[最終更新日]2022/03/17
新卒者の早期離職は企業にとってはもちろん、新卒者自身にとっても良いとは言えないのかしれません。
そんな新卒者の早期離職の問題の代表的な言葉として「753現象(しちごさんげんしょう)」というのあります。
そんな「753現象」とは一体どのような現象なのか?など「七五三現象とは?/意味を知り早期離職原因一覧を人事採用に生かした退職防止方法」をわかりやすく説明いたします。
Contents
七五三現象について/七五三現象とは?
「七五三現象」は、人事課など人事関係の仕事をされている方の中で非常に大きな問題であり解決しなければなならない現象です。
「七五三現象」とは、中学卒業、高等学校(高校)卒業、大学卒業など、内定後新卒で就職した人が3年以内に何らかの事情で退職し辞めてしまう人の割合から表した言葉です。
もちろん、毎年7割5割3割と定まっている訳ではありません。
しかし、大きく分類すると、中学校卒業の人は3年以内に7割、高等学校(高校)卒業の人は3年以内に5割、大学卒業の人は3年以内に3割が退職し辞めてしまう傾向にあります。
具体的に中学校卒業、高等学校(高校)卒業、短期大学(短大)等卒業、大学卒業別の割合は以下の通りです。
なお、グラフは平成31年(令和元年)令和2年も掲載がありますが作成段階(令和3年)では3年たっていない為、数値データとしては掲載していません。
中学校卒業者の七五三現象の具体的数値(昭和62年~平成30年)
昭和62年 | 64.5% |
昭和63年 | 65.5% |
平成元年 | 65.7% |
平成2年 | 67.0% |
平成3年 | 66.3% |
平成4年 | 65.2% |
平成5年 | 66.7% |
平成6年 | 67.6% |
平成7年 | 70.3% |
平成8年 | 71.0% |
平成9年 | 70.3% |
平成10年 | 70.8% |
平成11年 | 68.5% |
平成12年 | 73.0% |
平成13年 | 72.3% |
平成14年 | 72.1% |
平成15年 | 70.3% |
平成16年 | 69.7% |
平成17年 | 66.7% |
平成18年 | 67.3% |
平成19年 | 65.0% |
平成20年 | 64.7% |
平成21年 | 64.2% |
平成22年 | 62.1% |
平成23年 | 64.8% |
平成24年 | 65.3% |
平成25年 | 63.7% |
平成26年 | 67.7.% |
平成27年 | 64.1% |
平成28年 | 62.4% |
平成29年 | 59.8% |
平成30年 | 55.0% |
高等学校(高校)卒業者の七五三現象の具体的数値(昭和62年~平成30年)
昭和62年 | 46.2% |
昭和63年 | 48.7% |
平成元年 | 47.2% |
平成2年 | 45.1% |
平成3年 | 41.8% |
平成4年 | 39.7% |
平成5年 | 40.3% |
平成6年 | 43.2% |
平成7年 | 46.6% |
平成8年 | 48.1% |
平成9年 | 47.5% |
平成10年 | 46.8% |
平成11年 | 48.3% |
平成12年 | 50.3% |
平成13年 | 48.9% |
平成14年 | 48.5% |
平成15年 | 49.3% |
平成16年 | 49.5% |
平成17年 | 47.9% |
平成18年 | 44.4% |
平成19年 | 40.4% |
平成20年 | 37.6% |
平成21年 | 35.7% |
平成22年 | 39.2% |
平成23年 | 39.6% |
平成24年 | 40.0% |
平成25年 | 40.9% |
平成26年 | 40.8% |
平成27年 | 39.3% |
平成28年 | 39.2% |
平成29年 | 39.5% |
平成30年 | 36.9% |
短期大学(短大)等卒業者の七五三現象の具体的数値(昭和62年~平成30年)
昭和62年 | 38.4% |
昭和63年 | 40.3% |
平成元年 | 39.6% |
平成2年 | 38.4% |
平成3年 | 36.0% |
平成4年 | 33.9% |
平成5年 | 33.7% |
平成6年 | 37.5% |
平成7年 | 41.1% |
平成8年 | 41.2% |
平成9年 | 39.7% |
平成10年 | 39.0% |
平成11年 | 41.0% |
平成12年 | 42.9% |
平成13年 | 42.3% |
平成14年 | 42.4% |
平成15年 | 43.5% |
平成16年 | 44.8% |
平成17年 | 43.8% |
平成18年 | 42.9% |
平成19年 | 40.5% |
平成20年 | 40.2% |
平成21年 | 39.3% |
平成22年 | 39.9% |
平成23年 | 41.2% |
平成24年 | 41.5% |
平成25年 | 41.7% |
平成26年 | 41.3% |
平成27年 | 41.5% |
平成28年 | 42.0% |
平成29年 | 43.0% |
平成30年 | 41.4% |
大学卒業者の七五三現象の具体的数値(昭和62年~平成30年)
昭和62年 | 28.4% |
昭和63年 | 29.3% |
平成元年 | 27.6% |
平成2年 | 26.5% |
平成3年 | 25.0% |
平成4年 | 23.7% |
平成5年 | 24.3% |
平成6年 | 27.9% |
平成7年 | 32.0% |
平成8年 | 33.6% |
平成9年 | 32.5% |
平成10年 | 32.0% |
平成11年 | 34.3% |
平成12年 | 36.5% |
平成13年 | 35.4% |
平成14年 | 34.7% |
平成15年 | 35.8% |
平成16年 | 36.6% |
平成17年 | 35.9% |
平成18年 | 34.2% |
平成19年 | 31.1% |
平成20年 | 30.0% |
平成21年 | 28.8% |
平成22年 | 31.0% |
平成23年 | 32.4% |
平成24年 | 32.3% |
平成25年 | 31.9% |
平成26年 | 32.2% |
平成27年 | 31.8% |
平成28年 | 32.0% |
平成29年 | 32.8% |
平成30年 | 31.2% |
※参照/厚生労働省:新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移グラフ
企業規模で見た場合の退職者割合
上述した数値は中小零細企業や東証一部上場企業などの企業規模は一切考慮しない平均値です。
しかし、中小零細企業と大企業では退職者割合は著しく違います。
具体的に中小零細企業と大企業によって平成30年の中学校卒業、高等学校(高校)卒業、短期大学(短大)等卒業、大学卒業別の割合は以下の通りです。
中学校卒業者の企業規模別退職者割合
5人未満 | 5~29人 | 30~99人 | 100~499人 | 500~999人 | 1000人以上 |
59.5% | 69.7% | 71.4% | 65.8% | 65.5% | 12.6% |
高等学校(高校)卒業者の企業規模別退職者割合
5人未満 | 5~29人 | 30~99人 | 100~499人 | 500~999人 | 1000人以上 |
61.9% | 52.8% | 44.1% | 35.9% | 30.0% | 25.6% |
短期大学(短大)等卒業者の企業規模別退職者割合
5人未満 | 5~29人 | 30~99人 | 100~499人 | 500~999人 | 1000人以上 |
56.6% | 48.3% | 44.5% | 40.0% | 34.9% | 33.5% |
大学卒業者の企業規模別退職者割合
5人未満 | 5~29人 | 30~99人 | 100~499人 | 500~999人 | 1000人以上 |
56.3% | 49.4% | 39.1% | 31.8% | 28.9% | 24.7% |
企業規模で見た場合の退職者割合のまとめ
このように、中学卒業、高等学校(高校)卒業、短期大学(短大)等卒業、大学卒業に関わらず、いずれであっても企業規模が小さいほど退職者割合は多くなり、企業規模が大きいほど退職者割合は少なくなります。
このような数字からも見ても、中小零細企業など人員が少ない企業は、新卒者への教育や指導を十分に行うことが出来ずに、新卒者と上司や先輩社員とのコミュニケーション不足が原因による仕事理解や自己理解が進まない段階での退職を選択する事が原因ではないかと考える事が出来ます。
他にも新卒者の離職理由・退職理由は考えられます。新卒者の離職理由・退職理由は、大きく「環境要因」「構造要因」「企業要因」「個人要因」に分類されます。
新卒者の退職理由・離職理由
例えば転職先がなければ離職しようとは思いません。
低賃金であったとしてもブラック企業だったとしても、仕事があるという状態がなくなれば路頭に迷うとなると離職はしないはずです。
このように新卒者の退職理由・離職理由は複雑で様々です。
それでは、具体的に「環境要因」「構造要因」「企業要因」「個人要因」を説明いたします。
環境要因
新卒者の退職理由・離職理由の「環境要因」とは、景気の影響が離職率に関係しているという事です。
例えば、俗に言われている就職氷河期と呼ばれる時代の離職率が上昇した理由は、企業全体の求人数が少なく新卒者が企業を選ぶことが出来ず、新卒者の希望や適性などを考慮せずに就職先を選択してしまった事が原因だと考えれます。希望や適性を考慮しても一定の割合で退職者がでるにも関わらず、考慮しないで企業を選択してしまっては、離職者が多くなるのは当然です。
リーマンショックや東日本大震災、新型コロナウイルスの影響なども影響しています。
構造要因
新卒者の退職理由・離職理由の「構造要因」とは、日本全体の産業の構造の変化です。
バブル崩壊後、製造業からサービス業で働く人の割合が増加しています。しかし、サービス業は製造業と比較した場合早期に退職する人の割合が高く、全体としての離職率も引き上げているのです。
企業要因
新卒者の退職理由・離職理由の「企業要因」とは、日本的な雇用構造が崩壊したことが原因です。
年功序列はもちろん、終身雇用も崩壊した結果、継続的に一つの会社で勤務するメリットはなくなりました。
また、正社員以外の非正規雇用と呼ばれる働き方も一般的となり、新卒で入社しても給料は上がらないのはもちろん、いつ雇用が打ち切られるかもわからない状態にもなりました。
その結果、働く人はより給料の高い企業へ、より好待遇の企業へと転職していく傾向が高くなりました。
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個人要因
新卒者の退職理由・離職理由の「個人要因」とは、新卒者自身の意識変化のことです。企業要因と大きく関係していると言えます。
上述した通り、年功序列はもちろん、終身雇用も崩壊した結果、継続的に一つの会社で勤務するメリットはなくなりました。その為、入社した後の比較的早い段階で希望や適性などを考慮し退職を選択する新卒者が増加したという事です。
入社後早い段階に退職を判断する為に、上司や先輩への相談など人間関係も親密になる前と言う場合も多く、周囲の人達はなぜ退職したのか等も不明な場合が多くあります。
新卒者の離職率・退職率を下げる方法
上述した通り新卒者の離職・退職理由は様々です。
しかし、せっかく採用した新卒者の離職率を下げる方法はないのでしょうか?
それでは、具体的に新卒者の離職率・退職率を下げる方法を説明いたします。
コミュニケーションの充実
「コミュニケーションの充実なんて当たり前じゃないか」とだと感じている方も多いとは思います。
しかし、やはりコミュニケーションなくして離職率・退職率を下げることは出来ません。上述した通り、昨今の新卒者は入社後早い段階で退職を決断します。
その為、新卒者の離職率・退職率を下げる方法としては、内定した段階つまりは、入社前からのコミュニケーションが必要となります。
入社前には配属先は未決定ですので人事課員がメインとなりコミュニケーションをとる事になります。
その際にもしっかりと記録を残し、入社後に配属先が決まった後にも引継ぎをし活用できるような体制を整えておくことが重要です。ただ、個人的な事柄などの引継ぎには注意が必要です。
また、入社後はメンター制度の導入や1on1ミーティング(ワンオンワンミーティング)などの実践も検討すべきです。その中で今の状況が今後のキャリアの中のどの部分に位置しているのか等を示すと共に、本人の希望部署ややってみたい事柄なども把握し丁寧な説明が重要です。
しかし、会社の人とはSNSなどで個人的なつながりを持ちたくないと考えている場合が多くありますので、上司はもちろんのこと新卒社員の先輩になる従業員などにも一定の教育が必須です。
同時に上下関係が厳しかった体育会系クラブの出身の先輩などには注意しておいた方が良いでしょう。
ただし、時間的制約も多く上司や先輩などへの教育体制が整わないなどの場合には、国家資格キャリアコンサルタントなどの活用がお勧めです。
あくまでも中立で人事部門からの切り離した立場のキャリコンへの相談は、査定にも響かなず面談には評価は関係ないという安心感や子育てなどのプライべートな相談も出来るという体制づくりも新卒者の離職率・退職率を下げる方法としては効果的だと考えられます。
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ES調査(従業員満足度調査)の実施
ES調査とは、従業員満足度調査(Employee Satisfaction)のことを言います。
従業員が企業内の組織で働くうえでの居心地の良さを表す数値です。
ES調査(従業員満足度調査)は、報酬だけで表される数値ではありません。福利厚生はもちろん、職場環境(労働環境や上司や先輩との人間関係をも数値で表します。
一般的にES調査(従業員満足度調査)の向上は顧客満足度の向上に繋がり、顧客満足度の向上は企業としての業績の向上にもつながります。
つまり、ES調査(従業員満足度調査)の向上が企業の業績の向上に繋がるということです。
従業員が働くことに対する満足度が向上すれば愛社精神や自社製品への愛着心が生まれます。その愛着心は顧客に伝わることで売り上げの向上に繋がるという良い循環に繋がるのです。
上述した通り新卒者の離職率・退職率を下げるためには「メンター制度の導入・1on1ミーティング(ワンオンワンミーティング)・キャリアコンサルタントの活用」などを実施すべきです。
しかし、新卒者だけの対応だけではなく現従業員への対策も同時に実施しなければその思いが新卒者へ影響が出る可能性があという意味でもES調査(従業員満足度調査)は効果的と言えるのです。
ES調査(従業員満足度調査)は新卒者を含めた従業員の会社に対する意識や問題点を把握することが可能です。また、人事制度や人事評価、福利厚生や労務管理までを含めた企業内のさまざまな環境改善の為にも効果的に活用をお勧めいたします。
ワーク・ライフ・バランスを日々改善する
「モーレツ社員」は過去の遺物です。また、同じく「サービス残業」も過去の遺物と捉えておかないと新卒者の退職は防ぐことができないと言っても過言ではありません。
個性を尊重しあうそんな企業を新卒者は求めています。
そんな中でも大切なのがワーク・ライフ・バランスです。「男性は会社で働き女性は家庭」と考えている企業に未来はありません。
女性が働きやすい環境作りに努めると共に、男性も育児や家事ができる環境作りに励まなければ新卒者の離職率・退職率を下げる事は出来ないでしょう。
新型コロナウイルスが影響し、良い悪いは別にし、出勤しなくても良いという働き方がコロナ前よりは定着したことは間違いありません。
しかし、過去の日本型経営をしている企業がまだまだ多いのも実情です。有給休暇の義務化もそんな経営者に対しての警鐘を促しているとも言えます。
「成果」とは何かに意識を向けて、ワーク・ライフ・バランスの改善に努める事が重要です。
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七五三現象とは?/意味を知り早期離職原因一覧を人事採用に生かした退職防止方法のまとめ
いかがだったでしょうか?
七五三現象とは?/意味を知り早期離職原因一覧を人事採用に生かした退職防止方法でした。
離職防止が企業価値向上にも繋がりますので、内容を活かした戦略で良い人材確保に努めてください。