出入国管理及び難民認定法
  • 駐留軍関係離職者等臨時措置法
  • 障害者の雇用の促進等に関する法律
  • 住民基本台帳法
  • 職業能力開発促進法
  • 農村地域への産業の導入の促進等に関する法律
  • 雇用保険法
  • 港湾労働法
  • 漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法
  • 国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法
  • 本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法
  • 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
  • 沖縄振興特別措置法
  • 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律
  • 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
  • 建設労働者の雇用の改善等に関する法律
  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
  • 地方公務員の育児休業等に関する法律
  • 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律
  • 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律
  • 厚生労働省設置法
  • 独立行政法人通則法

この中でも大きな改正が「年次有給休暇の時季指定」「時間外労働の上限規制」「同一労働同一賃金」です。

それでは、それぞれ具体的に説明致します。

 

年次有給休暇の時季指定

年次有給休暇の時季指定年次有給休暇の時季指定とは、労働基準法を改正して法定の有給休暇を一定数付与される労働者(正社員・非正規社員問わない)に対して一定数の有給休暇を取得させる必要があるようになったことを言います。

具体的には、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上であれば、毎年5日の年次有給休暇を取得させる必要があるようになりました。

大企業・中小企業ともに2019年4月より施行されています。

 

 

時間外労働の上限規制

時間外労働の上限規制時間外労働の上限規制とは、臨時的な特別の事情がない限り残業時間の上限を原則として月に45時間、年360時間になったことを言います。

また、臨時的な特別の事情があり労使で合意したとしても制限を設けられて、違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあるようになりました。

 

 

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金とは、正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差が禁止されたことを言います。

同じ仕事をすれば同じ賃金を支払うことだけではなく、配置変更の範囲などを含めて差別的な待遇が禁止されるようになりました。

また、同時に待遇の違いやその理由の説明を求められた場合には説明をしなければなりません。

 

 

厚生労働省/働き方改革特設サイト

https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/

 

勤務間インターバル制度とは?

勤務間インターバル制度とは?働き方改革関連の中でも「勤務間インターバル制度」は、努力義務ではありますが明文化されたことは、従業員はもちろん企業側からも関心が非常に高まっています。

それでは勤務間インターバル制度とはどのような制度なのでしょうか?

ワークライフバランスを保ちながら休息も取ることが出来ると思われる勤務間インターバル制度をわかりやすく説明致します。

 

勤務間インターバル制度について

勤務間インターバル制度について勤務間インターバル制度とは、ある日の勤務が終了した後、次の勤務開始までに一定時間以上の「インターバル時間(休息時間)」を設けることで、働くヒトの生活時間や睡眠時間を確保することを言います。

働くヒトは、睡眠時間の確保が健康維持には必須です。また、炊事や洗濯などの生活時間の当たり前の時間の確保も可能となります。

会社・企業としては、魅力ある職場作りで人材確保や人材の定着に繋がると共に、生産性の向上にも効果的であり利益率など向上などのメリットが考えられるのです。

同時に「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」助成金の交付や「過労死等防止対策」にも効果的だと厚生労働省では積極的な導入を推進しています。

勤務間インターバル制度

 

勤務間インターバル制度の導入企業例

勤務間インターバル制度の導入企業例勤務間インターバル制度導入の企業割合は1.8%と低調です。※厚生労働省平成30年就労条件総合調査より

しかし、既に導入している企業では好評であることは間違いありません。

そんな導入企業例は以下のとおりです。

 

本田技研工業株式会社/勤務間インターバル制度の導入企業例①

本田技研工業株式会社/勤務間インターバル制度の導入企業例①本田技研工業株式会社とは、自動車やバイク、飛行機など世界のHONDAの正式名称です。

従業員数は、連結で208,399名、単独で22,399名(2016年12月31日現在)と大企業です。

本田技研工業株式会社の勤務間インターバル制度は創業者の本田宗一郎氏が経営をしていた1970年代の初め頃から導入されています。

当然ですが導入当時は「勤務間インターバル制度」という名称はなく、本田技研工業株式会社では「翌日出社時間調整ルール」という名称で運用されています。

対象範囲は全組合員で、規定根拠は労使協定で規定されています。

具体的なインターバル時間は 22時以降まで残業を行う場合、本社・営業で12時間。研究所では10時間、工場(製作所)では9時間30分~11時間30分と事業領域ごとに規定が異なっています。

なお、本田技研工業株式会社の勤務間インターバル制度は長時間労働の削減ではなく、長時間労働が避けられない場合に、インターバル時間を保証する規定として運用されています。

 

KDDI株式会社/勤務間インターバル制度の導入企業例②

KDDI株式会社/勤務間インターバル制度の導入企業例②KDDI株式会社は、携帯電話のauなど電気通信事業の会社です。

KDDI株式会社は、2000年にDDI 、KDD 、IDOの3社が合併して設立されました。

通信設備の保守管理の部門限定でしたが名称は違いますが、同じような制度を導入している会社があったためにそれが引き継がれていました。

その後2015年の7月に全社に拡大して適用しています。労働組合からの要求にて検討を行いましたがせめぎあいも会いながらも導入に至りました。

対象範囲は全非管理職で規定根拠は就業規則に明記されています。

具体的なインターバル時間8時間です。ただし継続性のある業務や緊急性の高い業務、繁忙期の対応等については、上長判断による適用除外ができます。これとは別に別途健康管理指標があり、月のうち11日以上は11時間というラインを設定しています。

 

TBCグループ株式会社/勤務間インターバル制度の導入企業例③

TBCグループ株式会社/勤務間インターバル制度の導入企業例③TBCグループ株式会社は、エステティックTBCやメンズTBCなど、化粧品・エステティック関連商品の研究開発及び販売している会社です。

TBCグループ株式会社の勤務間インターバル制度は、2017年に導入されました。

TBCグループ株式会社の勤務間インターバル制度は特徴があります。それが外部の組合である「エステ・ユニオン」と「勤務間インターバル労働協約」を締結している点です。

理由としては、社内だけではなく外部の労働組合にしっかりとチェックしてもらい、実効的に機能していることを担保してもらうためです。

TBCグループ株式会社の従業員は非常に若く、女性が90%を超えています。そのような中で何かしなければならないということで勤務間インターバル制度に着目し導入に至りました。

対象範囲は全社員で規定根拠は就業規則に明記しています。また、上述した通りエステ・ユニオンと外部の労働組合と「勤務間インターバル労働協約」を締結しています。

具体的なインターバル時間は義務規定として9時間です。健康管理指標としては11時間が月11日以上となっています。

 

ユニ・チャーム株式会社/勤務間インターバル制度の導入企業例④

ユニ・チャーム株式会社/勤務間インターバル制度の導入企業例④ユニ・チャーム株式会社は、ベビーケア関連製品を主に、フェミニンケア関連製品やヘルスケア関連製品、化粧パフ、ハウスホールド製品が事業内容です。

ユニ・チャーム株式会社の勤務間インターバル制度は、導入までには半年から1年もの時間をかけて労働組合との話し合いを行い2017年1月に導入されました。

対象範囲は全社員で、規定根拠は就業規則により規定されています。

具体的なインターバル時間は最低8時間以上で努力義務として10時間となっています。

 

森永乳業株式会社/勤務間インターバル制度の導入企業例⑤

森永乳業株式会社/勤務間インターバル制度の導入企業例⑤森永乳業株式会社は、牛乳を筆頭に乳製品やアイスクリーム、飲料その他の食品等の製造・販売を行っています。

森永乳業株式会社の勤務間インターバル制度は、労働組合からの申し入れが2013年にあり2014年5月に労使間で合意し2014年10月にかけて事業所ごとに順次導入されました。

対象範囲は労働組合員で、規定根拠は労働組合員を対象とすることを時間外・休日労働に関する協定届に記載されています。

具体的な勤務間インターバル制度は労働組合とは最低8時間で合意しています。

しかし、事業所によっては9〜10時間となっており、本社では、10時間以上です。

 

株式会社ニトリホールディングス/勤務間インターバル制度の導入企業例⑥

株式会社ニトリホールディングス/勤務間インターバル制度の導入企業例⑥株式会社ニトリホールディングスは、家具・インテリア用品の企画・販売を行いニトリの運営を主に行っています。

株式会社ニトリホールディングスの勤務間インターバル制度は、現在は努力目標という位置づけで2017年8月21日から実施されています。

対象範囲はパートタイム従業員を含む全非管理職で、規定根拠は全従業員が閲覧可能な就業規則の補足資料(勤怠マニュアル)に明記されています。

具体的な勤務間インターバル制度は10時間です。

 

株式会社山陽新聞社/勤務間インターバル制度の導入企業例⑦

株式会社山陽新聞社/勤務間インターバル制度の導入企業例⑦株式会社山陽新聞社は山陽新聞を発行している新聞社です。

株式会社山陽新聞社の勤務間インターバル制度は、2017年4月から試験的に導入されています。

対象範囲は全組合員です。現在は上述した通り試験的な導入の為に根拠規定はありません。

具体的な勤務間インターバル制度は原則11時間ですが、新聞発行という業務ですので、緊急性、選挙のようなやむを得ない場合、繁忙期を除かれます。

 

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勤務間インターバル制度とは?/労働勤務時間管理の導入企業例【働き方改革】のまとめ

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勤務間インターバル制度の導入の際には参考にしていただき、従業員の健康管理で働き方改革の実践にお役だて下さい。

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